国債格付けが今後引き下げられる可能性が高い国
更新日:2014年11月27日(木)
米格付け会社ムーディーズは、世界経済の緩やかな拡大を背景に2015年の国債格付けは安定方向、との見通しを示しています。リスク要因として、米国の利上げをめぐる不透明感や中国経済の減速、ユーロ圏の弱い回復、ウクライナをめぐるロシアと西側の対立、中東の紛争、全般的な改革疲れなどを挙げつつも、過去数年間に比べて、各国の国債の信用リスクは緩和方向にある、と見ているようです。
同社による国債格付けの見通しが「安定的」となっている国の割合は、年初の70%から現在では80%へと上昇しており、逆に「ネガティブ」の割合は22%から13%へと低下している、とのこと。
実際に
主要国の格付けと見通し状況をチェックしてみると、全49カ国中、ムーディーズが「ネガティブ」としている国は現時点で7カ国。その割合は14.3%となり、ほぼ報道どおりの数値となっています。
同様に、他2社による見通し状況を見ると、S&Pによる「ネガティブ」指定も7カ国で14.3%。フィッチによる「ネガティブ」指定は5カ国、10.2%。ほぼ同程度の割合に。
なお、主要3社全てが「ネガティブ」としている国は、主要国のなかでは2カ国のみ。
いずれもムーディーズがリスク要因として挙げている渦中の国で、1カ国はユーロ圏の景気回復の足を引っ張る代表格とされる
フランス。先月、S&Pとフィッチにより「安定的」から「ネガティブ」へと引き下げられたばかりで、成長鈍化や財政悪化への懸念が高まりつつある状況。
もう1カ国は
ロシア。今年、マーケットに最大の影響を及ぼしたリスクのひとつ、ウクライナリスクをめぐる主犯格ともいえる存在となり、相次ぐ格下げ、見通し引き下げが続き、S&Pの格付けは「BBB-」のネガティブでジャンク債扱い目前。さらに、S&Pによれば、ロシアが来年リセッションに陥る「可能性は相当程度ある」との見解も。
主要3社のうち、いずれか2社が「ネガティブ」としている国も2カ国のみ。
ひとつは
トルコで、政治不安を背景に今年前半のうちに2社が「ネガティブ」に引き下げ。今年後半には、エルドアン新政権となって改革や高成長への期待も高まりますが、今のところはそれほど変わらず。
もう1カ国は、
日本。S&Pとフィッチによる「ネガティブ」指定はこの2年余り変わらず。相変わらず財政リスクと格下げリスクに晒される状況が続き、消費増税先送りを決めて総選挙を迎える日本の政権と国債格付けも正念場を迎えます。
26日のNY金相場は0.04%の小反落、一足先に感謝祭入り状態で上下7ドルほどの小動きに。本日木曜日の休場(時間外は短縮取引)、金曜日の短縮取引をはさんで週末を迎える実質ロング・ウィークエンドとなり、閑散取引が続く見込み。日曜日にはスイスの金準備に関する国民投票も控え、仕掛け的な売り買いによる荒い値動きが見られる可能性も。その場合には1,190ドルから1,200ドルのレンジブレイクにつながり、1,160ドル方向か、もしくは1,230ドル方向へと新たな短期トレンド発生へ。
プラチナ相場は0.32%の小幅続伸。1,250ドル近辺の上値目標を目指す短期上昇トレンド継続も1,230ドルラインがやや抵抗水準に。この付近を抜けると上方向への流れが加速する可能性も。サポートラインは1,200ドル。
ドル円相場は0.21%の続落。複数の米経済指標がやや弱めの結果となったことでゆるやかに上値を切り下げる展開となり、117円台後半から118円台前半のレンジ下限付近での推移に。今朝時点では117円台半ばへとレンジ下限割れ状態、このまま円高方向へと調整幅を拡大していく可能性がかなり高まる状況。閑散取引が予想される週末までの間に変動もあり得るものの、近いうちに116円台半ばへと向かう可能性も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/26終値とチャート
27日の国内金価格は0.33%の続落。まだ控えめながらもようやく押し目を形成。強めの上昇トレンド継続中で、目安となるサポート水準としては9日移動平均線の4,790円から4,800円近辺。上方向には4,900円近辺。
プラチナ価格は4日続伸となる0.49%の上昇。8月18日以来3カ月半ぶりに90日移動平均線に到達。ようやく中期レンジのニュートラル水準に達したことで、一方的な上昇基調一服となりやすい局面に。10月後半以降、サポートラインとなり続けていた9日移動平均線は4,850円とやや上方乖離気味。この近辺までの下押しはいつでも入りやすい状況か。
※参考:
金プラチナ国内価格11/27とチャート
2014年11月27日(木)時点の相場
国内金:4,842 円 11/27(木)
▼16(
0.33%)
国内プラチナ:4,940 円 11/27(木)
▲24(
0.49%)
NY金:1,196.6 ドル 11/26(水)
▼0.5(
0.04%)
NYプラチナ:1,228.4 ドル 11/26(水)
▲3.9(
0.32%)
ドル円:117.73 円 11/26(水)
▼0.24(
0.21%)
11/26(水)のその他主要マーケット指標
1200ドルの分岐点、NY金とプラチナ相場それぞれの攻防 11/28(金)歴史的安値圏から方向感が別れ始めた原油と金相場 11/26(水)ユーロ圏周辺の金融政策事情:金融緩和の流れは欧州全土へ拡大中 11/25(火)米金融政策正常化を日欧中でカバー、金・プラチナ市場もフォロー 11/22(土)
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