ECBのQE見送りでユーロ買い戻し、プラチナも買い戻し
更新日:2014年12月05日(金)
ECBの量的緩和見送りでユーロは対ドルで大きく買い戻されました。1ユーロ=1.23ドルから1.24ドル台へと急騰、その後若干売られたことで前日比では0.55%の上昇、ユーロ高ドル安となっています。同じように、NYプラチナも大きく買い戻されました。1トロイオンス=1,220ドル台から1,240ドル台へと急騰し、前日比1.5%の上昇、プラチナ高ドル安となりました。
4日終値時点でのユーロドルとNYプラチナ相場との90日間の相関係数は0.9649。この数値はドル円と日経平均(0.91420)、NY金とNYプラチナ(0.92255)、NYダウと日経平均(0.92513)、NY金とユーロドル(0.93216)、NY金とNY銀(0.95012)などを抑え、トップとなっています。4カ月程度の中期レンジで見た場合の連動性は非常に高い状態です。
特に、夏場以降、急速に連動性が高まっていることはチャート上にも表れています。ユーロドルとプラチナとの関係性は、常に相関性が高い訳ではありませんが、過去にも非常に相関性の高い時期がありました。2012年後半、ユーロ債務危機からの復活の時期、に相当します。ドラギECB総裁の「ユーロの為になんでもする」発言でユーロ高へと誘導した時期でした。
そして今年、11月には「インフレを押し上げる為にはなんでもする」発言でユーロ安誘導を促進しています。ドラギ総裁の発言がクローズアップされる時期、つまり通貨ユーロが不安定な時期には、プラチナ相場との相関性は高まるようです。
ただし、足元では、さらなるユーロ安誘導を進める為にQE実現へと画策するドラギ総裁と、5年4カ月ぶり安値圏からの自立反発を目指すNYプラチナ相場との方向性は別れ始める可能性も生じ、既に相関係数は11月中旬につけたピークの0.9744からは低下傾向にあります。
今後は、両者の関係がデカップリングの時期に入る可能性と、ドラギ総裁発言の影響力が弱まる可能性も考えられそうです。
4日のNY金相場は0.08%の小反落。ECBの追加緩和見送りでユーロ買い戻し(ドル売り)に伴い1,210ドル台へと瞬間的に10ドルほど上昇した後は1,200ドル台での横ばい推移。追加緩和策として「金を除くあらゆる資産」買い入れを検討とのドラギ総裁発言も材料視されず、1,200ドルがサポートラインとなって作用し始めた様子。1,230ドル近辺を目指す流れ継続。雇用統計上振れの場合には1,200ドル割れ、1,180ドル程度までの下落余地を想定。
プラチナ相場は1.5%の大幅続伸。ユーロの大幅買い戻しに連動し、上下に大きく振れながら上値を伸ばす上昇トレンド継続。上値目標1,260ドル近辺到達なら、下値警戒リスクも大幅緩和見込み。反面、雇用統計の結果でドル買いユーロ売りが進むようなら、ユーロに連動しての反落が予想され、1,210ドル台のサポートライン割れリスクも。
ドル円は前日比ほぼ変わらずの横ばい推移。神通力の衰えも指摘されるドラギ総裁の「量的緩和に全会一致の必要はない」発言でQEへの意欲を示すとユーロ売りが進行、ドル円も上昇し、一時的に120円の大台突破。しかし、ユーロ要因によるドル円上昇では長続きするはずもなく、本格的な120円超えはドル高加速への重要な要素となる雇用統計次第。チャート形状は最高値圏での十字線となり、反落か、加速かの分岐点。ドル高なら121円台前半まで、ドル安方向には117円台後半がサポートライン。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/4終値とチャート
5日の国内金価格は4日ぶりの反落で0.34%の小幅安。4,960円の目標水準到達による調整も限定的となり、まだ上方向への勢いが比較的強い状況。しかし雇用統計の結果次第で上下にブレやすい状況。上振れの目安は5,000円の大台付近、下振れなら最大で4,700円のサポートラインまで。明日土曜日が満月であることも波乱要因か。
週間ベースでは+130円(+2.7%)の反発。
プラチナ価格は0.66%の上昇で4日続伸。ユーロの大幅買い戻しの影響でオーバーラン、抵抗線の目安は5,100円近辺。金に連れ安となった場合の下値サポートラインは4,840円。
週間ベースでは+170円(+3.47%)となり、5週続伸。
※参考:
金プラチナ国内価格12/5とチャート
2014年12月05日(金)時点の相場
国内金:4,951 円 12/5(金)
▼17(
0.34%)
国内プラチナ:5,070 円 12/5(金)
▲33(
0.66%)
NY金:1,207.7 ドル 12/4(木)
▼1.0(
0.08%)
NYプラチナ:1,245.9 ドル 12/4(木)
▲18.4(
1.50%)
ドル円:119.78 円 12/4(木)
▼0.01(
0.01%)
12/4(木)のその他主要マーケット指標
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