FF金利引き上げ、見通し据え置きで米10年債利回り急落、金急騰
更新日:2017年03月16日(木)
3カ月ぶりの利上げを決めた3月FOMCでは、
FF金利見通しドットチャートの2017年末中央値は1.375%で前回12月から変わらず。今回の利上げを含めて年3回の利上げ見通しは据え置きとなりました。2018年末の中央値も2.125%で前回から変わらず年3回、2019年末の中央値は2.875%から3.000%へと上昇も0.25%単位の利上げ回数では年3回据え置き。長期見通し3.000%も変わらず。
ドットのバランスは前回と比べてわずかに上方シフトした形にはなっていますが、中央値では2019年以外は変わらず、利上げ回数では全く変わらずという状況です。
また、経済見通しは以下のとおり(※括弧内は前回、-は変わらず)
GDP
2017年:2.1%(-)、2018年:2.1%(2.0%)、2019年:1.9%(-)、長期:1.8%(-)
失業率
2017年:4.5%(-)、2018年:4.5%(-)、2019年:4.5%(-)、長期:4.7%(4.8%)
PCEインフレ
2017年:1.9%(-)、2018年:2.0%(-)、2019年:2.0%(-)、長期:2.0%(-)
コアPCEインフレ
2017年:1.9%(-)、2018年:2.0%(-)、2019年:2.0%(-)
GDPの2018年、失業率の長期見通し以外は全て前回と同じ。
全般的に前回からほぼ何も変わらないという印象が強く、今回の利上げに関しても全会一致ではなく、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が反対票を投じていることもハト派イメージが強くなった要因の一つとなったものと思われます。
利上げペース見通しが加速しなかったことによる安心感から欧米株は上昇、利上げペース加速を織り込み過ぎた米ドルは急速に売られ、
米10年債利回りは12月利上げの時と同水準となる2.6%がピークとなって急反落。対照的にNY金は12月利上げの時からボトムを50ドルほど切り上げ、1200ドルを底値に急反発へと向かい始めました。
ただし、FF金利見通しを平均値で見ると、2017年末は前回の1.368%から1.404%へ、2018年は2.228%から2.316%へ、2019年は2.801%から2.890%へ、長期見通しでも2.953%から2.969%へと全般に上昇しています。
0.25%単位の利上げ回数で換算すると、2017年は3回ですが、2018年は4回となり、2019年は2回となります。
今後も少しづつ、全般的にドットが上方シフトし、平均値が上昇することになれば、利上げペースが若干前倒しになる可能性はありそうです。
15日のNY金相場は0.16%の小幅続落。しかし、FOMCの結果を受けて引け後の時間外では1200ドルから1220ドル台へと急騰。NY市場では利上げペース加速を警戒して1200ドル割れを試す場面もあったものの、結果的に利上げ見通し維持がサプライズとなった形で1週間ぶりの水準を回復。SPDRゴールドシェアの金ETF保有残高は前日の834.99トンから839.43トンへとさらに増加しており、3日連続の増加。1200ドルでの底堅さを信頼し、今回の利上げ見通し維持を予想していたかのよう。当面の下値サポートラインとなる1200ドルでの足場固めを終え、反発局面形成への可能性も。ただし、オランダ下院選の出口調査では与党、自由民主党が最大議席確保と伝えられ、反EU勢力拡大回避の見込みとなり、フランス大統領選への影響に対する警戒感は一服。目先は週末のG20に若干の波乱要因も。
NYプラチナ相場も終値ベースでは0.22%の小幅続落で今年安値を更新、しかし時間外での急騰局面では1週間ぶりとなる950ドル台へ。抵抗線となりつつあった950ドルを上抜け、今朝の時間外では960ドル台へとさらに上昇。90日移動平均線との攻防水準まで値を戻し、ここを突破できれば反発基調継続への期待も高まり、1月末安値圏980ドル台が次の上値目安となり、930ドル台が当面の下値サポート水準に。
ドル円は1.2%のドル安円高と大幅続落。今回のFOMCでの利上げをほぼ100%織り込み、今後の利上げ見通し引き上げと見る向きは予想以上に多かった様子。声明文発表後には、一瞬たりとも上昇することなく114円50銭台から113円60銭台へと急落。イエレン議長会見を経て一時113円10銭台までさらに下落し、半月ぶりのドル安円高水準に。前回12月利上げの時には、決定翌日の15日に118円台の高値をつけたのに対し、今回は利上げ決定前日に高値をつけた形に。113円台後半の節目を割り込んだことにより、目先は112円台後半までの円高リスクは残り、上方向には115円が当面の抵抗水準に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/15終値とチャート
16日の国内金価格は3日ぶりの反発で0.63%高となり、13日の水準まで反発。利上げ見通し現状維持もオランダの選挙ではリスク回避が強まることはなさそうな状況となり、反発度合いも限定的に。9日移動平均線にも押さえられる形となり、3月の下落基調に明確な変化はまだ見られない状態、当面の下値目安4700円近辺までを試しに行く可能性は残される状況か。
プラチナ価格は3日ぶりの反発で1.27%の大幅高。急落局面からの小幅保ち合い下抜けでさらなる下値トライへの兆しとなっていた状態から巻き戻され、5日ぶりに90日移動平均線もわずかに上抜け、目先は3800円近辺まで反発余地を拡大。ただし、この流れも巻き戻されて今年安値再更新となるようなことがあれば、下値トライ再加速となり、12月後半安値圏となる3630円台辺りまでが次の下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格3/16とチャート
2017年03月16日(木)時点の相場
国内金:4,767 円 3/16(木)
▲30(
0.63%)
国内プラチナ:3,761 円 3/16(木)
▲47(
1.27%)
NY金:1,200.7 ドル 3/15(水)
▼1.9(
0.16%)
NYプラチナ:936.8 ドル 3/15(水)
▼2.1(
0.22%)
ドル円:113.37 円 3/15(水)
▼1.38(
1.20%)
3/15(水)のその他主要マーケット指標
米地区連銀とISM製造業景況指数はそろそろピーク水準に 03/17(金)NY連銀2月消費者調査でもインフレ期待値は上昇傾向だが 03/15(水)米10年債利回りは2.6%超え、NY金は1200ドル割れへの警戒感も 03/14(火)国内プラチナ価格の急落、ここまでは想定の範囲内 03/13(月)
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