11月リッチモンド連銀製造業指数は過去最高、ISM指数上振れも?
更新日:2017年11月29日(水)
11月の米リッチモンド連銀製造業指数は30.0となり、10月の12.0から大幅上昇、1993年11月の調査開始以降で過去最高を記録しました。6カ月平均でも今年の10ポイント台前半から11月は16.7まで上昇し、1995年1月(17.8)以来22年10カ月ぶり高水準となっています。好調が続く今年のなかでもさらに加速基調が進行した形です。
内訳では、出荷が33.0となって2004年3月(36.0)以来13年8カ月ぶりの高水準、新規受注が35.0へと急騰し、これも過去最高。その他、設備稼働率も19.0となって2014年9月(19.0)以来3年2カ月ぶりの高水準、雇用者数は18.0で8カ月ぶりなど、軒並み高水準となっています。
ただし、6カ月先の見通しを示す指数は10月の50から11月は40へと大幅低下、比較的高水準を維持しながらも、現状が好調過ぎて、この流れが今後も続くだろうとの見方が多くはないことを示します。
各地区連銀の11月製造業景況指数では、NY、フィラデルフィア、ダラス連銀、さらにはカンザスシティ連銀も10月の高水準から11月には反落しています。リッチモンド連銀だけが10月の反落から11月に急反発となり、逆行の展開となっています。
2016年以降の大まかな方向性としては各地区連銀の製造業景況指数はISM製造業景況指数ともほぼ一致してはいるものの、10月に反落したのはリッチモンド連銀とISMのみ。足下数カ月はISMとリッチモンド連銀の上下動の方向性は一致しています。
11月のISM製造業景況指数も、予想に反して上振れとなる可能性もありそうです。
なお、リッチモンド連銀の賃金指数は17年5カ月ぶり高水準となった10月の24.0から11月は21.0へと低下しました。
ダラス連銀の賃金指数も3年半ぶり高水準となった8月の26.9から低下傾向となり、11月は14.2まで低下。2016年7月(11.5)以来、1年4カ月ぶり低水準となっています。
雇用統計での賃金上昇率は、9月の前年比+2.8%から10月には+2.4%と急失速していましたが、11月には反発、とはならない可能性にも警戒が必要です。
28日のNY金相場は0.04%の小幅続伸。ロンドン・NY市場にかけての様々なイベント、指標、出来事に上下動を繰り返す展開も方向感は定まらず、1290ドル台での揉み合いに終始。米上院銀行委員会でのパウエル次期FRB議長の公聴会では、12月利上げ示唆と来年に向けての金融政策も現行方針踏襲の姿勢を確認。その一方で金融規制緩和に理解を示すトランプ寄りの一面も。米11月の消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数などのポジティブ・サプライズにも、米民主党下院トップと上院トップがトランプ大統領との会談を拒否するなどのネガティブ報道も。欧州では英国とEUとの離脱清算金合意報道(後に英国側が否定)のポジティブ材料、アジアでは北朝鮮が沈黙を破ってミサイル発射で一時的なリスク回避局面も、米上院予算委員会での共和党税制改革法案可決を受けて米株主要3指数はまたも揃って過去最高値を更新。全体的には米長期金利が小動きとなるながでドル高の流れがやや強まった割には金は底堅く推移。引き続き1300ドル超えなら一段高へ、1270-80ドルの水準を割れると下落基調進行へ。
NYプラチナ相場は0.21%の小幅高となって5日続伸。5日続伸以上となるのは8月上旬以来3カ月半ぶりで今年2度め。水準としては一時960ドル手前まで上昇し、9月20日(960.0)以来2カ月ぶり高値水準。しかし5日連続陽線でも20日の大陰線の範囲内を抜け切れず、終値では17日の954.6ドルを超えられず、960ドルの抵抗水準に上値も押さえられ、今朝の時間外では90日移動平均線(951.0)との攻防状態に。目先上昇基調継続に向けては950ドル台維持と960ドルライン突破が課題となり、抜け出すと9月高値圏トライへ。下方向には920ドルまではいつでも急反落の可能性も。
ドル円は0.34%のドル高円安へと反発。欧州・NY市場ではゆるやかなドル高基調の流れで111円前半から半ばへ。米11月の景況感関連指数が予想外の好結果となって111円50銭手前まで上昇後には米上下院トップのトランプ会談拒否報道や北朝鮮のミサイル発射などのリスク回避で一時111円00銭台まで下押しも、米上院予算委員会での税制改革法案可決を好感して111円60銭台まで反発。月内にも上院本会議での可決も視野に入る前進も、その本会議での可決自体と上下院案の相違点のすりあわせ等、不透明感も残るところ。今朝の東京市場でもドル円は堅調推移ながら111円60-70銭の抵抗水準が突破できずに苦戦中。110円台前半までの下落局面進行からは巻き戻したものの、111円台前半での保ち合い状態となり、上方向には90日移動平均(111.54)から200日移動平均(111.69)の水準がやや強めの抵抗線に。ここをしっかり上抜けると反発基調が進行する可能性が高まり、当面の上値目標は112円台後半まで。反落の展開で111円を再度しっかり割り込んだ場合には下落基調再加速で下値目安は110円割れも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/28終値とチャート
29日の国内金価格は0.3%高となって3日続伸。NY金の下げ渋りと円安によって水準を押し上げられ、4930円台を目標とした下落基調は4950円台までにとどまって切り返した形に。ゆるやかな調整局面から方向感は中立方向へと緩和、目先は4950円から5000円までのレンジで方向感模索の展開へ。あらためて下限割れの場合には7-9月上昇波の半値戻しとなる4900円近辺が下値目安に、上限突破の場合には今年高値(5045)更新が目標水準に。
プラチナ価格も0.38%高となって3日続伸。3600円から3670円台までの広めのレンジでの保ち合い傾向は続く状況ながら、徐々に上抜けトライへと向う流れが強まる状況に。ただし、何度も上値を押さえられてきたこの水準を突破するためにはNYプラチナの保ち合い上抜けが必要に。
※参考:
金プラチナ国内価格11/29とチャート
2017年11月29日(水)時点の相場
国内金:4,979 円 11/29(水)
▲15(
0.30%)
国内プラチナ:3,658 円 11/29(水)
▲14(
0.38%)
NY金:1,294.9 ドル 11/28(火)
▲0.5(
0.04%)
NYプラチナ:952.8 ドル 11/28(火)
▲2.0(
0.21%)
ドル円:111.47 円 11/28(火)
▲0.38(
0.34%)
11/28(火)のその他主要マーケット指標
11月ユーロ圏景況感指数も17年ぶり高水準 11/30(木)新築住宅販売件数は予想外に10年ぶり高水準もドル買いは限定的 11/28(火)年間平均、金は過去最高値、プラチナは12年ぶり安値との攻防へ 11/27(月)ドイツIFO景況感指数は今年5度めの過去最高更新、現況は頭打ち 11/25(土)
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