ECBも利下げ観測、世界的緩和政策再開ムードで株高・金高
更新日:2019年06月19日(水)
欧州連合統計局が発表した5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値は速報値と変わらず前年比+1.2%。4月の+1.7%から一段と減速し、2018年4月以来1年1カ月ぶりの低水準。
昨年11月に2%を割り込んで以降は低下傾向が続いており、ECBのインフレ目標2%弱を大きく下回る状態も続きます。
同時刻にZEWから発表されたドイツ景況感指数は6月分で期待指数が急落。4月には1年以上ぶりにプラス圏を回復する3.1となっていたものの、5月には-2.1へと再びマイナス圏へと反落。そして6月は-21.1と大幅続落。前月比-19.0ポイントは2016年7月(-26.0)以来、2年11カ月ぶりの急落。
現況指数も4年5カ月ぶりの低水準となった4月の5.5から、5月には8.2へと反発し、底打ちの可能性も示していた矢先の6月は7.8へと小幅に反落。
ドイツの景況感も、回復しそうで、できない、低迷状態が続きます。
これらの指標発表と前後してドラギECB総裁は、インフレ率がECBの目標に戻らなければ利下げや資産買い入れなど、金融緩和が必要になるとの認識を示しました。関係者発言によれば、まずはマイナス金利の深掘りが第一手となる可能性が高いという状況のようです。
早速「ECBがユーロ安を誘導しているのは不公正だ」とトランプ米大統領の横やりツイートもあり、米欧利下げ合戦とともに非難の応酬も始まりそうな様相にも。
とりあえずこの日はFOMC結果発表を目前に控えたタイミングながら、ドラギ発言を受けてのユーロ安が急速に進行し、ドル高をサポートする形にもなりました。
ユーロ主導のドル高でも金の下押し圧力となるケースも多々見られるものの、今回は米国の利下げ観測が拡大するなかでのECBの利下げ観測による相対的なユーロ安ドル高。
米欧ともに金融緩和優勢の情勢となり、中国や日本も含めて世界的低金利と緩和政策が見通される状況となって、株高とともに金もサポートされる結果となりました。
18日のNY金相場は+7.8ドル、0.58%の反発で昨年4月18日(1353.5)以来、1年2カ月ぶりの高値水準に。ドラギECB総裁の利下げ示唆発言を受けてドイツの10年債利回りは過去最低を更新する-0.32%台へ、米10年債利回りも一時2.01%台まで急低下。ユーロ急落に伴うドル高の流れにも金は堅調推移、1350ドルを超えるとNY朝には1358ドルまで上昇。しかし、トランプ米大統領が中国・習近平国家主席との電話会談実施、月末にはG20での首脳会談開催予定にも言及したことを受けて一時1340ドル台前半へと急落。ただし、FOMCを控えて1350ドル付近に戻して落ち着いた状態に。米欧の緩和政策を好感して早くも上値トライ再開へと動き出した形にもなり、FOMCではかなりの期待はずれとならない限りは堅調維持の可能性も。目先の上値目標は14日につけた今年最高値1362.2ドル、昨年1月高値1362.9ドル更新トライ。下値は1320ドル台が当面のサポート。
NYプラチナは+7.4ドル、0.93%高となって5日ぶりの反発。時間外では5月末以来の安値水準790ドルちょうど付近まで下げて反発へ。株高金高の流れに追随するとNY朝には800ドルの大台を回復し、引け後には805ドル付近まで水準を切り上げる場面も。下値トライに向けた流れは巻き戻され、790ドルラインが当面の底値となって反発方向へと持ち直しの展開となる可能性も。目先、20日移動平均線(804.7)から810ドル台までの抵抗水準を突破できれば850ドル近辺を上値目標に一段高の展開にも。ただし、あらためて790ドルの重要なサポートを割り込んだ場合には昨年安値圏770ドル台再トライも。
ドル円は10銭弱の下落も今朝の東京市場では108円50銭台へとほぼ横ばい推移の状態に。しかし、この日の値幅は前日の3倍に拡大。金利低下に連れて軟調推移となった東京・欧州時間には108円20銭まで水準を切り下げ、新潟の地震直後には108円00銭台へと小幅急落後、米中会談のトランプツイートを受けて108円60銭台まで急騰。さらに、トランプ大統領がパウエルFRB議長の理事降格を検討していたことが報じられると108円20銭台へと急落する場面も。FOMC直前に上へ下へと乱高下、ウォーミングアップを終えて108円半ばに収束。ユーロ安がドル高をサポートしやすい地合いにもなり、FOMCでは次月以降の利下げの可能性を示唆する程度であれば既に織り込み済で下値は限定的にも。むしろアク抜けで円安方向へと動き出せば109円前後までは上昇しやすく、109円半ばがやや強めの抵抗水準にも。予想以上のハト派傾斜で108円を割り込むようだと107円近辺までが下値目安にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/18終値とチャート
19日の国内金価格は+23円、0.46%の続伸で3月1日(5029)以来、3カ月半ぶりの高値水準。5000円台4日めにして過熱感を一段と強めながらも、ようやく動き出した格好で、FOMC直前に
上値目標5030円近辺にもほぼ到達。上昇余地は若干程度の状況ながら、さらに行き過ぎの展開となれば今年高値5091円が意識されることにも。下値は5000円前後が目先のサポートとなるかどうか。
プラチナ価格は+47円、1.58%の大幅高となって5日ぶりの反発。RSIの逆行状態が示唆したとおりの展開となり、安値更新トライに向けた流れは大きく巻き戻された状態に。目先はこれまで抵抗線となってきた9-21日移動平均線(3020-30)を上抜けできれば3060円の節目トライへ。これも上抜けできれば大幅上昇局面形成へとつながる可能性も。2970円は当面の重要なサポート水準となり、割れると昨年安値を大きく更新するような展開にも。
※参考:
金プラチナ国内価格6/19とチャート
2019年06月19日(水)時点の相場
国内金:5,026 円 6/19(水)
▲23(
0.46%)
国内プラチナ:3,017 円 6/19(水)
▲47(
1.58%)
NY金:1,350.7 ドル 6/18(火)
▲7.8(
0.58%)
NYプラチナ:802.0 ドル 6/18(火)
▲7.4(
0.93%)
ドル円:108.46 円 6/18(火)
▼0.08(
0.07%)
6/18(火)のその他主要マーケット指標
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