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★金プラチナ短期相場観★

トランプラリーのドル高急進でも急回復続く米国の製造業
更新日:2016年12月16日(金)
NY連銀製造業景況指数とフィラデルフィア連銀製造業景況指数 2016年12月12月のNY連銀製造業景況指数は+9.00。市場予想の+4.00程度を大きく上回り、4月(+9.56)以来8カ月ぶりの高水準へと急上昇。8月(-4.20)から10月(-6.80)までの3カ月連続マイナス圏推移の低迷期を抜け出し、急回復が進行中。新規受注は2014年9月以来2年3カ月ぶりの高水準となり、出荷も好調を維持し、半年後の見通しを示す期待指数は10月の+29.9から+50.2へと急騰、2012年1月(+51.3)以来、ほぼ5年ぶりの高水準となっています。

フィラデルフィア連銀製造業景況指数も同様に好調となり、12月は市場予想の+9.1を大きく上回る+21.5。2014年11月(+33.6)以来2年1カ月ぶりの高水準。昨年9月から年明けまでのマイナス圏推移、今年7月までは0ラインをはさんでの揉み合い状態から完全に抜け出しての好調が続きます。こちらも期待指数は11月の+29.3から12月は+52.6へと急騰し、2015年1月(+54.9)以来、ほぼ2年ぶりの高水準。

マークイットの製造業PMIも発表され、米国の12月速報値は54.2。11月の54.1からは小幅上昇も2015年3月(55.7)以来、1年9カ月ぶりの高水準となり、こちらも回復基調が進行中。
製造業PMIの好調は米国内に限らず、日欧もこれに続きます。日本の12月製造業PMI速報値は51.9へと上昇し、1月(52.3)以来の高水準を回復。ドイツの12月速報値も55.5となり、2014年1月(56.5)以来ほぼ3年ぶりの高水準。フランスも53.5へと上昇し、5年7カ月ぶりの高水準。ユーロ圏の54.9は5年8カ月ぶりの高水準。

今年後半の製造業の回復基調は世界的にも鮮明な状態となり、トランプラリーとの相乗効果で米国の製造業回復基調も急速に進行しているようです。

その一方で、15日にユーロは対ドルで2003年1月以来、ほぼ14年ぶりとなる1.0360台までドル高ユーロ安が進行し、いよいよパリティ(1ユーロ=1.00ドル)もちらつく水準となってきました。対ユーロでのドル高急進に伴い、ドルインデックスも2003年以来、13年ぶりとなる103ポイント台に到達しています。

本来、米国の製造業にとっては悪材料となるドル高が急速に進行する状況が、今後もまだしばらく続くようなら、いずれ米製造業の回復基調も失速し始めることにもなりそうです。それを警戒しての米当局からのドル高懸念発言や、トランプ次期大統領のツイートにも警戒感が高まります。
そして、そんな発言やツイートが金にとってのサポート材料となる時期が、そろそろ近づき始めているのかもしれません。

NY金・日足チャート 2016/11/15 - 12/1515日のNY金相場は前日比-33.9ドル、2.91%の大幅反落。1年ぶりの利上げ決定後に1140ドルまで急落すると、小康状態となったのは東京市場まで。今回は下げ渋りも?との安易な予想に反してロンドン市場からはユーロ売りに牽引される形でドル買いの勢いが再加速。NY市場では1130ドルを割り込み、一時2月2日(1122.6)以来10カ月半ぶりの安値水準となる1124ドルまで下落。この日の下げ幅はトランプラリーが急加速し始めた米大統領選後の11月11日の-42.1ドル(3.32%)以来で、2.5%超の下落は今年4回目。また、1年前に利上げを決めたFOMC明けの日、2015年12月17日にも同様の展開で-27.2ドル(2.53%)の急落となっており、やはり、ロンドン・NYでの再加速の勢いは侮れない。昨年はこの17日が終値ベースでの最安値となり、その後反発基調がスタートしており、今年も同じようなタイミングで底値反転へとむかう?かどうかは、想定以上に強いトランプラリーに乗ったドル買いの動向次第に。水準的には昨年安値から今年高値までの76.4%戻し(1123.8)をほぼ達成しており、目先は1100ドルの心理的節目が下方向への目安水準に。

NYプラチナ・日足チャート 2016/11/15 - 12/15NYプラチナ相場は4日ぶりの反落で-47.2ドル、5.02%大幅急落。金に追随する展開となり、920ドル台でいったん下げ止まっていた東京市場から、ロンドン市場からの売り再開でNY市場ではサポートラインと見ていた900ドルの大台も突破。想定以上の下げ幅となり、2月3日(880.1)以来10カ月ぶり安値圏、金と同等の水準に追いついた形。1日の下げ幅としてはバーナンキショックとなった2013年6月20日の-60.1ドル(4.22%)以来、3年半ぶりの大幅下落。900ドル台の節目をしっかりと割り込んでしまったことにより、一段安の展開も想定され、当面の下値目安は2月に揉み合いを形成していた870ドル近辺まで。

ドル円・日足チャート 2016/11/16 - 12/15ドル円は0.96%の大幅ドル高円安となって3日続伸。欧州市場でのドル高ユーロ安の流れに連れて118円台に到達すると、一時118円60銭台まで上昇し、NY終値でも118円台を維持。終値では2月1日(120.97)以来、10カ月半ぶりのドル高円安水準。昨年高値から今年安値の76.4%戻しとなる119円半ばも目前となり、120円の大台回復もいよいよ視野に入ってきた状態。120円20銭を超えると、今年の年足でも陽線転換となり、年末にかけては5年連続のドル高円安をかけた攻防へ。目先、大幅調整はいつでも入りやすく、目安としては115円台まではサポートラインも見当たらない状況。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/15終値とチャート

16日の国内金価格は0.52%の反落。ドル高に支えられての円安基調の場合には、相対的に下落幅が大きくなりやすいNY金の下落によって、国内金価格はゆるやかな下落基調が進行しやすい状態。今朝は4580円から4620円付近までのレンジ内推移の下限で踏みとどまった状態。上方向への流れも見えはじめていた状態からの反落で再び下方リスク再燃、下限割れの場合には11月安値近辺となる4510円程度まで下値余地拡大へ。
週間ベースではわずかに-2円(0.04%)となり、小幅に3週続落。

プラチナ価格は2.3%の大幅安となって4日ぶりの反落。上値目安3740円台付近にほぼ到達したことによる一服感では済まず、NYプラチナの急落によって堅調推移の大幅巻き戻しへ。目先3630円台の節目水準を割り込むようだと短期トレンド逆転の可能性が高まり、当面の下値目安は11月末の揉み合い水準、3570円台辺りまで。
週間ベースでは-19円(0.52%)、4週間ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格12/16とチャート

2016年12月16日(金)時点の相場
国内金:4,583 円 12/16(金) ▼24(0.52%)
国内プラチナ:3,653 円 12/16(金) ▼86(2.30%)
NY金:1,129.8 ドル 12/15(木) ▼33.9(2.91%)
NYプラチナ:893.6 ドル 12/15(木) ▼47.2(5.02%)
ドル円:118.17 円 12/15(木) ▲1.13(0.96%)
→12/15(木)のその他主要マーケット指標

←米11月住宅着工件数は1年9カ月ぶりの大幅減、金利上昇で失速も 12/17(土)
→トランプ期待を一部織り込んでFOMCの利上げペースは年3回へ 12/15(木)
→この1年間で最も大量の金を購入した中央銀行は? 12/14(水)
→トランプ期待にもインフレ期待は高まらず、FOMCインフレ見通しも? 12/13(火)

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