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米PCEインフレ上昇気配なし、金相場堅調推移に終息の気配なし?
更新日:2016年08月03日(水)
PCEデフレーター 2016年6月米商務省が発表した6月の個人消費支出(PCE)の物価指数、PCEデフレーターは前年比+0.9%と予想どおり。食品とエネルギーを除いたPCEコア・デフレーターも市場予想どおりで前年比+1.6%。PCEデフレーターは5月からも変わらず、コアPCEは3月以降4カ月連続変わらず。
なお、PCEは4月と2月が0.1ポイント、1月は0.2ポイントの下方修正、コアPCEは1月分が0.1ポイント下方修正。2013年以降全般に上下0.1-0.2ポイントの修正が入り、2015年はPCEが年間合計0.6ポイントの上方修正、コアPCEは0.8ポイントの上方修正。2014年はPCE+0.7ポイント、コアPCE+1.1ポイントの上方修正、2013年はPCE-0.6ポイント、コアPCE-0.5ポイントの下方修正。
全体的には2014-15年の2年間が上方修正、2016年分は下方修正されたことにより、わずかに最近の失速傾向が気になる状態となっています。

FRBの利上げに向けての重要指標となるPCE、特にコアPCEが目標水準2%に達していたのは、近年では2011年12月から2012年4月までの5カ月間のみ。それ以前では2008年9月まで遡ることになります。2012年5月以降、4年1カ月間連続で目標水準未達の状態が続き、今年2月に1.7%まで上昇した後は1.6%での横ばい推移が続きます。
原油安の影響を受けやすいPCEも、昨年末からの急回復状態が今年に入って失速。足下での原油相場下落が再び足を引っ張る状態となってきています。

ダラス連銀のカプラン総裁は、米経済に悪影響を及ぼしかねない海外リスクが依然として複数存在するとし、注視する必要があるとの見解を示しました。
また、「インフレは中期的に目標水準に向けて加速する公算」としながらも、追加利上げに向けては「インフレが2%に向かう確証欲しい」と複数のFRBメンバーと同様の見解で、「インフレ見通しに警戒」感もあることを示唆しています。

現状では、PCEインフレに上昇気配はなく、コアPCEが目標水準2%に到達するには相当の時間を要しそうな状況にあり、その兆しすら見られない状態=「2%に向かう確証」が見られない状態はまだしばらく続きそうです。
この状況が追い風となって、金相場の堅調推移にも、なかなか終息の気配が見られません。

NY金・日足チャート 2016/7/1 - 8/22日のNY金相場は0.96%高となって6日続伸。終値では2014年3月17日(1372.9)以来、2年4カ月ぶりの高値水準に達し、短期上値目標1370ドル付近にもしっかりと到達。6日続伸以上となるのは4月と6月に続いて今年3度め。NY原油が4月7日以来4カ月ぶり安値となって終値でも40ドル割れ、NYダウは1年ぶりの7日続落と軟調推移、ドル安地合いも続く状況から金への資金流入も継続。SPDRゴールド・シェアの金ETF残高は今年ピークとなった7月5日の982.72トンから26日までに28.49トン減少し、2日には969.97トンヘと15.74トン増。金価格の調整局面では再び買われて保有量増加とともに金相場も再上昇の展開。短期的には再度調整か高値揉み合いか、という状況も米指標結果などを材料にさらに上値を伸ばすような展開も。9-21日移動平均線のゴールデンクロスも目前となり、勢いが続けば1400ドル台タッチもあり得る状況か。

NYプラチナ・日足チャート 2016/7/1 - 8/2NYプラチナ相場も6日続伸で0.76%の上昇。NY市場では昨年4月6日(1188.2)以来、1年4カ月ぶりの高値となる1183ドルまで上昇し、終値でも連日の高値更新。プラチナの6日続伸以上も今年3回め。短期的には上値目標1160ドル付近をかなりオーバーランしており、若干の調整も予想されるところだが。いったん調整となれば1130ドル近辺まではすぐにでも。

ドル円・日足チャート 2016/7/4 - 8/2ドル円は1.46%の大幅ドル安円高となって101円割れ。事業規模28.1兆円の経済対策が閣議決定されて材料出尽くし。債券市場も波乱の展開で10年債利回りは急騰し、日米金利差急縮小の流れとともに円高も加速。原油安株安の流れにも連れてNY市場では7月11日(100.54)以来の円高水準となる100円60銭台まで下げ、終値では8日の100円40銭台以来となる100円80銭台となって下値目安101円付近もクリア。経済対策期待が急速に高まった7月11日からの上げ幅をほとんど帳消しにする形となり、6月24日安値と合わせて3番底を形成した状態。ここから反発出来なければその可能性は崩れ、さらなる下値トライで一時的にでも99円付近を試して2番底となる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/2終値とチャート

3日の国内金価格は0.19%の小幅反落。NY金の堅調推移と再燃する円高リスクとの綱引き状態からの保ち合い状態が継続。双方とも予想された水準に到達し、イベント待ち状態へ。流れ継続で行き過ぎの展開の場合にはNY金の上げ幅が若干勝って国内価格も上昇へ、巻戻しの展開となる場合、目先は円安要因ではなくドル高要因が予想され、バランス均衡状態となって国内価格は保ち合い継続へ、との予想も成り立ちそうな状況か。単体で見れば流れは下方向で4700円近辺までの下値目安も継続。

プラチナ価格も0.37%の小反落。金と同様に保ち合い状態へと移行中も勢いとしてはわずかに上方向優勢か。4120円程度までの上値トライ継続の可能性を残しながら、逆に4000円割れの場合には3950円前後までは調整局面進行となる可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格8/3とチャート

2016年08月03日(水)時点の相場
国内金:4,750 円 8/3(水) ▼9(0.19%)
国内プラチナ:4,030 円 8/3(水) ▼15(0.37%)
NY金:1,372.6 ドル 8/2(火) ▲13.0(0.96%)
NYプラチナ:1,172.1 ドル 8/2(火) ▲8.8(0.76%)
ドル円:100.89 円 8/2(火) ▼1.49(1.46%)
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