雇用コスト指数4-6月期は低調、インフレ鈍化も鮮明に
更新日:2017年07月29日(土)
企業が負担するコストの約7割を占めると言われる賃金や福利厚生などの費用の推移を表す雇用コスト指数は、ほぼ賃金動向を示し、インフレへの寄与度の高い指標です。米労働省が発表した4-6月期の雇用コスト指数は前期比+0.5%となり、市場予想の+0.6%を下回りました。ほぼ9年ぶりの大幅な伸びを示した1-3月期の+0.8%からも大きく鈍化しています。
四半期平均でこの推移を見ると、2015年第1四半期に+0.65%まで上昇し、およそ7年ぶり高水準を回復、今年1-3月期にも+0.63%まで再上昇しましたが、4-6月期に+0.60%へとやや失速。
雇用統計での賃金上昇率が12月と2月に前年比+2.8%台と7年ぶりの水準まで上昇した後、5-6月にかけて+2.4%台へと低迷している状況と一致します。
いずれも2009年の急落後に低迷期が続き、2015年頃から上昇傾向とはなっていますが、その基調は順調ではなく、足下では鈍化傾向を示す形となり、賃金の伸びは極めてスローペースでの回復傾向にあることを示しています。
この日発表された指標では、4-6月期GDP速報値は+2.6%とわずかに予想を下回り、前期分も+1.4%から+1.2%へと下方修正。しかし個人消費は+2.8%の予想通りで前期分は+1.1%から+1.9%へと上方修正。
7月のミシガン大消費者信頼感指数の確報値も93.4となり、速報値の93.1から上方修正。9カ月ぶり低水準へと失速も2001年以降のピーク水準付近を維持し、現況指数では2000年以降の最大水準を更新する好調ぶり。
ただし1年期待インフレ指数は速報値の2.7%から2.6%へと下方修正。6年ぶり低水準となった1月の2.2%からは回復傾向も2011年以降の低下傾向からは抜け出し切れない状態が続いています。
消費はいたって好調ながら、いかんせんインフレは鈍化傾向。という状態が続いています。
28日のNY金相場は0.67%の続伸。米4-6月期GDP速報値とインフレ関連指標が冴えない結果となったことを受けて1250ドル後半での保ち合いから上放れ。米10年債利回り低下とドル売りの流れが強まったNY市場では1カ月半ぶりとなる1260ドル台後半へ。北朝鮮のミサイル発射を受けて米軍トップが軍事的対応の選択肢について協議との報道もあり、時間外では1270ドルにもワンタッチ、高値圏を維持して終了。1260ドルの節目をしっかりと上抜けたことで上値トライへの流れが一段と進行する見込み、今年高値圏1290ドル近辺までが当面の上値目標。
週間ベースでは+13.5ドル(1.08%)となり、今年5回めの3週続伸。
NYプラチナ相場は1.1%の大幅続伸で1週間ぶり高値圏。金に追随する展開で920ドル台後半の保ち合いからNY朝には930ドル後半へと急騰、その後も高値を維持しながらも尽く938ドルで上値を押さえられ、保ち合い上限940ドルを超えられず。失速気味となっていた反発基調の流れが再び勢い増しそうな状況も、90日移動平均線(938.8)にも蓋をされた状態。この水準を突破できれば5-6月高値圏970ドル近辺までが当面の上値目標に。
週間では-0.8ドル(0.09%)で3週ぶりの小反落。
ドル円は0.47%の反落で6月14日(109.57)以来1カ月半ぶりのドル安円高水準。111円をはさんでの攻防が続き、低調となった米GDP速報値などを受けても110円80銭台では切り返す底堅さも見られたものの、北朝鮮のミサイル発射を受けて60銭台まで小幅に急落すると買い戻しの勢いも後退してしまった形。また、この日IMFが公表した年次「対外セクター報告書」で「ドルは10-20%過大評価」とされたこともドル売り圧力に。1週間ほど続いた90日移動平均線(111.43)との攻防から下方向へと抜け出し、111円から112円までの小幅保ち合いを完全に下抜けてしまった形となり、もう一段のドル安円高進行へ。目先の下値目標は52週移動平均線(109.92)辺りまで。この水準でサポートされない場合には6月安値109円前後までが次の下値目安に。
週間では-0.43円(0.39%)、昨年9月以来10カ月ぶりとなる3週続落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/28終値とチャート
2017年07月29日(土)時点の相場
国内金:4,815 円 7/28(金)
▼9(
0.19%)
国内プラチナ:3,555 円 7/28(金)
▼16(
0.45%)
NY金:1,268.4 ドル 7/28(金)
▲8.4(
0.67%)
NYプラチナ:936.6 ドル 7/28(金)
▲10.2(
1.10%)
ドル円:110.70 円 7/28(金)
▼0.52(
0.47%)
7/28(金)のその他主要マーケット指標
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