タカ派寄りのFOMC議事要旨でも底堅い金相場は利上げ織り込み済?
更新日:2015年11月19日(木)
早朝の時間帯に公表された10月末FOMCの議事要旨では、大半の参加者が12月会合までに利上げの条件が整う可能性があると考え、海外経済や金融動向による下振れリスクも後退しており、ゆっくりとした緩和策解除に同意していることなどが示されました。景気の下方リスクが残っていることを指摘する意見もあったようですが、中には声明文での12月利上げ示唆が強すぎることを懸念するとの見方も。
前後して複数のFRB関係者の発言も伝えられ、FOMCでの副議長を務める主要メンバーの一人、NY連銀のダドリー総裁は利上げによる市場の混乱はもうない、と見ているとの発言。イエレン議長、フィッシャー副議長、ダドリーNY連銀総裁に次ぐ信頼度と評価されるアトランタ連銀のロックハート総裁は、利上げ見送り要因となった8月以降の国際金融市場の混乱は既に沈静化しており、ゼロ金利解除が適切になるとの指摘。市場の信頼度は低いクリーブランド連銀のメスター総裁も米経済が緩やかな利上げに耐えられるほど強くなっているとの発言。
関係者からの発言内容には新鮮味こそないものの、FOMCでの基本路線を擁護する形で12月利上げに向けてのフォローが続く様子。
ある程度想定できてはいた12月利上げに向けてのタカ派的見解をあらためて確認したことで、不透明感払拭も好感された形で米株は急騰で反応し、日経平均先物も急騰、欧州株も比較的堅調推移。利上げを織り込んでの株価上昇とともに、CMEのFedウォッチでも12月利上げ確率は前日の63.9%から67.8%へと上昇。
しかし、その一方でドル買いの流れは限定的にとどまり、これに呼応してか、金も底堅く推移。
ドル円では、急反発からの続伸状態からのドル高懸念への警戒感もあったかもしれません。金相場は、既に12月利上げを十分に織り込んだ状態とも想定できそうです。足下での安値更新は、有事の金買いからの反動による戻り売りで行き過ぎた状態と仮定すると、その可能性もなくはないようにも考えられます。しかし逆に、金市場では今回のFOMC議事要旨をタカ派よりと捉えていない可能性も残ります。
後者の場合なら、今後Fedウォッチの12月利上げ確率がさらに上昇すると、金相場は再び安値模索の展開が始まる可能性が高まることになりますが・・・。
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18日のNY金相場は前日比わずかに0.1ドルの上昇。アジア時間に5年9カ月ぶり安値を小幅に更新し、1062ドルまで下げた後は1060ドル台半ばでの揉み合い状態。引け後のFOMC議事要旨を受けての乱高下も上下10ドルほどの範囲内に収まり、底堅く推移。17日に1080ドル台から1060ドル台へと急落後は1060-70ドルのレンジでの保ち合いを形成し、反発の兆しも。
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NYプラチナ相場は0.82%の続落。850ドルの心理的節目はサポートラインとはならず、6年11カ月ぶり安値圏での安値更新継続。引け後は金の底堅さに追随するように850ドル台回復の動きに。
南アランド建てプラチナ価格も3年ぶり安値圏まで水準を切り下げてきており、そろそろ安値警戒感として意識されそうな状況に。
![ドル円・日足チャート 2015/10/20 - 11/18](https://chart.apis.google.com/chart?chof=gif&chs=260x160&cht=lc&chtt=USDJPY+日足+2015/10/20 - 11/18&chts=0000c2,13&chf=c,s,00a0ff60&chg=0,10&chds=119,124&chd=t0:-1,119.41,119.751,119.61,120.231,120.588,120.157,119.993,120.582,120.283,120.254,120.593,121,121.382,121.636,122.972,123.026,122.735,122.551,122.454,122.221,123.168,123.215,-1|-1,119.48,119.829,119.912,120.688,121.465,121.096,120.438,121.086,121.103,120.369,120.748,121.06,121.563,121.763,123.263,123.172,123.117,122.85,122.62,122.245,123.169,123.445,-1|-1,119.835,119.912,120.687,121.438,121.093,120.447,121.083,121.121,120.62,120.752,121.062,121.547,121.741,123.161,123.167,123.134,122.851,122.605,122.618,123.17,123.439,123.628,-1|-1,119.959,120.089,120.767,121.473,121.481,121.096,121.255,121.181,121.472,120.809,121.226,121.712,122,123.266,123.6,123.436,123.221,123.07,122.985,123.275,123.487,123.753,-1&chm=F,3F3F3F,0,-1,8&chxt=x,y&chxl=0:||10/20|||10/23|||10/28|||11/2|||11/5|||11/10|||11/13|||11/18||1:|119.0|119.5|120.0|120.5|121.0|121.5|122.0|122.5|123.0|123.5|124.0)
ドル円は0.15%のドル高円安で4日続伸。FOMC議事要旨を受けて123円50銭付近で推移していたドル円は瞬間的に123円70銭台から123円30銭台までのレンジで乱高下、その後もドル買いの流れはそれほど進まず。今朝時点では逆にやや円高気味の推移。日々の流れとしてはゆっくりとした堅調推移で目標水準124円を目指す流れが継続中。新たなドル高材料、もしくは(可能性は低いが)円安材料で流れが加速することがあれば125円も可能か。逆流することがあれば122円台半ばまででサポートされる可能性、ここを割り込むと1円超の円高へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/18終値とチャート
19日の国内金価格は0.4%の反発。NY金に底堅さが見られたことで、円安サポートによって下支えされた形、10月末からの下落局面にようやく減速感も。4530円台辺りまでもう一段の下落余地も残す状況ながら、4600円前後の節目水準を下抜けたことで売られ過ぎの巻戻しがゆっくりと進行する可能性も。上方向には4600円が当面の抵抗水準となり、しっかりと上抜けると4600円台後半へと短期反発局面継続の可能性。
国内プラチナ価格も0.61%の反発。円安ではサポートしきれない急落局面も終盤に差し掛かってきた可能性も。反発基調継続への節目は4700円。この近辺までの反発で上値を押さえられる可能性も高く、もし上抜けできれば3700円台後半へと上値余地も拡大。一方で下方向には3570円台付近までの下値余地も継続。
※参考:
金プラチナ国内価格11/19とチャート
2015年11月19日(木)時点の相場
国内金:4,569 円 11/19(木)
▲18(
0.40%)
国内プラチナ:3,650 円 11/19(木)
▲22(
0.61%)
NY金:1,068.7 ドル 11/18(水)
▲0.1(
0.01%)
NYプラチナ:848.0 ドル 11/18(水)
▼7.0(
0.82%)
ドル円:123.63 円 11/18(水)
▲0.19(
0.15%)
11/18(水)のその他主要マーケット指標
2015年は増加見通し-世界のプラチナ需要と供給量 11/20(金)
米鉱工業生産は低迷状態続くも製造業は回復の兆しも 11/18(水)
テロに屈しないマーケット、有事の金も限定的 11/17(火)
パリ同時多発テロ後の国内プラチナ価格下値メド 11/16(月)
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