ユーロ圏のインフレ率HICPは5カ月連続2%以上
更新日:2018年11月01日(木)
EU統計局が発表した10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP:Harmonised Index of Consumer Prices)速報値は前年同月比+2.2%。2012年12月(+2.2%)以来、5年10カ月ぶりの高水準。ユーロ圏のHICPは今年4月の前年比+1.3%から5月に前年比+1.9%へと急騰し、6月には+2.0%に到達、以降5カ月連続で2.0%以上を維持。ECBの物価目標水準2%弱程度に到達して半年経過し、インフレ基調はさらに加速の兆しも見られる状態となってきました。
インフレ基調が5月に急加速したのは
米国のPCEインフレ指標の推移とも一致し、NY原油価格が月間平均で4月の66.3ドルから5月には70ドルへと急騰し、これ以降は70ドル前後での推移が続いていることにも同調した推移となっています。エネルギー価格の上昇がインフレを押し上げるコスト・プッシュ型のインフレ基調が強まっていることも推測されます。
経済の好調が続く米国は既に金融政策正常化に向けてに利上げフェーズが進行し、今後も多少インフレ圧力が強まったとしても、それほど問題にはならないことも予想されます。
しかし、
景気減速も警戒されるユーロ圏にとっては、さらなるインフレ圧力には警戒感も高まりそうです。新興国と同じ悩みを抱えることにもなりかねません。
今後、原油価格がさらに高騰することがなければ来年5月にはエネルギー価格上昇による影響が剥落し、前年比で見たインフレ率は2%弱へと低下することも予想されます。
そうはならず、ユーロ圏のインフレ率2%超の状態が続くようなら、来年夏以降とするECBの利上げシナリオに対して、早期利上げ圧力が強まることにもなりそうです。
とりわけ、ユーロ圏主要国のうちドイツ、フランス、スペインの3カ国は揃って今年5月以降ほぼ2%以上での推移が続いており、タカ派予備軍となりそうです。
その一方で、インフレ率2%に届かない状態での推移が続くのはイタリア。財政問題を巡って対立の構図が続くEUとイタリアとの間には、ECBの利上げを巡っても対立することにもなりそうです。
31日のNY金相場は-10.3ドル、0.84%安となって3日続落。中国株や日本株の堅調推移とともに米長期金利も上昇、ドル高の流れに押されて軟調推移となった時間外にはサポート水準1220ドル割れ。米10月ADP雇用者数が予想を上回る前月比+22.7万人と好結果、7-9月期の米雇用コスト指数も前期比+0.8%と高水準で賃金上昇圧力を連想させる結果となったことも株高・ドル高をサポートし、NY金は一時1210ドル台前半まで下落。ユーロ安ドル高基調は続き、ユーロドルは8月安値1.1300ドルと並ぶ二番底を形成し、NY終値では1年4カ月ぶり安値を更新し底割れトライの兆し、ドルインデックスも8月高値水準をわずかに上回り1年4カ月ぶり高水準となり、一段高への警戒感も。NY金は下落基調が続いたままの90日移動平均線(1218.5)を3週間ぶりに下抜けて調整局面入りの様相に、下値目安は1200ドルの大台付近まで。
月間ベースでは+18.8ドル(1.57%)となり、3月以来7カ月ぶりの反発。
NYプラチナ相場は+4ドル、0.48%高となって5日続伸。5日続伸は2月以来8カ月ぶり。10月16日(846.7)以来2週間ぶり高値を更新し、これまで何度もトライして反落し続けた840ドルラインをようやく突破。欧米、中国株の堅調推移を好感する流れと金の軟調推移との綱引き状態のなかジリジリと水準を切り上げる形となり、上値余地は7月高値圏860ドル辺りまで拡大。
月間ベースでは+20.6ドル(2.5%)となって続伸。月間での続伸は昨年10-11月以来。
ドル円は10銭超のドル安円高となって3日ぶりの反落。日経平均大幅高の流れにも連れ、月末の実需の買いなども指摘されて東京市場では113円30銭台まで上昇。上昇一服でも下値は113円台を維持する堅調な流れとなり、NY市場では米雇用指標の好結果などを好感し、米株の大幅上昇とともに113円40銭近辺まで再上昇。しかし、月末のロンドン・フィックスに向けては実需のドル売りも入った模様で113円割れへと急反落。今朝の東京市場でも日経平均の大幅反落スタートとともにやや軟調な展開に。短期上値目安113円台半ばに対してあとわずかの水準まで上昇したことで、上値トライ一服の可能性もあるものの、短期トレンドは好転しつつあり、ISMの指標や雇用統計などをきっかけに再度113円台半ばを試す可能性も。
月間ベースでは-0.74円(0.65%)で反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/31終値とチャート
1日の国内金価格は-29円、0.61%安となって続落。今年6月高値4957円から8月安値では4458円まで下落し、10月24日にはこの下落幅の61.8%戻し(4766円)の水準に到達したことで反発基調にいったん区切りをつけた可能性。短期的にはもう一段の調整局面進行の可能性が高まり、下値目安は9月高値4680円台付近まで。下押し後、あるいは雇用統計などで予想外の結果に急反発の展開となり、4770円を超えることになれば、次の展開は上値トライ再開で7月高値4837円近辺が上値目標にも。
プラチナ価格は+7円、0.22%の小幅高となって4日続伸。金との逆行状態が続くなか、ジリ高推移の展開でダブルトップ形成の可能性を残す10月高値3250円台も目前に。この水準を超えてダブルトップ解消で一段高トライへと向かうか、反落となってトリプルトップの可能性を残してしまうのか、重要な分岐点に差し掛かってきた状態。一段高となれば6月急落前の保ち合い水準3400円台を上値目標とする流れ継続へ。
※参考:
金プラチナ国内価格11/1とチャート
2018年11月01日(木)時点の相場
国内金:4,725 円 11/1(木)
▼29(
0.61%)
国内プラチナ:3,247 円 11/1(木)
▲7(
0.22%)
NY金:1,215.0 ドル 10/31(水)
▼10.3(
0.84%)
NYプラチナ:843.0 ドル 10/31(水)
▲4.0(
0.48%)
ドル円:112.96 円 10/31(水)
▼0.13(
0.11%)
10/31(水)のその他主要マーケット指標
世界の金需要-2018年第3四半期 11/02(金)ユーロ圏景況感指数は10カ月続落で1年5カ月ぶり低水準 10/31(水)PCEインフレ2%で12月利上げに異論なし、も過熱感もなし 10/30(火)株価は調整局面入り、金とプラチナは反発局面入り? 10/29(月)
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