「刺激策の一部解除へ」カーニーBOE総裁も金融政策正常化へ
更新日:2017年06月29日(木)
前日のドラギECB総裁に続き、この日はカーニーBOE総裁も金融政策正常化に向けての出口論に言及。
カーニーBOE総裁は28日、英国経済の回復に連れてBOEは利上げの必要性が生じる可能性があり、「向こう数カ月のうちに討議」することを表明し、「金融刺激策の一部解除へ」と向う公算があることなどを示しました。
8名中3名が利上げを支持した2週間前の金融政策委員会(MPC)の後、カーニー総裁は先週時点で、今は「利上げのときではない」と完全否定していたものの、その方向に向けての討議は必要な時期に来ていることを認めた様子です。
なお、前日のドラギECB総裁のテーパリング示唆発言については「市場は昨日の発言を間違って受け止めている」と関係者による否定コメントもあったようですが、いったん完全否定したとしても、いずれテーパリング論が再燃するのは時間の問題とも言えそうです。
米国の金融政策正常化に向けての利上げフェーズがゆっくりと進行するなか、ECBもBOEも追随する形で緩和策の出口論についての討議が本格化しようとしています。
日銀を除く3大中央銀行が金融政策正常化へと動き出せば、いよいよ世界的な低金利時代も終わりを告げることになり、金利を産まない金にとっては厳しい時期がやってくることになります。
しかし、米国の出口論がスタートした2013年から金市場は先行して織り込み始め、既に価格水準は大きく下げた状態にあります。
今は低インフレに悩む主要中銀の金融政策正常化に向けた動きにスピード感はありません。米FRBの利上げペースにもさらなる鈍化懸念も生じる状況です。
景気循環的には、米国の金融政策正常化が一段と進行し、欧州や日本も追随していく状況となれば、次は景気後退フェーズ待ちとなり、再び安全資産の金の需要も高まることになります。また、本来インフレ高騰は金にとっての買い材料であり、低インフレの状況から脱し、インフレ上昇がスピードアップするようなら、景気減速懸念も同時に急速に高まることになります。
ただ、現状では、低インフレ下での金融政策正常化の動きにあり、金にとっては非常にデリケートな時期を迎えているようにも思われます。
28日のNY金相場は0.18%の小幅続伸。カーニーBOE総裁発言を受けたポンド買いを始め、ユーロ高基調も継続し欧州通貨高主導の米ドル全面安の流れとなってNY金をサポート。しかし、1240ドル台では底堅く推移も1250ドル台では伸び悩み。ゆるやかに上昇する90日移動平均線(1251.4)も上抜けし切れず、1240-60ドルのレンジでの保ち合い継続。週末から次週の米経済指標などを材料に動き出しを待つ状況に。引き続き上抜けで1280ドル、下抜けで1220ドルへ。
NYプラチナ相場も0.33%の小幅続伸。直近の保ち合いレンジ下限920ドル回復も値動きは極めて限定的に。今年の平均値幅17.4ドルに対して前日の8.6ドルに続きこの日も9.7ドルと連日の1桁台と低ボラティリティ状態。下値トライへと向かい始めた流れも一時的にストップした状態となり、あらためて下方向へと動き出せば890ドル程度までを試しに行く可能性、930ドル超へと反発できれば960ドル台が次の上値目安に。
ドル円はわずかに0.05%のドル安円高となって3日ぶりの小反落。ポンド高主導のドル安の流れを円安で相殺する形となり、上値目安112円半ば到達後の一服状態に。112円後半以上に向けては材料不足も112円割れではしっかり買い支えられる状態で米指標待ちへ。今晩の米1-3月GDP確報値、週末のPCEのデフレーターなどで予想外の結果となればボラティリティ拡大へ。ドル高方向には113円ちょうど付近が次の目安となり、その上は5月高値114円30銭台。円高方向には111円前半がサポート、割れると110円台後半へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/28終値とチャート
29日の国内金価格は0.12%の小幅続伸。90日移動平均線をはさんでの乱高下状態から、わずかに上方向へと動き出しの兆候で流れは着実に好転し始め、上値目標4900円を目指す展開へと少しづつ進み始めた様子も。しかし、市場は月末月初の指標待ちでの小康状態。予想以上の好結果なら流れは巻き戻し方向優勢へ、想定外の悪化傾向が目立つようなら上値トライ優勢の展開へ。
プラチナ価格は0.48%の続伸。上半期末に今年ここまでの底値揉み合い状態を形成し、この鍋底状態の3540-80円のレンジ上限突破に向けての流れが続くかどうかは、今週末以降の米指標結果次第に。上限突破できれば上値目安は3660円台へ、下方ブレイクで底割れなら下値目標3430円台へ。
※参考:
金プラチナ国内価格6/29とチャート
2017年06月29日(木)時点の相場
国内金:4,827 円 6/29(木)
▲6(
0.12%)
国内プラチナ:3,573 円 6/29(木)
▲17(
0.48%)
NY金:1,249.1 ドル 6/28(水)
▲2.2(
0.18%)
NYプラチナ:921.7 ドル 6/28(水)
▲3.0(
0.33%)
ドル円:112.29 円 6/28(水)
▼0.06(
0.05%)
6/28(水)のその他主要マーケット指標
利上げ観測急浮上の英国、消費者信頼感指数はEUとの形成逆転 06/30(金)「デフレ圧力はリフレへ」ドラギECB総裁が金価格も下支え 06/28(水)米5月耐久財受注下振れでフラッシュ・クラッシュの金も下げ渋り 06/27(火)金価格は4800円後半、プラチナは3500円前半の重要水準との攻防 06/26(月)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン