「デフレ圧力はリフレへ」ドラギECB総裁が金価格も下支え
更新日:2017年06月28日(水)
注目されていたイエレンFRB議長の発言ではタカ派的な見解はほとんど示されず、やや期待はずれに。代わりにタカ派発言が聞かれたのがドラギECB総裁。
ECBによる刺激策はなお必要、としながらもユーロ圏の景気回復の兆候を指摘し、「デフレ圧力はリフレへ」と変わったと発言。
これをきっかけにユーロが急騰し、ロンドン、NY市場にかけて一方的に買われるとユーロドルは前日の1.1180ドルから1.1330ドル台まで150ポイント超、
前日比1.41%の急騰に。
ユーロドルの1日当たりの騰落率では、今年の平均0.38%の3.7倍となり、今年最大。昨年6月3日の1.9%上昇以来、1年ぶりの大幅上昇。この結果、6月27日時点での
年初来騰落率も+7.8%へと跳ね上がり、NYダウの騰落率(7.83%)に匹敵し、NY金(+8.27%)に迫る水準に。
相対的にドルが対ユーロで大きく売られたことでドル・インデックスは急落、96.00ポイント台となり、昨年10月以来8カ月ぶりの低水準へ。
ドル円ではドル買い円売りが進行したにも関わらず、ドルインデックスでの対ユーロの占める割合が大きいことと、ユーロドルの大幅上昇によって相殺されてなおドルの軟調局面を形成した形に。
ドル売り優勢となったこの日の流れではNY金の売り圧力が強まることはなく、むしろ下支えとなってNY金は横ばい推移。ユーロ円の急騰(+1.86%)に連れる形でドル円も上昇し、円安進行が国内価格を押し上げ、結果的にはドラギECB総裁発言が間接的に国内金価格をも下支え。
この日、IMFも景気減速懸念が燻る米国のGDP見通しを引き下げましたが、米国の金融政策正常化への動きが若干足踏み状態となった場合でも、次はユーロ圏での金融政策正常化への流れが始まる可能性も高まります。
この日は金価格を下支えしたECBの動向とドラギ総裁発言が、今後は金相場の上値を押さえる新たな要因として作用することにもなりそうです。
27日のNY金相場は0.04%の小反発。ドラギECB総裁のテーパリング示唆発言でユーロが急騰、と同時にドルインデックスが急落。前日の急落局面からの反発の流れとなっていたNY金はこのタイミングで一時1253ドル台まで上昇。しかし、前日の急落で流れと水準が切り替わった金にとっては、米国に続きユーロ圏の金融政策正常化への動きも重石に。90日移動平均線(1251.4)との揉み合い状態が続き、1240-60ドルのレンジでの保ち合い継続。下限割れで1220ドル前後、上限突破で1280ドルが次の目安となる状況も継続。
NYプラチナ相場も0.23%の小幅反発。ロンドン市場で920ドル半ばまで反発したのがこの日の高値となり、NY市場にかけては920ドルをはさんでの揉み合いに。今朝の時間外も920ドルのレンジ下限以上に戻し切れず、引き続き下落局面形成へと向う可能性も継続。当面の下値目安は今年最安値圏となる890ドル近辺まで。巻き戻しの展開で930ドルの抵抗水準突破なら960ドル台までの反発余地も継続。
ドル円は0.44%のドル高円安となって続伸、1カ月ぶりに112円台を回復。東京市場午後の反落局面で111円40銭台まで下げた後はユーロ円の急騰に牽引される形で反発へ。コンファレンスボードの6月消費者信頼感指数の上振れなどもサポート材料となって112円40銭台までほぼ1円の上昇局面を形成し、90日移動平均線(111.63)突破に伴う
上値目安112円半ばにほぼ到達。5月高値から6月安値までの61.8%戻し(112円30銭近辺)も達成した形となり、一服感も。50%ライン(111円60銭)と90日線近辺までを維持できれば、月末月初の指標結果次第で113円トライのチャンスも。111円前半を割り込んでしまうと調整局面入りも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/27終値とチャート
28日の国内金価格は0.67%の反発。90日移動平均線をはさんでのの乱高下状態が続き、それ以下の移動平均も収斂し、トレンド発生に向けての準備状態に。下値も上値も少しづつ切り上げる形となり、6月9日(4837)以来20日ぶりの高値水準。9日移動平均が90日、21日線をゴールデンクロスするような展開となれば上昇トレンド加速、当面の目標水準は4900円近辺へ。ただし4780円台を割れると下落トレンド形成で4700円割れへ。
プラチナ価格は0.42%の反発。下値トライへの警戒感はNYプラチナの下げ渋りと円安進行で巻き戻し。中期トレンド下向きの状況は変わらずも短期的な方向感は喪失気味となり、金価格と同一方向へと動き出せば短期トレンド形成への可能性も高まることに。3580円超へと抜け出せば上値目標は3660円台へ、3540円を割り込めば下値目標は3430円台まで。
※参考:
金プラチナ国内価格6/28とチャート
2017年06月28日(水)時点の相場
国内金:4,821 円 6/28(水)
▲32(
0.67%)
国内プラチナ:3,556 円 6/28(水)
▲15(
0.42%)
NY金:1,246.9 ドル 6/27(火)
▲0.5(
0.04%)
NYプラチナ:918.7 ドル 6/27(火)
▲2.1(
0.23%)
ドル円:112.35 円 6/27(火)
▲0.49(
0.44%)
6/27(火)のその他主要マーケット指標
「刺激策の一部解除へ」カーニーBOE総裁も金融政策正常化へ 06/29(木)米5月耐久財受注下振れでフラッシュ・クラッシュの金も下げ渋り 06/27(火)金価格は4800円後半、プラチナは3500円前半の重要水準との攻防 06/26(月)信頼感は最もコストのかからない刺激策、好調続くユーロ圏PMI 06/24(土)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン