世界のプラチナ需給 2017年第1四半期
更新日:2017年05月16日(火)
WPIC(World Platinum Investment Council)のプラチナ需給レポートによると、2017年第1四半期の世界全体でのプラチ総供給量は54.4トン(鉱山41.4t、リサイクル13.1t)。前期の58.9トンからは4.5トン減少し、前期比-7.7%(鉱山-6.0%、リサイクル-12.5%)、前年同期比では-3.6%(鉱山-6.3%、リサイクル+6.3%)となっています。
国別の鉱山産出量では南アフリカが29.9トンとなって前期比-9.9%、前年同期(25トン)以来の30トン割れへと減少、世界シェアも69.1%となってわずかながら前年同期(63.4%)以来の70%割れ。その前年同期比では+19.3%の大幅増。
その他の国ではロシアが5トン台、ジンバブエは3トン台、北米は3トン前後の水準での推移が続き、世界シェアは概ね南アフリカが70%、ロシア12%前後、ジンバブエと北米が7%前後、これ以外の国が3%程度、という状態が続いています。
2017年第1四半期の世界のプラチ総需要量は63.8トン。前期の67.7トンからは3.9トン減少し、前期比-5.7%、前年比では-1.2%といずれも小幅に減少。
内訳は自動車触媒27.8トン(前期比、前年比ともに+2.3%)、宝飾品19.3トン(前期比-8.8%、前年比+3.3%)、工業関連14.2トン(前期比+13.8%、前年比+2.2%)、投資2.5トン(前期比-63.6%、前年比-48.4%)。
工業用では、ガラス産業の需要が前期の0.2トンから2.0トンへと急増していました。
ディーゼル車の多い西欧を中心に自動車排ガス触媒需要は堅調に推移し、投資需要では地金・コインなどの現物需要が前期の3.4トンから0.8トンへと大幅減、プラチナETF関連では前期3.6トンの買い越し量が2.0トンヘと減速。プラチナ価格が2016年第4四半期平均の945ドルから、2017年第1四半期平均では982.6ドルへと上昇したことが影響したようです。
需給バランスでは9.3トンの供給不足。不足量は前期の8.7トンから小幅に拡大。2017年通年見通しでも2.0トンの供給不足が予想され、2013年以降では5年連続の供給不足が見込まれ、地上在庫は2013年の105.9トンから2017年末には58.6トンまでの減少が見込まれる状況。
なお、プラチナの価格動向としては年後半に向けて若干の上昇も予想され、そうなれば宝飾需要や投資需要は減少傾向となりやすく、供給不足傾向は一段と緩和されることにもなりそうです。
ただし、5月15日時点での四半期平均価格は946.5ドルまで低下しており、第1四半期からは36.1ドルの下落となっています。
4月のプラチナ価格下落に伴い、中国や日本などでの現物需要は既に増加し、プラチナ価格の下げ止まりに貢献している可能性もありそうです。
15日のNY金相場は0.19%の小幅高となり4日続伸。1230ドルでは上値が重くなる状態が続くもロンドン市場にかけては何度か上値トライ、NY市場朝には5月のNY連銀製造業景況指数が予想外の-1.0へと低迷したことを受けて一時1230ドル台後半まで上昇。しかし、ロシアとサウジアラビアの原油協調減産延長表明を受けての原油高を好感した株高の流れが強まり、NASDAQやDAX、FTSEなどが揃って過去最高値を更新。世界同時株高のリスクオンには金の上値も重く、1230ドル前後まで反落の展開に。終値では5月3日(1248.5)以来2週間ぶりの高値水準とはなったものの、この日も90日移動平均線(1234ドル)に上値を押さえられた形となり、反発の勢いも限定的。目先は1240ドル付近までの間で90日移動平均線との攻防が続きそうな状況に。
NYプラチナ相場は1.22%の大幅反発となり、5月1日(932.2)以来半月ぶりの高値水準。欧州株高の流れを好感するように900ドルから920ドルまでの小幅保ち合いをしっかり上抜けると、NY市場朝には金の急騰局面に追随して940ドル近辺まで上昇。短期上値目標940ドル台にもあとわずかのところまで急騰したこともあり、その後は金の失速に合わせて930ドル割れへと反落。流れは好転しつつあり、920ドル超の水準を維持できれば再度940ドル台への上値トライのチャンスも。
ドル円は0.4%のドル高円安となり、3日ぶりの反発。113円台後半では上値が重く、原油高と株高の流れを好感する形での上値トライも113円80銭台まで。先週末の4月小売売上高やCPIに続き、この日も5月のNY連銀製造業景況指数が低迷し、第2四半期の景気上向きの兆候が見られないことが今後の利上げペースにも影響を及ぼす懸念材料となり、ドルの重石に。113円台前半から114円台前半までの小幅保ち合いを形成する形となり、上抜けできれば115円台へ、下抜けの場合には112円台前半へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/15終値とチャート
16日の国内金価格は0.46%の反発。5月2日(4,839)以来2週間ぶりの高値水準となり、4790円台の呪縛からようやく解き放たれた状態に。ただし、流れ好転に向けての目安水準となる水平状態の21日移動平均線(4817円)にぶつかってとまった状態でもあり、いったんはこの近辺を上限に保ち合い形成ともなりやすいところ。4790円台が当面のサポート水準候補となり、9日移動平均線とともに21日線をゴールデンクロスできれば高値更新トライのチャンスも。
プラチナ価格は1.39%の大幅反発で4月26日(3657)以来、3週間ぶりの水準を回復。9-21日移動平均線をまとめて上抜けてパーフェクトオーダーから脱却、金との価格差も1162円へと急縮小で4月24日(1133)以来3週間ぶりの水準に。比較的抵抗感なく上昇しやすい水準と見られた3640円近辺が今度はサポートラインとなれば、4月後半まで保ち合いを形成した3640-3690円が目先の主要レンジに。
※参考:
金プラチナ国内価格5/16とチャート
2017年05月16日(火)時点の相場
国内金:4,816 円 5/16(火)
▲22(
0.46%)
国内プラチナ:3,654 円 5/16(火)
▲50(
1.39%)
NY金:1,230.0 ドル 5/15(月)
▲2.3(
0.19%)
NYプラチナ:928.7 ドル 5/15(月)
▲11.2(
1.22%)
ドル円:113.79 円 5/15(月)
▲0.46(
0.40%)
5/15(月)のその他主要マーケット指標
鉱工業生産は3年ぶり高水準で第2四半期に加速、ドル円は失速 05/17(水)高水準の逆相関続くNY金とドル円、国内では円と金の相関 05/15(月)消費者物価指数(CPI)は第2四半期も失速とまらず 05/13(土)失業保険継続受給者数も28年半ぶり低水準、逼迫続く米労働市場 05/12(金)
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