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ロシアゲート疑惑でリスク回避、新興国通貨と金の年初来騰落率
更新日:2017年05月18日(木)
新興国通貨と金の対ドル騰落率 2017年5月17日トランプ米大統領がコミー前FBI長官に対し、ロシアとの関係を問われて辞任したフリン前大統領補佐官の捜査を中止するよう要請していた?との報道により、不当な捜査介入との批判も出始め、わかにトランプ政権に対する不透明感が高まり、市場では急速にリスク回避の流れが加速する事態となりました。
9日には、ロシアによる昨年の米大統領選への関与を捜査しているとしたコミーFBI長官を突然解任し、10日にはロシアのラブロフ外相とキスリャク駐米大使との会談中に機密情報を漏えいしたとの疑惑も報じられ、トランプ大統領のロシアを巡る行動への不信感が強まっていた矢先の出来事。一部では弾劾も、との声も聞かれ、ロシアゲート疑惑として市場の波乱材料となってきたようです。

今年ここまでは、新興国通貨はリスク・オンと言える状態が続き、概ね対ドルでは新興国通貨高ドル安傾向の推移が続いてきましたが、ロシアゲート疑惑を受けてドル高新興国通貨安へと巻き戻しの動きとなっています。
米国発のリスク回避材料でもあることから、円やユーロ、ポンドや豪ドルなど主要先進国通貨、金に対してはドル安が進行していますが、新興国通貨だけは、従来どおり「リスク回避のドル高」の展開です。

上記のチャートは、昨年末レートを100とした指数で年初来の対ドル騰落率の推移を比較しています。(※通貨は1ドルあたりの各国通貨、GOLDは1ドルあたりの重量に換算して比較)
唯一、ドル高自国通貨安の状態から抜け出せていないのはトルコ・リラ。地政学リスクや政局リスクも続くトルコでも相対的には売られ過ぎたリラ安からの巻き戻し傾向が続き、一時的には年末水準まで戻す場面も見られ始めてはいます。
3月末時点では最も自国通貨高ドル安となっていた南ア・ランドは政局混乱と格下げで4月上旬にはドル高ランド安へと急落、その後は再びランド高ドル安基調となり、ブラジル・レアルと同水準まで戻していましたが、今回のロシアゲート疑惑による急落で、急騰した日本円と順位は入れ替わり。
インド・ルピーは安定的にルピー高ドル安傾向がゆるやかに続き、今回のリスク回避での巻き戻しも限定的となっています。

金の急騰により17日には騰落率1位から2位へと反落したのはロシア・ルーブル。原油価格の回復などで景気も回復傾向となり、金を除けば3月末以降は対ドル騰落率ほぼ1位をキープし、5月には金をも上回っていましたが、今回のロシアゲート疑惑の関係国通貨もさすがに急反落となっています。

NY金・日足チャート 2017/4/12 - 5/1717日のNY金相場は昨年7月以来、10カ月ぶりの6日続伸で1.8%の大幅高。上昇率としては3月FOMC明けの日(2.2%)に次いで今年2番め。ロシアゲート疑惑という米国発のリスクオフとドル売り加速、金利急低下を受けて4月28日(1268.3)以来の高値水準に。200日移動平均(1250.6)を上抜けて2月末から4月初旬までの高値圏ともなっていた節目の1260ドルにも到達。米国政局リスクへの不透明感はそう簡単には払拭されない可能性もあるものの、短期的にはやや行き過ぎの感もあり、水準的にも上昇一服とはなりやすいところ。目先は1250-60ドル近辺を主要レンジとした保ち合いから米政局動向次第で上値トライも。

NYプラチナ・日足チャート 2017/4/12 - 5/17NYプラチナ相場は0.97%高となって3日続伸。金に追随する形での堅調推移も、短期上値目安940ドル台到達後はやや減速気味となり、950ドル手前で頭打ち。多少の調整、保ち合いを経て2月末高値から5月4日安値までの38.2%戻し(953.1ドル)を超えることができれば、半値戻し(971.2)から61.8%戻し(989.2)となる970-980ドル台まで水準を切り上げるような展開も。

ドル円・日足チャート 2017/4/13 - 5/17ドル円は2.04%のドル安円高となって大幅続落。下落率では昨年7月29日(-3.01%)以来、10カ月ぶりの急落。欧州政局リスク後退に伴い、米国政局リスク懸念が急拡大し始めたことにより、低下傾向にあったボラティリティも急拡大。欧州時間までは下値目安112円台前半までの下落で横ばい推移となっていたものの、今回のリスクの根源となるNY市場スタートとともにリスク回避の流れは再加速。NY引け後には一時3週間ぶりの円高水準となる110円50銭台まで下落。短期的にはやや行き過ぎの展開のようにも見られるが、しばらくは米政局動向に振り回されそうな状況に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/17終値とチャート

18日の国内金価格はわずかに1円、0.02%の小幅続落。米政局不安というドル安材料によるリスクオフ局面となったことで、ドル円の下落率が相対的に大きくなったことにより、国内金価格はほぼ横ばい推移の状態。不透明感がくすぶり続けるようなら株安ドル安のリスクオフ優勢の状態が続き、堅調推移のNY金に支えられての保ち合い傾向継続へ。もし仮に、トランプ大統領弾劾へという事態となった場合には、多少の乱高下を経て、意外とリスク回避の巻き戻しとなる可能性もあり、国内金価格も高値トライから急反落、といった急変動に巻き込まれる可能性も。

プラチナ価格は0.98%の大幅安となって3日ぶりの反落。「リスク回避局面でのプラチナの上昇幅はNY金よりも比較的小幅となりやすく、ドル安円高が急進した場合にはこの影響を受けやすい」国内プラチナ価格の推移特性が見られた日。水準的には3640-90円の4月半ば保ち合いレンジを維持できず、21日移動平均(3636円)も下抜けてしまった状態も、流れとしては反発局面を維持する形。上方向への節目となる3660円台を上抜けると3月後半高値超え、3780円台辺りを目指す上昇局面スタートへの可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格5/18とチャート

2017年05月18日(木)時点の相場
国内金:4,813 円 5/18(木) ▼1(0.02%)
国内プラチナ:3,628 円 5/18(木) ▼36(0.98%)
NY金:1,258.7 ドル 5/17(水) ▲22.3(1.80%)
NYプラチナ:946.1 ドル 5/17(水) ▲9.1(0.97%)
ドル円:110.80 円 5/17(水) ▼2.31(2.04%)
→5/17(水)のその他主要マーケット指標

←トランプ政権期待失速の5月、労働市場とフィリー指数は加速へ 05/19(金)
→鉱工業生産は3年ぶり高水準で第2四半期に加速、ドル円は失速 05/17(水)
→世界のプラチナ需給 2017年第1四半期 05/16(火)
→高水準の逆相関続くNY金とドル円、国内では円と金の相関 05/15(月)

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