FRBの誤算:公開した労働市場情勢指数(LMCI)は低迷
更新日:2015年08月11日(火)
FRBが2014年10月から公開している労働市場情勢指数(LMCI)の7月分は+1.1となり、上方修正された6月の+1.4から0.3ポイントの低下。6カ月平均では2009年10月以来、5年8カ月ぶりの低水準となった6月の0.85から0.43へとさらに低下。
年間平均で見ると、以下のような推移となっています。
2009年:-10.0
2010年:6.1
2011年:5.9
2012年:3.7
2013年:4.0
2014年:5.4
2015年:0.9
リセッション後の反発では、2010年から2011年にかけて1度ピークとなり、やや水準は低下しながらも2014年に2度めのピークを迎え、2015年には6年ぶりの低迷期を迎えています。
FRBがこの指数を公開した2014年10月はQE終了が決定した時期でもあり、QE終了=引き締め、の連想から新興国通貨安を招き、原油急落、金やプラチナも下落、株価も下落とやや市場が混乱していた時期でもありました。
この時発表された
2014年9月のLMCIは2.5。年後半から低迷し始め、リセッション後の平均4程度からも乖離し、労働市場がこの状況では、金融引き締めも利上げもまだまだ先ですよ、とのメッセージが込められているかのようなチャートとなっていました。
いずれ、この指標が徐々に上昇傾向となれば利上げフェーズへとスムーズに移行できる、とイエレン議長が考えていたかどうかは定かではありませんが、毎回修正されるLMCIの今回発表分では2014年9月は4.9。年末にかけて7.2まで上昇して反落しています。
利上げが目前に迫ってきたとも思われる現在、この指標では予想以上の低迷状態が続き、整合性がとれないまま利上げに踏み切る可能性もありそうです。
市場の混乱を少しでも回避しようと公開したかもしれないこの指標の低迷状態が続いていることは、FRBにとっての誤算かもしれません。
10日のNY金相場は0.91%高となって3日続伸。ユーロや新興国通貨、資源国通貨など対円を除いてドル高調整の流れとなったことを受けて、欧米株や原油と共に売られ過ぎ局面からの大幅反発。フラッシュ・クラッシュとなった7月20日以来3週間ぶりの水準となり、1100ドルの抵抗水準を突破。底値揉み合い状態からようやく解き放たれた形となり、反発局面形成へと向かう可能性が拡大。当面の上値目標水準は1130ドル。5月からの下落幅に対する38.2%戻しとなり、フラッシュ・クラッシュ直前の水準。
プラチナ相場も3日続伸で2.87%の大幅高。1日の上昇率としては今年最大で2013年9月以来ほぼ2年ぶりとなる急騰。瞬間的には992ドルまで上昇するも、この水準を維持できず、1回めの990ドルの抵抗水準超えトライには失敗。再チャレンジの流れで突破成功なら、当面の上値余地は1010ドル台半ば辺りまで拡大し、7月からの急落値幅の半値戻しへ。
ドル円は3日ぶりの反発で0.33%のドル高円安。ドル高調整局面でもドル売り円売りとなったことでドル円だけはドル高円安基調を維持。126円台を目指す流れも継続し、まずは売り圧力が強まる125円台に向けて再トライの流れへ。サポートラインは124円20銭に引き上げ、ここを下抜けると123円程度まで調整局面拡大へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/10終値とチャート
11日の国内金価格は1.54%の大幅反発。金高円安の相乗効果で4月以来4カ月ぶりとなる急騰となり、3週間続いた底値揉み合い状態から上方ブレイク。当面の目標水準は4820円台。サポートラインは4660円。
プラチナは5営業日続伸となり、3.29%の大幅上昇。前日までの4日間連続小幅上昇がこの急騰を暗示していた可能性も。3%超の大幅高は今年最大で昨年10月7日以来10カ月ぶり。当時は10月6日に4.2%の急落で昨年安値をつけた翌日の急反発。今回も底値からの急反発となるか。4240円の抵抗線をわずかに超えたことで、これが行き過ぎでなければさらに上値を伸ばす可能性、目標水準は4350円台も。ただし、NYプラチナの上方ブレイク必須。7月末にも直近高値超えからの反落パターンが2度続いていることも懸念材料。
※参考:
金プラチナ国内価格8/11とチャート
2015年08月11日(火)時点の相場
国内金:4,736 円 8/11(火)
▲72(
1.54%)
国内プラチナ:4,242 円 8/11(火)
▲135(
3.29%)
NY金:1,104.1 ドル 8/10(月)
▲10.0(
0.91%)
NYプラチナ:989.8 ドル 8/10(月)
▲27.6(
2.87%)
ドル円:124.62 円 8/10(月)
▲0.41(
0.33%)
8/10(月)のその他主要マーケット指標
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