黒田日銀総裁は必要なら、株価は必要なくとも躊躇なく調整
更新日:2014年10月18日(土)
NYダウは1.63%の大幅反発、ドイツDAXは2012年8月以来2年2カ月ぶりの大幅反発となる3.12%上昇、欧州債務危機を回避した時以来の上昇率。今週の株式市場の混乱は、市場の過剰反応であり、単なる調整、としたIMFのラガルド専務理事の指摘どおり世界同時株安状態を回避したことで、日経平均も夜間に300円ほど反発、およそ2%程度の上昇で大安の日の月曜朝、寄付を迎えることになりそうです。
その日経平均は、9月25日の16,374.14円でようやく今年高値を更新すると、躊躇なく調整局面入りしていました。今週末の14,532.51円まで1,841.63円、実に11.25%の大幅調整となっています。NYダウが最後に過去最高値を更新した9月19日の17,279.74ドルから10月16日の16,117.24ドルまでの下落率6.73%を大きく上回ります。
今回の混乱、急落局面が本当に終了したかどうかの判断はまだできませんが、米株に比べて上昇時の勢いが弱く、下落時の勢いは米株以上の日本株。上昇は米国要因によるところが大きく、下落時には米国要因に加えて日本国内要因もプラスされているようにも見える昨今、年末に向けて反発基調へと向かったとしても、その勢いが削がれる要因も多々待ち構えます。
黒田日銀総裁が1%を割れることはない、と断言し続ける消費者物価はその1%割れへの危機が迫り、成長率見通しも引き下げが相次ぎ、強気スタンスをとるのは日銀のみ、という状況となり、4月の消費税引き上げによる影響からの脱却も予想以上に時間を要している状況。年末には10%への再増税判断も控えます。さすがに今回は見送りすべきとの声も多いものの、米国などの見送り推奨に対してIMFは予定通り増税すべきとの見解を示し、政府関係者、与党内でも意見が分かれるところ。
加えて、内閣支持率50%割れ、安倍内閣の目玉の一つの象徴となっていた女性閣僚の辞任問題なども発生、アベノミクスとともに安倍政権自体も試練の時を迎えつつあります。
世間の評判と声に押され、増税見送りを決断する可能性も徐々に高まりそうです。
必要に迫られずとも躊躇なく大幅調整を強いられた日本株に対して、必要なら躊躇なく調整、と同じフレーズを1年以上繰り返し続けてきた黒田日銀総裁も、重要な節目を迎える安倍政権の決断次第では、ようやく、躊躇なく調整に踏み切る時期が訪れることになりそうです。
17日のNY金相場は0.18%の小幅続落。米9月の住宅着工件数やミシガン大学消費者態度指数の上振れなどに素直に反応した株高ドル高の流れに呼応、しかし世界同時株安からの巻き戻しに伴う調整幅としては限定的。金相場の底堅さは、欧米株の大幅反発が一時的であることを示唆している可能性も?短期上昇トレンド中の適度な調整となり、1,240ドル台の節目を突破できれば大幅上昇の可能性。サポートラインは1,200ドル台、1,230ドル台での底堅さも目立つ状態。
週間ベースでは+17.3ドル(+1.42%)で続伸。
プラチナ相場は3日ぶりの反発で0.77%高。欧米株の大幅反発に連れての中反発。ボラティリティ上昇のピークを過ぎ、反発基調が優勢となりつつある状態も勢いは限定的。1,260ドル近辺の節目で上値を押さえられ、1,230ドル近辺の下値目標を再度試す可能性も残る状況。1,270ドル台の上限突破なら地合いは大きく改善、1,300ドル台回復の可能性も高まることに。
週間ベースでは-0.1ドル(-0.01%)、ほぼ横ばい推移となり、底値?からの反発が続かない状況。
ドル円は0.56%続伸。米経済指標の好結果をきっかけに欧米株と欧米10年債利回りの大幅反発の流れにも乗り、106円90銭台まで反発。しかし、107円の壁を目前にすると上値も重い状況、107円10銭のレジスタンスラインの攻防は次週に持ち越し。調整局面終了の判断も時期尚早、下値目標水準104円台前半までのドル安リスクも抱えたまま。
週間ベースでは-0.73円(-0.68%)の続落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/17終値とチャート
2014年10月18日(土)時点の相場
国内金:4,530 円 10/17(金)
▲13(
0.29%)
国内プラチナ:4,605 円 10/17(金)
▲27(
0.59%)
NY金:1,239.0 ドル 10/17(金)
▼2.2(
0.18%)
NYプラチナ:1,261.5 ドル 10/17(金)
▲9.6(
0.77%)
ドル円:106.92 円 10/17(金)
▲0.59(
0.56%)
10/17(金)のその他主要マーケット指標
ドル円は107円台、NY金相場は1,230ドル台で反転をかけた攻防 10/20(月)金とプラチナの価格差逆転が示す相場の行き過ぎ状態 10/17(金)よく出来たマーケットのサイクルも時に急変 10/16(木)現在までの年初来騰落率トップは国内金価格 10/15(水)
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