更新日:2023年11月14日(火)
アトランタ連銀が先週発表した10月の賃金上昇トラッカー(個人時給中央値の前年比3ヵ月平均)は+5.2%。9月からは変わらず横ばい推移。9月は2022年1月(5.1)以来、1年8ヵ月ぶりの低水準。2022年6-8月の+6.7%でピークアウト後は低下傾向が続いてはいるものの、今年8月(+5.3)以降はやや下げ渋り。
これに対して10月雇用統計での平均時給は前年比+4.10%。9月の+4.30%から低下して2021年6月(3.95)以来、2年4ヵ月ぶりの低水準。3ヵ月平均で見ると10月は+4.23%。9月+4.31%から低下し、4ヵ月連続の低下で2021年8月以来、2年2ヵ月ぶりの低水準。今年5月(+4.34)から5ヵ月連続4.3%台で下げ渋り傾向となっていた状態から10月に低下基調再加速の兆しにも。
賃金上昇率の低下基調は足下で、下げ渋りか、一服をはさんで低下基調再開か、もう一段の低下が必要となるなかで重要な局面を迎えている様子も。
また、アトランタ連銀のデータでは賃上げ率が+0.5%から-0.5%の範囲にとどまる、ゼロ賃金の割合は10月に12.0%。8-9月の12.1%からはわずかに低下。5月には10.3%まで低下し、22年1ヵ月ぶり低水準となってボトムアウト後は、急増の兆しとなったところで上げ渋り。
賃金上昇率と逆相関の関係にある、ゼロ賃金の割合もここに来て伸び悩み状態。
インフレ低下をサポートする結果となった10月雇用統計の平均時給に対し、アトランタ連銀の2つの指標はインフレ低下の阻害要因に。
さらに先週末に発表されたミシガン大のインフレ期待は11月速報値で急騰。1年先は7ヵ月ぶり高水準、5年先は12年超ぶりの高水準。
しかし、この日発表されたNY連銀の10月消費者調査では、1年先インフレ期待は9月から低下、3年先は横ばい。
インフレ予想は硬軟分かれる状況に。
コアCPIは下げ渋りも予想される、10月CPIの結果はいかに?
13日のNY金は先週末から+12.5ドル、0.65%の反発。時間外は90-200日移動平均線(1946.6-1948.2)に上値を押さえられ、1940ドル台前半を中心に小幅揉み合い推移、NY午前には米10年債利回り上昇とドル高の流れが重石となって一時1940ドル割れ、先週末安値をわずかに下回る1930ドル台半ばまで下げて切り返し。NY連銀の10月インフレ期待が低下したこともきっかけとなってドル安へと巻き戻された流れにも連れ、NY午後には1950ドル台へと急反発。先週末に1950ドルのサポート割れに伴う下値目安1930ドル台へと急落後の自律反発で節目の1950ドルを回復し、結果的に90-200日線にサポートされた格好にも。それでも目先、CPIの結果次第で1930ドル台の節目を割れるようなら1910ドル付近までを目安に一段安の展開にも。上方向には引き続き1970ドルが当面の抵抗水準、突破できれば流れ反転へ、2000ドルの大台付近を目指す流れとなる可能性も。
NYプラチナは+18.0ドル、2.13%高で6日ぶりの反発。時間外の840ドル台半ばが安値となり、840ドル台後半での揉み合い推移から、ロンドン・NY市場にかけて反発トライへ。NY午後には860ドル台を回復し、NY引け後には870ドル手前まで上昇。先週末に今年安値を更新して短中期下値候補、10月安値圏850ドル近辺も下抜けて一段安も警戒された状態からの切り返しとなり、週末の下げを取り戻してオーバーランからの巻き戻し。目先、840ドル台を当面の安値として維持できれば徐々に反発トライへも。ただし840ドル台を維持できないようだと下値再トライへ、820ドル付近までが短期下値目安、短中期的には昨年安値圏800ドル近辺が意識される展開にも。
ドル円は20銭のドル高円安、0.13%高で6日続伸。NY終値ベースでは今年高値を更新、1990年6月29日(152.35)以来、33年4ヵ月ぶりの高値。6日続伸は3ヵ月ぶりで今年3度め。東京朝の151円40銭近辺から堅調推移となり、午後には151円70銭台の今年高値更新トライ、これを突破すると東京市場終了時には151円80銭近辺へ。欧州時間にも80銭台でわずかに上値を伸ばし、NY市場では151円90銭台の昨年最高値トライ。しかしNY連銀のインフレ期待が鈍化したこともきっかけとなって昨年高値付近で急失速、介入警戒感なども影響した様子で不安定な動きとなって151円20銭付近まで急反落。急速に戻りを試すも151円70銭台までにとどまり、昨年最高値更新トライはCPI後へと持ち越し。CPI確認後に昨年最高値更新と151円80銭の節目上抜けを維持できれば一段高への流れへ、153円円台後半辺りまでが短期上値目標に。当面の下値サポートは149円台前半。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/13終値とチャート
14日の国内金価格は+43円、0.42%の反発。10350円の節目を維持し、右肩上がりの21日移動平均線(10383)にもサポートされる格好となっての切り返し。ゆるやかに下降する9日移動平均線(10433)は蓋をされ、調整一服からの保合い形成で方向感喪失状態にも。CPI後に10440円超へと抜け出す展開となれば最高値圏再トライへ、10500円付近までが短期上値目安に。10350円の節目割れの場合には一段安へ、10270円近辺までが短期下値目安に。
プラチナ価格は+108円、2.39%高となって8日ぶりの反発。上げ幅は今年の絶対値平均50円の2倍超の急騰で11月8日(4706)以来の水準を回復。2月安値(4289)から5月高値(5197)の76.4%戻し(4503)の少し手前で折り返す形となり、中期サポートラインをキープして中期トレンド崩れを回避。水平状態の90日移動平均線(4672)も視野に入る状況となり、11月高値(4923)から安値(4521)の38.2%戻し(4675)にも相当するこの水準を回復できるかどうかが目先のポイントに。
※参考:金プラチナ国内価格11/14とチャート
2023年11月14日(火)時点の相場
国内金:10,394 円 11/14(火) ▲43(0.42%)
国内プラチナ:4,629 円 11/14(火) ▲108(2.39%)
NY金:1,950.2 ドル 11/13(月) ▲12.5(0.65%)
NYプラチナ:863.6 ドル 11/13(月) ▲18.0(2.13%)
ドル円:151.72 円 11/13(月) ▲0.20(0.13%)
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