LMCI(Labor Market Conditions Index:労働市場状況指数)とは、米連邦準備制度理事会(FRB)が2014年10月からウェブサイト上で公表を開始した労働市場に関する指標。雇用統計や月次求人労働異動調査で発表される失業率、労働参加率、パートタイム就労の比率、民間雇用、政府雇用、一時雇用、平均週間労働時間や平均時給、採用率や解雇、離職率などに加え、民間の採用計画などの情報も含めた全19項目の指標を元に算出されるもの。この数値がプラスなら雇用回復、マイナスなら雇用悪化と解釈される。
いわば、イエレン・ダッシュボードの詳細版のようなもので、従来からFRB内部では利用されていた指標であり、イエレンFRB議長は8月のジャクソンホールでもこのLMCIについて、多数の指標をまとめる便利な手法と評価しており、これまで不定期に更新していたものを雇用統計発表後の翌月曜日午前10時(米東部時間)以降に定期更新することを公表したもの。
2014年9月の数値は2.5。8月の2からは上昇しているものの、チャートを見ると決して良い数値とは言えないことが分かります。近年の状況を見れば、期待すべき数値は4以上、と推測されます。
さらに長期のチャート(半年間の平均値推移)を見ると、
2014年後半の数値が急落しています。そして、雇用回復局面でのLMCIの数値としては、やはり4以上程度が望まれるのではないかと思われます。
また、現在の雇用回復局面は過去最長とも言える期間、継続しているにも関わらず、LMCIの数値に伸びがありません。むしろ近年は下落傾向となっている可能性もあり、サイクル的には、そろそろ雇用悪化局面入りしてもおかしくないようなタイミングに来ています。これでは怖くて利上げなどできない、という気にもなりそうです。
利上げ時期を先延ばしにするべき理由を明確化するために、イエレン議長はこのLMCIを公開することを決めたものと思われますが、逆に言えば、このLMCIの数値が平均して4以上程度に上昇した時には、もはや利上げ先延ばしの理由はなくなることになります。
最終更新:2014年10月07日