更新日:2023年11月17日(金)
16日に発表された米経済指標は軒並み低調。週間新規失業保険申請件数は予想以上に増加して12週ぶりの高水準。4週移動平均では4週連続の増加で悪化傾向が鮮明に。さらに失業保険継続受給者数は8週連続で増加し、2021年11月末以来、ほぼ2年ぶりの高水準。4週移動平均でも6週連続の増加。
米労働市場ひっ迫状態の巻き戻しが急速に進行し始めたような結果となり、米長期金利は急低下、ドル安円高の流れとなってNY金は急反発。
同時刻に発表された11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は-5.9。市場予想の-8.3を上回って10月の-9.0からも上昇し、3ヵ月ぶりの高水準。しかし、マイナス圏推移が続き、過去平均9.0も大きく下回る状態。トレンドを示す6ヵ月移動平均では-7.3となり、4ヵ月続伸で1年ぶりの高水準。しかし14ヵ月連続のマイナス圏推移。
構成指数では出荷が10月から急低下でマイナス圏入り、8ヵ月ぶりの低水準。平均労働時間も2ヵ月連続マイナス圏で8ヵ月ぶり低水準。そして期待指数も半年ぶり低水準となってマイナス圏入り。
10月の鉱工業生産も前月比-0.6%となって市場予想の-0.4%を下回り、4ヵ月ぶりの低水準。前年比では-0.76%となり、9月の-0.14%を下回って2ヵ月連続の前年割れ。2021年2月以来、2年8ヵ月ぶりの低水準。
さらに11月のNAHB住宅市場指数も34となって4ヵ月連続の低下で3ヵ月連続の節目50割れ。11ヵ月ぶりの低水準。
インフレ鈍化の代償として、景気減速加速への警戒感もにわかに高まりそうな状況にもなってきたようです。
16日のNY金は+23.0ドル、1.17%の反発で11月6日(1988.6)以来、10日ぶりの高値。アジア時間には一時1960ドル割れも、前日安値を下回らずに反発。ロンドン・NY朝にかけては1970ドル回復トライ、NY市場では米失業保険申請件数が予想以上に悪化し、11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は予想を上回りながらも低調となったことなどを受けて急騰。1970ドルの節目を上抜けると1980ドル台へと一段高、その後10月鉱工業生産や11月NAFB住宅市場指数なども軒並み低調となったこともあり、NY午後には一時1990ドル台まで上昇。上ヒゲ陰線となった前日の上値トライ失敗を取り戻す格好となって20日移動平均線(1981.8)も上抜け、1970ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標2000ドル付近にもあと一歩。目先、若干の上昇余地も残しながらも大台突破にはきっかけも必要か。
NYプラチナは+0.8ドル、0.09%高で4日続伸、11月6日(917.6)以来10日ぶり高値水準でほぼ横ばい推移。アジア時間には900ドルの大台を割れて890ドル台前半までの下押しも、ロンドン市場にかけては910ドル手前まで反発。NY市場では900ドル台を維持しながら910ドル超えを何度か試して失敗すると失速、NY引け後には900ドル割れへ。10月高値(951.8)から11月安値(843.1)の61.8%戻し(910.3)付近で上値を押さえらる状態が続き、20日移動平均線(903.6)上抜けにも2日連続で失敗、十字線に近い足型を形成して反発局面一服の様相に。抵抗感を払拭できれば76.4%戻し(926.1)が意識され、50%戻し(897.5)が目先のサポート候補に。
ドル円は64銭のドル安円高、0.42%の反落。151円10銭台から40銭台までのレンジで保合い推移となって東京・欧州時間を通過、NY市場では米指標結果を受けて上昇した前日とは逆の展開に。新規失業保険申請件数に失業保険継続受給者数がいずれも悪化したことなどを受けて151円割れへ、鉱工業生産に住宅指標も低調となって一段安。NY午後には150円20銭台までの安値で下げ渋ってNY終盤には150円70銭台を回復。今朝の東京市場では150円50銭台へと軟調推移。低調な経済指標が続いて金融政策見通しハト化への思惑が徐々に強まって上値も切り下げ、目先は150円ラインから151円40銭までが主要レンジに。流れとしては調整方向へと傾斜し始めた感も、今後も指標悪化が続くようなら調整局面加速も。150円割れなら短期調整目安は7月安値(137.24)から11月高値(151.91)の23.6%戻し(148.45)近辺、148円半ばまで。逆の展開で151円40銭超へと切り返すようなら一段高トライへの可能性も、その場合には153円半ば辺りが短期上値目標にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/16終値とチャート
17日の国内金価格は+72円、0.69%高で4日続伸。11月2日(10505)以来、2週間ぶりの高値。揉み合い状態でゆるやかに上昇する9-21日移動平均線(10413-10430)を上抜けて加速、10440円の節目突破に伴う短期上値目標10500円近辺に到達。上値トライには一服感も、NY金の一段高などに押し上げられると最高値も意識され、10550円近辺までの短期行き過ぎトライへも。
週間ベースでは+74円、0.71%の反発。先週下落分を取り戻した状態に。
プラチナ価格は-40円、0.84%安で4日ぶりの反落。11月高値(4923)から安値(4521)の半値戻し(4722)を達成し、61.8%戻し(4769)には届かず失速、半値戻し付近へと巻き戻し。90日移動平均線(4676)から21日移動平均線(4709)近辺までがサポート帯となる可能性もあり、そうなれば地合い回復、4760円の節目上抜けへと切り返すことができれば一段高トライへ。中期レンジスタンス候補となる4800円半ば、4850円近辺までを目指す流れにも。
週間では+146円、3.2%の大幅反発。3%超の上昇は3ヵ月ぶりで今年6度め。
※参考:金プラチナ国内価格11/17とチャート
2023年11月17日(金)時点の相場
国内金:10,505 円 11/17(金) ▲72(0.69%)
国内プラチナ:4,715 円 11/17(金) ▼40(0.84%)
NY金:1,987.3 ドル 11/16(木) ▲23.0(1.17%)
NYプラチナ:902.8 ドル 11/16(木) ▲0.8(0.09%)
ドル円:150.73 円 11/16(木) ▼0.64(0.42%)
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