好調続く米経済指標にも、FRB議長人事に金融政策先行き不透明感
更新日:2017年10月05日(木)
米サプライマネジメント協会(ISM)が4日発表した9月の非製造業景況指数は59.8となり、市場予想の55.5程度を大きく上回り、8月の55.3からも大幅上昇。過去最高となった2005年8月以来、12年ぶりの高水準となるポジティブ・サプライズとなりました。また、節目の50を超える状態は7年9カ月連続となり、非製造業部門の拡大基調が7年9カ月間続いていることも示しています。
ハリケーンの影響による一部指標の歪みも想定されるものの、先日発表された
ISM製造業景況指数の13年4カ月ぶりの高水準に続き、ISM発表指標では製造業、非製造業ともに歴史的高水準を記録する好調ぶりを示す結果となりました。
さらに、4日発表された9月の米自動車販売台数も年率換算で1857万台となり、2005年7月以来12年ぶりの高水準となっていました。ハリケーンの被害による買い替え需要が殺到したことによるものと思われますが、前年比では6カ月ぶりの大幅上昇となり、低調続きだった今年の自動車販売状況を一変させる状況となっています。
このところ米経済指標の好結果が続き、米株主要3指数は揃って連日の最高値更新、12月利上げ確率も70%台後半を維持する状態ながらドル高の流れはそれほど進まないこともあり、金の下げ渋りから反発睨みの状態も続きます。
FRB議長の後任人事への注目度が高まり始めていることもこの要因の一つとなってきているようです。
イエレン議長の再任の可能性も残される他、ウォルシュ元FRB理事、パウエル現FRB理事、コーン国家経済会議(NEC)委員長、さらにはミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の名前も挙がっているようです。
このうち、ムニューシン財務長官はパウエル現FRBの理事を支持しているとも伝えられ、米ダブルラインキャピタルCEOのガンドラック氏はカシュカリ総裁が指名されると予想している、とも伝えられています。
パウエル理事はハト派のイエレン議長よりも中立的な立ち位置と見られ、ウォルシュ元FRB理事よりもタカ派度は低いと言われている人。カシュカリ総裁は超ハト派とされ、インフレ2%到達までは利上げ見送りを支持し、先日には現在の低インフレは一時的要因ではなく、この数年間のFRBによる緩和解除の政策に起因するとの見解を示していました。カシュカリ議長となれば、利上げ凍結の公算も高まることになります。
タカ・ハト・中立への思惑が交錯するFRB議長人事の動向が、来年に向けての米FRB金融政策の先行き不透明感にもつながり、一方的なトレンドが発生し難い状態となっている感もあります。
4日のNY金相場は0.17%の小幅高で4日ぶりの反発。NY朝までは米長期金利低下とドル売りの流れを受けて反発の勢いが強まり、一時1280ドル半ばまで上昇。米9月ADP雇用者数がハリケーンの影響で低調となったのは事前予想どおりで、むしろ予想以上の下振れがなかったことが好感された様子でドル売りの流れが反転、これに伴い金は反落。その後発表された米9月ISM非製造業景況指数のポジティブ・サプライズではこの日の安値1270ドル前半まで下落。これをきっかけに米株などは一段高へとリスク・オンの展開も金は下げ渋り。今朝の時間外にかけても前日からほぼ横ばい推移となる1270ドル半ばでの推移。90日移動平均線(1276.8)にサポートされた後、反発し切れず揉み合い状態に。ハードルが引き下げられている今回の雇用統計では、流れが変わるきっかけとなる可能性も低そう。引き続き1260ドルから1290ドル程度までが目先の変動目安に。
NYプラチナ相場はわずかに0.08%の小幅続落。金に連れて反発の勢いが強まったNY朝には1週間ぶりに920ドル半ばまで上昇。その後の急反落局面では910ドル手前で下げ止まり、前日とほぼ同水準となる910ドル台半ばでの推移へ。引き続き940ドルまでが反発の目安であり抵抗水準となり、910ドルが下方向への節目としての重要度を増す状況に。このラインを死守できない場合には900ドル割れの確率が高まり、今年安値トライとなる890ドル近辺までが下値目安に。
ドル円はわずかに0.08%のドル安円高となって4日ぶりの小反落。113円台で上値を押さえられる状態が連日続いたことからの軟調推移で金利低下とともにNY市場にかけて112円30銭台まで下落。ほぼ市場予想どおりの結果となったADP雇用をきっかけに現状の小幅レンジ下限で反発すると、予想外の上振れとなったISM非製造業景況指数の結果を受けての急騰では112円90銭台まで上昇。しかし、これも現状の小幅レンジ上限で押さえられた形となって失速。今朝の東京市場でも再び113円手前の攻防ラインにアタック中。雇用統計では雇用者数の伸びは+8.5万人程度と事前予想はかなり低めに抑えられ、ネガティブな結果はあまり想定されない状況か。ただし、賃金上昇率の低迷もまだ続くものと予想され、ポジティブな結果もまた予想し難い状況。引き続き113円台手前がドル高継続への節目となって、突破できれば114円手前が上値目標、112円30銭台を下回るようなら反落に転じて111円近辺までが下値目標に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/4終値とチャート
5日の国内金価格は0.22%の小幅続伸。調整フェーズ中の戻りを形成し、直近の下値目安4950円台を回復。しかし、流れとしてはまだ下向きで戻り売り優勢局面。反発方向へは4980円近辺程度までが目安となりやすく、抵抗水準にも。下方向へは4940円が当面のサポートとなる可能性とともに割り込んだ場合には4900円前後までが次の下値目安に。
プラチナ価格は0.11%の小幅安となって3日ぶりの反落。反発らしい反発とは言えないほどの戻りをはさんで再度弱含み。反発に向けては9月8日以降の下落局面でかすりもしないレジスタンスラインとなっている9日移動平均線(3585)超えが当面の努力目標に。売られ過ぎ状態も続き、下方向への圧力も短期的にはそれほど強まらない可能性もあり、夏場の保ち合い下限となった3540円台は比較的サポートされやすい水準に。
※参考:
金プラチナ国内価格10/5とチャート
2017年10月05日(木)時点の相場
国内金:4,958 円 10/5(木)
▲11(
0.22%)
国内プラチナ:3,560 円 10/5(木)
▼4(
0.11%)
NY金:1,276.8 ドル 10/4(水)
▲2.2(
0.17%)
NYプラチナ:914.8 ドル 10/4(水)
▼0.7(
0.08%)
ドル円:112.75 円 10/4(水)
▼0.09(
0.08%)
10/4(水)のその他主要マーケット指標
米貿易赤字は11カ月ぶりの水準に縮小、輸出は2年8カ月ぶり高水準 10/06(金)ドルインデックスとの逆相関強まるNY金の下げ止まりポイント 10/04(水)ISM製造業景況指数の13年ぶり高水準を示唆していた地区連銀指数 10/03(火)ともに大幅安スタートの10月も方向感分かれる金とプラチナ 10/02(月)
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