製造業をフォローする非製造業、イエレンをフォローするFRB首脳陣
更新日:2015年11月05日(木)
米サプライマネジメント協会(ISM)が4日発表した10月の非製造業景況指数は59.1となり、市場予想の56.5を上回り、9月の56.9からも大幅上昇となりました。10年ぶりの高水準となった7月の60.3に次ぐ高水準で、年間平均でも57.5と高水準を維持。
2年半ぶりの低水準へと低迷する製造業をフォローする形で米景気回復基調を支えます。
内訳でも、景気63.0、新規受注62.0、雇用59.2といずれも高水準で前月からも上昇、価格指数は49.1で2カ月連続で節目の50割れも前月からは上昇。
製造業の雇用が47.6へと6年ぶりの低水準へと落ち込んだ分を非製造業の雇用がフォローする形にもなっています。
雇用関連では、10月の
ADP全米雇用報告でも前月比18.2万人増と市場予想をわずかに上回る堅調推移。過去2カ月分が下方修正され、それほど強いイメージではなかったものの市場は好感したようで、ドルも株も買いで反応。ADPの数値と雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)との24カ月相関係数は9月時点で0.751、12カ月相関係数は0.824となり、いずれも近年最大水準の相関関係を示します。先月のNFP低迷をフォローするように、ADPがまずまずの結果を示したことで、今週末のNFPも市場予想どおり18万人前後の数値が期待されそうです。
そんな状況を背景に、イエレンFRB議長は米下院金融サービス委員会での証言で、「インフレ率2%目標へと十分なペースで米経済が成長し続けると想定」し、「今後の情報がこれを裏付けることになれば12月利上げは十分にあり得る」ことをあらためて明言しました。
これをフォローするように、NY連銀ダドリー総裁はイエレンFRB議長の12月利上げの選択肢に関する見解に同意することを表明し、フィッシャーFRB副議長は「米国のインフレ率は考えられているほど低くない」し、「インフレ率2%目標からかけ離れてはいない」との発言。さらには「賃金の伸びが戻ると確信」していることなどにも言及しているようです。首脳陣を中心に、FRB内部でもコンセンサス統一方向へと動き出している気配も感じられます。
CMEのFEDウォッチでも12月の利上げ確率は過半数を超える56.2%へと上昇、この状況をフォローし始めている様子です。
4日のNY金相場は0.71%安となって5日続落、9月15日以来1カ月半ぶりの安値水準へ。米10月のADP雇用統計、ISM非製造業景況指数と好結果が続いたことで軟調推移も7-10月上昇値幅の61.8%戻しライン(1117.9ドル)付近を維持。しかし、イエレンFRB議長の議会証言で12月利上げの可能性を改めて示唆する発言により売りが加速すると61.8%ラインを割り込み1110ドル割れへ。7月安値からゆるやかに下値を切り上げてきたサポートラインを割り込んだ形となり、改めて下値トライへの警戒感も高まる状況に。目先は次の節目となる76.2%ライン(1100.7)、1100ドルの大台ライン付近がサポートラインとして機能するかどうか。
NYプラチナ相場も0.77%安で5日続落。
下値目標水準960ドル前後に到達したことでいったんは970ドル台後半まで反発。しかし、金の下落に連れて軟調推移へと転じると960ドル割れへと急落。下値警戒、サポート候補水準としては10月前半の上昇幅に対する61.8%戻しライン(946.6ドル)から950ドル付近。ここを割り込むと76.2%ライン(928)から930ドル付近が次の目安に。
ドル円は0.4%のドル高円安で3日続伸。121円10銭近辺での揉み合い状態から、ADP雇用の好結果をきっかけにドル買いが加速。ISM非製造業景況指数の好調ぶりを確認した上でイエレンFRB議長の口から改めて12月利上げへの可能性を聞かされたことで一時121円70銭台まで上昇。終値ベースでも8月21日以来、2カ月半ぶりのドル高水準となる121円50銭台を維持したことで保ち合い状態を上方ブレイクの兆し。雇用統計が予想どおりでも122円台後半までの上値余地が見込まれる状態に。ポジティブな結果ならさらに上値を伸ばし、逆にネガティブな結果なら120円台半ばのサポートライン方向へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/4終値とチャート
5日の国内金価格は0.62%の下落で5営業日続落、前日比変わらずの1日をはさんで6日続落。ドル買い金売り傾向が進んだ場合、NY金の下落分を円安サポートではカバーしきれない、従来の平均的な傾向となり、10月2日以来1カ月ぶりの安値水準、9月安値から10月高値の76.2%戻し(4642円)付近に到達。雇用統計がポジティブ・サプライズとなってドル高円安が加速するようなら、円安サポート力も増し、下落基調にも減速感が見られる可能性も。下値警戒水準としては4630円から4600円の大台付近も。
国内プラチナ価格も0.45%安となって4営業日続落。年内利上げ観測再燃に伴うドル高金安傾向に追随する流れが続く状態のなかでは、比較的底堅さも見られる状況。10月前半の上昇値幅の半値戻し(3988円)から4000円の大台付近までがサポート水準に。
※参考:
金プラチナ国内価格11/5とチャート
2015年11月05日(木)時点の相場
国内金:4,647 円 11/5(木)
▼29(
0.62%)
国内プラチナ:4,011 円 11/5(木)
▼18(
0.45%)
NY金:1,106.2 ドル 11/4(水)
▼7.9(
0.71%)
NYプラチナ:954.8 ドル 11/4(水)
▼7.4(
0.77%)
ドル円:121.55 円 11/4(水)
▲0.49(
0.40%)
11/4(水)のその他主要マーケット指標
世界への影響力が低下したイエレン議長は利上げ敢行で挽回へ 11/06(金)NY金相場が11月に上昇する確率は76.9% 11/04(水)世界的減速傾向にあった製造業PMIは10月に復調の兆しも 11/03(火)中国発のリスク要因緩和で国内金価格へのサポート材料に 11/02(月)
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