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★金プラチナ短期相場観★

保護主義への警戒感からトランプ相場停滞、コアPCEも停滞
更新日:2017年01月31日(火)
PCEデフレーターとNY原油価格推移 2016年12月英国ではトランプ米大統領への公式訪英要請を撤回するよう求める請願の署名が100万人を超え、オバマ前米大統領もイスラム圏7カ国出身者を入国禁止とする大統領令に対して非難を表明しました。
トランプ新大統領が推進する保護主義政策、移民政策への反対運動や非難の声は世界中へと拡大し、この状況が市場に及ぼす影響への不透明感から、市場はリスクを警戒する動きが強まり、NYダウは2万ドル割れ、日米欧の主要株価指数も全面安の状態となっています。
一度は再開の兆しも見られたトランプ相場はトランプリスクへと変化しつつあり、停滞状態へと陥りつつあるようです。

30日に米商務省が発表した12月の個人所得・消費統計で、個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+1.6%となり、11月の+1.4%から加速し、2014年9月(+1.6%)以来2年3カ月ぶりの高水準となりました。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCEは前年比+1.7%で11月から変わらず。2014年7月以来2年3カ月ぶりの高水準となった10月の+1.8%からはやや減速した状態が続いています。

NY原油価格の12月平均は52.17ドルとなり、1年前の37.33ドルから大きく上昇したことがPCEを押し上げた形となっています。
なお、原油価格は月間平均で2016年1月に31.78ドル、2月に30.62ドルと底値をつけて反発、6月には48.85ドルまで回復し、2016年後半は50ドル手前での揉み合い状態となり、12月に50ドル超へと上昇、2017年1月の平均は現時点で52.6ドルと小幅上昇となっています。

昨年前半に急騰した原油価格によるPCEの押し上げ効果は今年前半までは継続することが予想され、PCEがもう一段上昇することになれば、やや停滞気味のコアPCEもやがて押し上げられることになりそうです。
ただ、昨年後半には原油価格がやや停滞気味となったことで、今年後半のPCE押し上げ効果も剥落することが予想されます。そうなるとPCE加速に伴うコアPCEの押し上げ効果も減速することになります。

FOMCでの2017年末見通しPCE+1.9%、コアPCE+1.8%に対してはもう既に十分射程距離内、とも言えますが、今年前半のうちにかなり近づいておかなければ、年後半の失速で未達、ということも有り得そうです。

不透明感漂うトランプリスクへの警戒感と、コアPCEの停滞感により、3月追加利上げの可能性は極めて低そうで、今回のFOMC声明文もそれほどタカ派とはならない可能性のほうが高そうです。

NY金・日足チャート 2016/12/28 - 1/3030日のNY金相場は0.4%高となって5日ぶりの反発。入国規制の大統領令に対する反感も強まり、トランプリスクへの不透明感からの主要先進国株は全面安、ドル・インデックスこそ小幅安にとどまったものの円買いスイスフラン買いが強まるリスクオフの展開で金も買い優勢の展開。しかし、1200ドルラインへの抵抗感もあり、上値も重い状態。先週末安値1179.7ドルで短期下値トライを終えた可能性も反発し切れない形となり、再度1170ドル台までの下落リスクを抱えつつ上値は1220ドルまでが目先の上限に。

NYプラチナ・日足チャート 2016/12/28 - 1/30NYプラチナ相場は1.04%の大幅続伸。金に連動しての反発局面では相対的に上げ幅を拡大するプラチナらしい動きとなり、金との価格差は199.7ドルまで縮小。価格差が200ドル未満となるのは8月10日以来5カ月半ぶり。上昇トレンド再加速に向けて上値トライの兆しも。当面の上値抵抗水準となる年初来高値と11月高値圏1010ドルを超えることが出来れば一段高の展開が見込まれ、上値目標1040ドル近辺へ。ただし反落で980ドル割れの場合には下値トライ再開の展開で目安水準は950ドル割れも。

ドル円・日足チャート 2016/12/29 - 1/30ドル円は1.14%の円高で3日ぶりの大幅反落。入国規制に伴う混乱は市場のリスク警戒感を煽る形となり、株安円高基調に。ドル・インデックスで見れば年初からの調整局面は1月後半以降下げ渋る状態となっており、大きな流れではドル高傾向は継続。ドル円では短期的に115円半ばを目指した反発の流れは先週末高値115円30銭台で折り返し、目先113円前半から115円までの保ち合い傾向に。ダブルボトムのネックラインも意識されての反落基調継続で113円前半を割り込んだ場合には年初来安値更新、11月末安値圏となる111円近辺までが下値目安に。反発で115円突破なら116円程度までの上昇は見込みやすいところ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/30終値とチャート

31日の国内金価格は3日ぶりの反落で0.76%安。ゆるやかに下降し始めた9日移動平均線に上値を押さえられ、右肩上がりの21日移動平均線割れへと反落し、下値警戒感も高まる状態に。続落で4670円を割り込むと90日移動平均線付近までの下落も見込まれ、逆に4720円台へと反発出来れば年初来高値更新、4800円手前辺りまでの上昇局面再形成となる可能性も。
月間ベースでは+28円(0.6%)で小幅続伸。

プラチナ価格も0.57%の反落。ダイバージェンスが示唆したとおりの軟調な展開はもう一段進行する可能性もあり、3850円台を割り込んだ場合には1月半ばの安値3800円前後までが下値目安に。やや抵抗感が強い近年の主要レンジ上限3900円を突破できた場合には強めの上昇トレンド形成へとつながる可能性もあり、上値目標水準は3970円近辺まで。金との価格差は807円となり、8月24日(800円)以来5カ月ぶりの水準まで縮小。
月間では+230円(6.32%)の大幅高で3カ月続伸。
※参考:金プラチナ国内価格1/31とチャート

2017年01月31日(火)時点の相場
国内金:4,677 円 1/31(火) ▼36(0.76%)
国内プラチナ:3,870 円 1/31(火) ▼22(0.57%)
NY金:1,193.2 ドル 1/30(月) ▲4.8(0.40%)
NYプラチナ:993.5 ドル 1/30(月) ▲10.2(1.04%)
ドル円:113.77 円 1/30(月) ▼1.31(1.14%)
→1/30(月)のその他主要マーケット指標

←シカゴPMIと消費者信頼感指数下振れ、トランプは為替へ口先介入 02/01(水)
→米消費マインドは13年ぶり高水準、市場マインドには警戒感 01/30(月)
→米GDPも耐久財受注も下振れ、経済指標軽視相場への影響は限定的 01/28(土)
→新築住宅販売件数は10カ月ぶりの水準へと失速も米株高は続く 01/27(金)

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