景気減速懸念は製造業からサービス業へ、欧州から米国へも
更新日:2019年05月24日(金)
ドイツの5月IFO景況感指数は97.9となり、4月の99.2から一段と低下。5カ月連続の100ポイント割れで4年半ぶり低水準。現況指数が4月の103.6から5月は100.6へと急低下、2年9カ月ぶり低水準となったことが景況感指数を押し下げました。
なお、景況感指数と現況指数はいずれも3カ月平均で7カ月続落となり、ドイツの景況感悪化は止まりません。
セクター別では製造業の悪化が続き、貿易関連も低調となっているのに加え、サービス分野でも大きく減速。
景気減速は製造業からサービス業にも波及し始めている可能性もありそうです。
マークイットの製造業PMIの5月速報値でも、ドイツの低迷が続いていることが確認されました。年初から5カ月連続での節目50割れとなり、6年8カ月ぶり低水準となった3月の44.1から4月には44.4へと小幅に上昇も、5月速報値では44.3へと再び低下。フランスの製造業PMIが2カ月連続で節目50以上を維持したにもかかわらず、ドイツが足を引っ張る状態が続き、ユーロ圏の製造業PMIも4カ月連続での節目50割れ。
輸出受注の低迷が続き、新規受注と生産減の状態で見通しは4年半ぶり低水準となった他、雇用は4年9カ月ぶりに減少に転じたようです。
いっぽう、節目の50を大きく上回る水準を維持しながらもゆるやかな減速基調となっていた米国の製造業PMIも5月速報値では急低下。4月の52.6から50.6へと2ポイントの急落で節目の50も意識され、9年8カ月ぶりの低水準となっています。
5月半ばまでに発表されたNY連銀、フィラデルフィア連銀の製造業景況指数では反発基調となっていましたが、米中貿易摩擦激化への懸念が急速に強まり、先行き不透明感が増したことが、マークイットの製造業PMI急低下につながったようです。
米国の指標では、より注目度の高いISM製造業景況感指数への警戒感も高まります。
景気減速懸念は欧州から、米国へも波及しつつあるようです。
23日のNY金相場は+11.2ドル、0.88%の続伸。米中貿易摩擦激化への警戒感が続くなか、ドイツの景況感、製造業PMI、ユーロ圏製造業PMIの低迷に加えて米国の製造業PMIも予想外の急低下、米4月新築住宅販売件数も低調となって米株急落。米10年債利回りも急低下で1年半ぶり低水準となる2.32%割れへ、ドルインデックスは2年ぶり高水準となる98ポイント台から急反落、NY金は1270ドル台後半から1280ドル台後半へと10ドル超の急上昇。1270ドルの保ち合い下限ではしっかりとサポートされ、抵抗感も生じ始めていた1280ドルラインを突破、水平状態の20日移動平均線(1284.2)も一時上抜けてほぼ中立水準を回復。目先はこの20日線との攻防がポイントとなり、1270ドルから1300ドルのレンジ内で方向感模索へ。
NYプラチナは-5.8ドル、0.72%の続落。ユーロ安基調となった欧州時間に800ドルの大台ライン割れも、NY時間にはドル安に伴うユーロの反発とともに下支えされ、800ドルをはさんでの揉み合い状態に。2月14日(789.2)以来、3カ月ぶりの800ドル割れの安値水準では底堅さも。4月高値からここまでの下落幅の23.6%戻し(825.8)から200日移動平均線(830.7)辺りまでが戻りの目安にも。
ドル円は70銭弱のドル安円高で続落。東京時間には日経平均の下落に連れて110円10銭台まで軟調推移、欧州時間にはドル高ユーロ安にも米10年債利回り低下に連れての円高基調が続き110円割れ。NY時間にはマークイットの米4月製造業PMIの急低下を受けてドル高の流れが急速に巻き戻され、金利急低下とともにドル安円高の流れが急進、1週間ぶりの円高水準となる109円40銭台まで下落。今朝の東京市場では日経平均の反発基調とともに109円台後半へと反発基調となり、米欧3連休前にリスク回避の巻き戻しが進行中。目先は109円台前半から110円半ばまでのレンジで保ち合い推移も予想され、上抜けできれば111円台後半へと一段高も、下抜けの場合には108円台前半へと一段安の展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/23終値とチャート
24日の国内金価格は+12円、0.25%の反発。4カ月ぶり安値圏、4840円の節目水準で下げ渋る形に。丸3カ月続いた下落トレンド終息に向けては4860円超へともう一段の反発が必須条件。そうなれば4920円台を上値目標に反発局面形成への可能性も、あらためて4840円の節目割れの場合には下落トレンド継続で一段安、今年安値(4947)更新トライへ。
週間ベースでは-16円、0.33%の反落。
プラチナ価格は-20円、0.66%の続落。下値目安3040円近辺を突き抜けて2月15日(3,001)以来、3カ月ぶり安値圏での一段安。週末でリスク回避の流れがいったん落ち着くことになれば、3000円の大台を維持しての下げ止まりも。反発に向けては3110円台までが戻りの目安となり、この水準を上回ることができれば一段高で200日移動平均線(3179)付近までが次の上値目標にも。
週間ベースでは-125円、3.97%の大幅安で4週続落。
※参考:
金プラチナ国内価格5/24とチャート
2019年05月24日(金)時点の相場
国内金:4,853 円 5/24(金)
▲12(
0.25%)
国内プラチナ:3,027 円 5/24(金)
▼20(
0.66%)
NY金:1,285.4 ドル 5/23(木)
▲11.2(
0.88%)
NYプラチナ:799.5 ドル 5/23(木)
▼5.8(
0.72%)
ドル円:109.63 円 5/23(木)
▼0.69(
0.63%)
5/23(木)のその他主要マーケット指標
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