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ドル高進行で新興国通貨売り再び
更新日:2014年09月12日(金)
次週のFOMCでは、資産購入策終了後「相当の期間」低金利継続という声明文から「相当の期間」の表現が変わるのでは?あるいは、削除?との思惑やFF金利予想のドットチャートの構図が変化するのではないか、との見通しなどを背景とする早期利上げ観測という米国発のドル高要因に加え、黒田日銀総裁発言やこれを取り巻く円安肯定論の高まりなど、日本発の円安要因も重なり、ドル高円安の加速がとまりません。

9月に入ってドル円相場は既に3円以上も上昇し、2.91%の円安となっています。
昨年5月のQE縮小開始観測浮上時、今年年初のQE縮小開始時に売り込まれた新興国通貨は、それ以降は比較的安定推移を続けていましたが、ここに来てドル買い圧力の高まりとともに売り傾向が強まり始める兆しもあります。

8月末から現在までの対ドルレートの騰落率を比較すると、
ロシア・ルーブルは1.13%のルーブル安・・・この通貨は変動相場への移行中にのため、変動率は限定的ながらウクライナ・ロシア情勢の渦中にあり、経済制裁などの影響も受けて夏場以降、一方的に売られ続けています。
フラジャイル・ファイブとしてこれまで売られやすかった新興国通貨のうち、モディノミクス期待で今回は例外とも言えるインドの通貨ルピーは0.66%安。
インドネシア・ルピアは1.28%安、トルコ・リラは1.87%安にとどまっていますが、リセッション入りしたブラジルのレアルは2.76%安、南アフリカ・ランドは2.96%安と円安レベルに匹敵します。
日本でも良い円安、悪い円安論が湧き上がりつつありますが、これら新興国では悪い自国通貨安が再燃しつつあります。

新興国以外でも、豪ドルも円安に迫る2.56%安となっています。過去の新興国通貨売りが加速した時期でも豪ドルは売られていました。
逆に、少し前まで一方的に売り込まれていたユーロは1.61%安にとどまっています。
日本円の2.91%安を上まわっているのは、南アランド以外では、NY金の3.76%安、プラチナの3.79%安、シルバーの4.12%安など。
各国通貨や商品相場においては、それぞれ独自の相場要因も抱えるものの、現時点でのドル買い圧力の影響を最も受けているのは、金やプラチナなどの貴金属市場、という構図となっています。

NY金・日足チャート 2014/8/14 - 9/1111日のNY市場、金相場は0.51%安で4日続落。ウクライナの停戦状態が一応継続していること、ロシア軍の7割がウクライナから撤退などリスク緩和傾向とドル高の流れに伴う軟調推移が続く状態。1,240ドル台のサポート水準をわずかに割れて1月22日以来、7カ月半ぶりの安値水準となる1,230ドル台後半へ。1月後半のサポート水準となっていた1,230ドル台を割れると、1,200ドルの大台ラインまではほぼ抵抗感なく下げやすいエリア。

NYプラチナ・日足チャート 2014/8/14 - 9/11プラチナ相場も0.75%安となって4日続落。終値ベースでの年初来安値を更新し、昨年12月30日以来の安値圏。ザラ場ベースでの今年安値1,361.4ドルも意識される水準に。売られ過ぎ状態は止まらず、90移動平均乖離率も-6.1%に達し、要注意ゾーンへ。-6%を超えるのは昨年12月24日以来、8カ月半ぶりのこと。当時は12月17日から6日連続で-6%を超え、ピークは12月19日、乖離率は-7.99%に達し、価格は1,318.4ドルと昨年の2番底をつけた日。今年夏場まで続いた中期上昇トレンドの基点となった日でも。

ドル円・日足チャート 2014/8/15 - 9/11ドル円は0.25%高で4日続伸。結局106円台をほぼ素通りする形で107円台へ。この日の高値107円19銭は黒田日銀総裁が初の地上波民放生出演で発言していた時につけたもの。発言内容は昼間の安倍首相との会談後の発言を含めた従来路線を踏襲する内容に終始したものの、「円安は経済の実態に即していて経済にマイナスになることはなく、物価目標達成困難になればいつでも追加緩和の用意、これにはあらゆる可能性があり、限界はない」などの発言では円安へ振れ、「国債以外には株式、その他・・・」具体的な可能性には言及せず「今の時点では追加緩和が必要とは思わない」などの発言には円高方向へ振れ、107円を挟んでの乱高下。市場は円安方向へのきっかけ探しをしているかの様子。反落リスクと大相場への乗り遅れ警戒感が交錯する状況に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/11終値とチャート

12日の国内金価格は0.41%反落。再び4,570円のサポートラインぎりぎりまで下落し、下押し圧力も徐々に強まる気配。サポートライン割れなら4,500円の大台割れの可能性が高まることに。レジスタンスラインは4,590円台。
週間ベースでは+-0。前週末比変わらず。

プラチナも0.69%の反落。レンジ状態のサポートライン5060円を明確に下抜けたことにより、下方向への流れが再加速する可能性が高まる状況。目標水準は5,000円を割れる可能性も十分に考えられ、4,990円台。
週間ベースでは-52円(-1.02%)の反落。
※参考:金プラチナ国内価格9/12とチャート

2014年09月12日(金)時点の相場
国内金:4,571 円 9/12(金) ▼19(0.41%)
国内プラチナ:5,039 円 9/12(金) ▼35(0.69%)
NY金:1,239.0 ドル 9/11(木) ▼6.3(0.51%)
NYプラチナ:1,370.7 ドル 9/11(木) ▼10.3(0.75%)
ドル円:107.11 円 9/11(木) ▲0.27(0.25%)
→9/11(木)のその他主要マーケット指標

←ドル高円安の流れが牽引する日米金利差とドル円の関係 09/13(土)
→とまらないドル高円安の流れは速過ぎるか? 09/11(木)
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