クリーブランド連銀インフレ期待モデルは7月に急反発
更新日:2017年07月28日(金)
低インフレに対する警戒感が若干高まったことが示され、ハト派的に受け止められた7月のFOMC声明文を受けてNY金は急上昇しましたが、その勢いは続かない状態となっています。
PCEやCPIなど、最近のインフレ指標は確かに低迷状態が続いていますが、今後のインフレ動向を予想する指標のなかには、上向きを示す結果も見られます。
本日確報値発表予定のミシガン大の1年期待インフレは7月速報値で2.7%となり、6月の2.6%から上昇(3カ月平均では2.6%で横ばい)し、昨年12月の2.2%(3カ月平均2.3%)が底値となり、ゆるやかな反発傾向。5年期待インフレでも12月の2.3%(3カ月平均2.4%)が過去最低となり、7月速報値では2.6%(3カ月平均2.5%)と反発の兆し。
NY連銀の1年期待インフレ中央値では6月に2.54%となり7カ月ぶり低水準へと下落していますが、3年期待インフレでは1年4カ月ぶり低水準となった5月の2.47%から6月は2.78%へと反発。
クリーブランド連銀のインフレ期待モデルでは、1年先のインフレ率予想は1年3カ月ぶり低水準となった6月の0.96%から7月は1.71%へと急反発。10年先は1.85%、30年先は2.18%といずれも小反発。クリーブランド連銀モデルでは、1年先の数値は時折り急落するケースが見られますが、原油価格の急落局面に大きく反応している様子もありそうです。足下での原油価格の反発局面が7月のインフレ期待急騰につながっているものと推測されます。
なお、各指標で共通しているのは、近年ゆるやかな低下傾向にあること。特にアンケートベースのミシガン大とNY連銀の指数はこの傾向が強く見られます。将来的にインフレ率はそれほど上昇しないだろうと考える人が増加傾向にあることを示しています。
これに対して、他の指標も加味して算出しているクリーブランド連銀モデルでは、長期的には低下傾向にあるものの、足下数年間では概ね横ばい推移となっています。インフレの低下傾向が今後もまだまだ続きそうな状況ではないことを示しているようです。
ただし、7月時点で目標水準2%を超えているのは、18年先以上となっています。
27日のNY金相場は4日ぶりの反発で0.85%高。FOMC直後の急騰で1260ドル台到達後は小康状態、米長期金利の反発とドル買い戻しの流れが強まると、ロンドン時間以降に金買いの流れが強まることはなく、NY朝につけた1265ドルがこの日の高値。NY市場では一時1250ドル台前半まで下落する場面もあり、上値トライへの流れは加速せず。終値ではなんとか1260ドル台維持も今朝の時間外では1260ドル割れ。前日のドル売りがやや過剰反応だった可能性もあり、このまま失速状態が続くようだと1260ドルの節目に上値を押さえられた形で保ち合い回帰の展開も。1260ドル台を維持できれば上値トライへの可能性継続で目標水準1290ドル。下方向には1240ドル台までは比較的強めのサポート水準、割れた場合には7月安値1200ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナ相場は0.4%高となって4日ぶりの反発。FOMC後の930ドル台から、NY朝には一時940ドル寸前まで上昇して失速。NY市場ではFOMC後の上昇分を吐き出す急反落で920ドル台へ。結果的に940ドルの抵抗水準に上値を押さえられ、920ドル台では下値を支えられやすい状態を再確認。7月上旬から続いてきた反発基調も失速気味となり、金との価格差も1カ月半ぶりとなる333.6ドルまで再拡大。レンジ下限割れの場合には900ドル近辺まで、上限突破なら960ドル台までが意識されつつ目先はレンジ継続か。
ドル円は0.04%の小反発もほぼ横ばい推移。東京市場で110円70銭台まで下げた後は米10年債利回りの反発とともに買い戻しの展開へ。米6月耐久財受注が前月比+6.5%と予想上振れの好結果などもあり、NY市場では111円70銭台まで反発。しかし、ムニューシン米財務長官の「為替操作国との交渉は口先だけでは不十分」発言や米株急反落の展開にも連れる形で再び111円割れへと急反落。結果的には111円から112円までの小幅保ち合い下限付近を維持する形となり、上値も重い状態に。今のところは買い圧力も強まる111円ラインを維持できなくなった場合には110円前後までの急落も想定され、112円超えへと反発の場合には113円前半までが意識される保ち合い。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/27終値とチャート
28日の国内金価格は0.19%安となって6日ぶりの反落。NY金の上値トライへの兆しも24時間前の水準とほぼ変わらずで停滞、代わりにドル円の買い戻しの勢いが強まって国内金価格を下支えする可能性もあったものの、こちらも急失速でサポートを外された格好に。ただし短期的な流れとしては上向きを維持し、4830円の節目上抜けのチャンスをうかがう状態。今晩発表される米4-6月期GDP速報値が予想外に下振れるようなことがあれば、これをきっかけにNY金の上値トライ再開に追随する展開も。
週間ベースでは+18円(0.38%)で続伸。
プラチナ価格は0.45%の続落。
6月半ばから1カ月半に渡る底値保ち合い状態から、上抜けトライへ向かおうとしていた動きが巻き戻され、今度は逆に下方リスクが意識され始める状況へ。3560円の短期サポート水準を割り込んでしまったことで3540円ラインと今年安値3529円までが意識されることになり、この水準でサポートされない場合にはやや大きめの下落トレンド形成への可能性が高まり、当面の下値目安は3440円辺りまで。金との価格差も1カ月ぶりとなる1260円まで再拡大、過去最大(1279,6/14)も意識される水準に。
週間ベースでは-26円(0.73%)の反落。
※参考:
金プラチナ国内価格7/28とチャート
2017年07月28日(金)時点の相場
国内金:4,815 円 7/28(金)
▼9(
0.19%)
国内プラチナ:3,555 円 7/28(金)
▼16(
0.45%)
NY金:1,260.0 ドル 7/27(木)
▲10.6(
0.85%)
NYプラチナ:926.4 ドル 7/27(木)
▲3.7(
0.40%)
ドル円:111.22 円 7/27(木)
▲0.04(
0.04%)
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