「謎の低インフレ」でもFOMCは年内追加利上げ見通し維持
更新日:2017年09月21日(木)
フィッシャー副議長辞任まで1カ月、イエレン議長の任期満了まで残り4カ月、欠員理事の補充も含め来年からFRB主要メンバー交代で金融政策もガラリと変わる可能性すらあるFOMC、今回は「謎の低インフレ」が続く状況下でも粛々と金融政策正常化への道筋を示した節目のFOMCとなりました。
予想通りバランスシート正常化に向けて10月からの縮小開始を決め、低インフレ懸念から年内追加利上げは見送り示唆か、少なくとも現状維持派は減少するのではないか、との予想に反して
12月追加利上げを示唆する形となったドットチャート。
現状維持となる1.00-1.25%を示すドットは6月から変わらず4つ。12月に0.25%の利上げ予想が11名、0.5%の利上げ予想1名と合わせて12名という結果は、ややタカ派と受け止められてドル買いが急速に進行し、金は大きく売られる展開となりました。
また、2017年末のGDP見通しは6月の2.2%から2.4%へと引き上げられ、上方修正が続きます。
FF金利引き上げ見通しでも景気見通し上振れを好感する形となり、米株は急落反応後に反発上昇、NYダウは9日続伸で7日連続の最高値更新。NYダウの9日続伸以上は今年8月の10日続伸、2月の12日続伸に続く3回目。
逆に見通しが引き下げられたのがコアPCEインフレ。これもある程度は予想されましたが、2017年末を前回の1.7%から1.5%へ、2018年末も2.0%から1.9%へと引き下げられ、目標の2%到達は2019年へと先送り。
声明文では「FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準(2.0%)を下回るレベルで推移する可能性」があるとの表現は前回から変わらないものの、見通しの引き下げ傾向は続き、イエレン議長会見では最近の低インフレの理由が「謎」であることを認めた様子。
なぜかわからない「謎の低インフレ」状態も中期的には解消され、インフレはいずれ上昇していくだろうとの見通しを前提に、今は金融政策正常化への道を粛々と進むべき時期。だから年末には追加利上げも行うことになるだろう、というFOMCのメッセージに市場は納得するように、CMEフェドウォッチの12月利上げ確率はFOMC前の56.6%から70.5%へと跳ね上がっています。
20日のNY金相場は0.44%高となって4日ぶりの反発。しかし、引け後のFOMCを経て急落すると一時8月28日以来3週間ぶりとなる1300ドル割れ、今朝の時間外では1300ドルラインとの攻防に。1300ドルの大台ラインがいったんサポートラインとして作用した形となっているものの、ロンドン市場以降で再度ドル買い金売りの流れが強まる可能性もあり、再度1300ドルを割り込んで1290ドル前後まで水準を切り下げる可能性も。上方向には1320ドルが当面の抵抗水準に。
NYプラチナ相場は0.61%安となり、9日続落。FOMC直後には一時930ドル台半ばまで急落し、7月28日以来ほぼ2カ月ぶりの安値水準を記録。今朝の時間外では940ドル台前半へと戻しており、夏の上昇値幅の61.8%戻し(943.0)ラインをオーバーランして戻ってきた状態。ただし、この後金が一段安へと向かえば連れ安となって920ドル台までが次の下値警戒水準に。金との価格差はまたも過去最大更新となる371ドルへと急拡大。
ドル円は0.51%のドル高円安となって4日続伸。111円半ばでの揉み合い推移から、FOMCでの年内追加利上げ見通し維持を受けてドル高円安の流れが急進、一時7月18日以来2カ月ぶりとなる112円50銭台まで上昇。その後いったん利食い売りとなったものの今朝の東京市場では112円台後半に向けての攻防再開。7-9月の61.8%戻しライン111円70銭台を完全に上抜け、76.4%ライン112円80銭手前で一服状態に。目先112円台を維持しての堅調推移も予想され、112円80銭台を超えるようなら100%戻しに向けて114円台トライも視野に。ただし、その為にはインフレ上昇の兆しが必要か。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/20終値とチャート
21日の国内金価格は0.2%の反落。今年高値圏での小幅保ち合い状態となって1週間余り、5000円台に到達してからは3週間、下げ渋る状態が続いたことで、循環的には調整局面となるべき時間を横ばい推移で消化し、今度は上値トライ再開の芽も出始めたかとも思われたところ。しかし、NY金は1300ドルの節目水準での攻防となり、下押し圧力も強まる状況に。一段安となれば国内価格も節目の5020円を割れて調整局面入りの可能性、目先の下値目安は4960円近辺まで。
プラチナ価格は0.63%安で3日続落。8月15日(3649)以来5週間ぶりの安値となり、6月以降の上げ幅の半値戻し(3674)を大きく超えて61.8%戻し(3640)も意識される水準に。欧州時間以降にNYプラチナが一段安へと向うようなら国内価格はこの水準までが下値目安に。金との価格差も過去最大更新が続いて1368円、この1週間だけで92円の拡大。
※参考:
金プラチナ国内価格9/21とチャート
2017年09月21日(木)時点の相場
国内金:5,022 円 9/21(木)
▼10(
0.20%)
国内プラチナ:3,654 円 9/21(木)
▼23(
0.63%)
NY金:1,316.4 ドル 9/20(水)
▲5.8(
0.44%)
NYプラチナ:945.4 ドル 9/20(水)
▼5.8(
0.61%)
ドル円:112.17 円 9/20(水)
▲0.57(
0.51%)
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