金利の先高感が反映される欧州通貨、されない円と金
更新日:2014年07月17日(木)
昨日、一昨日と行われたイエレンFRB議長の議会証言では、景気回復基調と成長加速へのFRBの自信の表れが明確となり、労働市場のさらなる改善とそれに伴う賃金上昇、物価上昇、そして金利の上昇が必要であることが強調されました。さらには、そのスピードが加速するなら、早期利上げの可能性も否定しないという市場認識も高まりつつあるように思えます。
本日早朝に発表されたベージュブック(地区連銀経済報告)でも、労働市場の改善が確認され、賃金については一部では上昇しているものの、全般的にはまだ抑制された状態であることも確認され、物価上昇圧力については全般的に抑制されているという状況。
今後の状況次第という前提を踏まえても、現時点では、2015年半ばを中心とする前後数ヶ月の範囲内で1回めの利上げが濃厚、というのが市場コンセンサス。
そんな、米国の金利先高感を反映し、米ドルは対ユーロで1ヶ月ぶりの高値圏となっています。ECBによる利下げや緩和政策の長期化観測もこの傾向を後押しした形ですが、当然の流れとも言えます。
FRBよりも先に利上げに踏み切るのではないかと見られるBOEは、年内にも利上げ、との可能性が高まります。これを背景に英ポンドは対米ドルで上昇基調が続き、2008年以来の高値水準となる1ポンド=1.71ドル台まで上昇しています。
米ドルの金利先高感をさらに上回る英ポンドが買われ、下回るユーロは売られる傾向が鮮明となり、欧州通貨は金利動向による相場変動の影響がしっかりと表れる結果となっています。
これに対して、ゼロ金利と量的緩和継続中の日本円は、足元では動意なしの横ばい推移が続き、年初来では3%以上の円高ドル安水準。最近の米国の金利先高感が全く反映されていない状況と言えそうです。
金の場合も、今週に入って急落局面こそあったものの、1ヶ月前の1,200ドル台半ばの水準と比較すればまだ高値、年初来では8%超の高値圏となっています。ゼロ金利の金も、対米ドルでの金利差動向があまり反映されていない様子。
しかし、
2013年以降の騰落率を見ると、日本円は17.22%の円安ドル高、金は22.44%もの金安ドル高の状態。
先を見越した円と金は、既に時間をかけて米ドルの金利先高感を十分に織り込んできている、ということも言えそうです。
16日のNY市場、NYダウが4日続伸で再び最高値更新と株高地合いのなか、金相場も0.21%の小幅高で4日ぶりの反発。インドの6月金輸入が前年比65%増となるなどの支援材料はあったものの、2日連続で1,290ドル台前半まで売り込まれ、1,300ドルを超えると上値の重さも目立つ状況に。短期的な調整局面に入り1,280ドル近辺までの下押し余地あり。
プラチナ相場も4日ぶりの反発もわずかに0.7ドル高。下抜けたばかりの1,490ドル台の節目が上値抵抗線となり、小動きの展開。短期的には調整局面入りし、少なくとも1,470ドル前後まで下落の可能性大。それでも90日移動平均(1,454.8)、200日移動平均(1,429.9)からは大きく上方乖離する水準で中期的な上昇トレンドを維持する状態。
ドル円は前日比変わらず。上下16銭ほどの値幅となる異例の小動き状態。上昇傾向が続く200日移動平均(101.93)に追いつけない状態となって8日め。上からは90日移動平均線が102.08円まで低下してきており、抵抗線候補に。次週から月末にかけて、一目均衡表の雲のねじれが101円90銭台で4回連続する異例の形状を示し、この水準が分岐点となって大きな変化が見られる可能性も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/15終値とチャート
国内金価格は0.24%の小反発。1ヶ月ぶりに下抜けた90日移動平均(4,551)が上値抵抗となり、下押し圧力もやや強まる状況。4,500円前後までの下値余地あり。
プラチナは4日続落もわずか1円安にとどまり、下落一服感も。5,190円台の節目を下抜けたばかりの水準で、ここから反発する可能性よりも、もう一段の下落となる可能性のほうが高い状況か。下落余地として5,130円から5,100円辺りまでが目標水準。
※参考:
金プラチナ国内価格7/16とチャート
2014年07月17日(木)時点の相場
国内金:4,549 円 7/17(木)
▲11(
0.24%)
国内プラチナ:5,180 円 7/17(木)
▼1(
0.02%)
NY金:1,299.8 ドル 7/16(水)
▲2.7(
0.21%)
NYプラチナ:1,485.7 ドル 7/16(水)
▲0.7(
0.05%)
ドル円:101.67 円 7/16(水)
▼0.00(
0.00%)
7/16(水)のその他主要マーケット指標
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