為替は年初来の円高水準、街角景気は3年ぶり低水準
更新日:2019年08月09日(金)
内閣府が発表した7月の景気ウォッチャー調査で、現状判断DIは6月の44.0から41.2へと急低下。直近3カ月は連続の低下で19カ月連続の節目50割れ。街角景気は2016年4月(41.2)以来、3年3カ月ぶり低水準へと落ち込んできました。
分野別では家計動向、企業動向関連いずれも3年超ぶりの低水準となり、家計ではサービス関連が2011年5月以来8年ぶり低水準、企業では製造業DIが2012年10月(40.1)以来6年9カ月ぶり低水準となるなど歴史的な落ち込み。先行き判断DIも3年ぶり低水準となり、ちょうど2回めの消費増税先送りを決めた3年前に並ぶ景気悪化状態となっています。
だから今回も増税を先送りすべき、という程ではないにしても、リーマンショック前?との理由で増税を先送りした3年前にはブレグジットによる株価急落などはあったものの、その影響は限定的にとどまりました。世界情勢としては、むしろ今回の米中対立やその影響による世界的な景気減速懸念のほうがマイナス要素としては大きいのかもしれません。
折しも、為替が年初来の円高水準となり、米国の追加利下げ観測によってさらなる円高も警戒される現状、ここから消費税引き上げとなれば現状判断DIは、前回消費税8%へ引き上げた2014年4月と同様に40ポイント割れへと一段と低下することも予想されそうです。
それでも2011年や2008年の20ポイント台半ばから20ポイント付近まで急落した時とは比較にもならず、リーマンショック相当には全く及ばないレベルにとどまります。
ただし、10月頃にかけて米中対立がさらに激化し、景気減速から後退への可能性を示すような指標も見られ始め、FRBの利下げが予防的利下げから、利下げフェーズ入りへとの見方に変わり始めるようなことにでもなれば、国内の街角景気にも予想以上の下押し圧力がかかることにもなりかねません。
8日のNY金相場は-10.1ドル、0.66%安で5日ぶりの反落。4日間で87.2ドルの急騰に対する調整割合は11.6%とかなり控えめ。前日NY市場でつけた1520ドル台の高値からの調整局面はゆっくりと、この日のNY朝まで24時間続いたものの1500ドルの大台割れは回避。ボラティリティが高まる状態のなかで、特段の売り材料はなく長期金利とドルの下げ渋りと欧米株の反発基調に押されての調整局面でも1500ドルの大台ラインは心理的節目としてサポートの役目も果たした様子。NY引け後には1520ドル台まで再反発する場面もあり、1510ドル付近を下限に保ち合いの様相にも。トランプ大統領のFRB批判とドル安誘導発言は続き、今朝の東京時間早朝には中国の米国産農産物購入停止への報復措置として華為技術(ファーウェイ)取引再開を先送りとの報道もあり、米中対立も激しさを増すばかり。ドル売り金買いをサポートする材料にも事欠かない状況にもなってはいるものの、調整圧力が少し強まるだけでも大台割れも想定され、当面の下値サポート候補としては2013年の抵抗水準、2011年にはサポートにもなった1470-80ドル近辺。いっぽうで1520ドル超へと水準を切り上げる展開となれば、次の目標水準は1540ドル付近まで。
NYプラチナは-3.5ドル、0.4%の反落。金の調整局面に連れる形で時間外の870ドル台からNY朝には850ドル台半ばまで下押し。その後は金の反発に追随して870ドルを回復。下方向への行って来いとなって長めの下ヒゲを残し、下値も切り上げる形に。目先、880ドルラインは7月後半に上値を押さえられ続けた鬼門。これを上抜けることができれば一段高へと向かう可能性は高まり、今年最高値920ドルが上値目標に。
ドル円は30銭弱のドル安円高となって続落、再び106円割れ。3日連続105円50銭台で切り返した安値をこの日は20銭ほど切り上げ、しかし上値も少し切り下げて106円30銭近辺まで。保ち合いレンジを縮小し、106円10銭をはさんでの小幅揉み合い状態がNY終盤まで継続。しかし、米国によるファーウェイとの取引再開決定先送りを受けて105円70銭まで急落。今朝の東京市場では106円ちょうど付近まで回復する場面もあり、ドル安円高圧力優勢の状況下でも105円台後半では底堅さもあり、一方的な流れにはなり難い状況にも。しかし、105円50銭台のサポートを割れるようだと104円台半ばまでの一段安は想定されそう。逆に106円半ばの抵抗水準を上抜けることができれば107円台後半へと上値を切り上げる展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/8終値とチャート
9日の国内金価格は-18円、0.33%安で4日ぶりの反落。目標水準5450円をオーバーラン後の調整も控えめとなり、高止まり状態で国内3連休入り。そしてお盆休みや夏休みウィークにも。テクニカル的には価格水準が6月末から大きく上昇したのに対し、RSIなどオシレータ系指標では6月末ピークを下回る逆行状態となり、反落確率が高まる状況。しかし、ファンダメンタル的にはそんな状態を押し切って一方的に買われてきた状態。米国の追加利下げ観測が大きく後退するか、米中対立に大幅改善のめどが立つなどすれば、大幅下落が待ち受けることになるものの、それにはまだしばらく時間が必要にも。目先、高値更新で5490円超へと向かえば次の上値目標は5530円台まで、下方向への調整目安としては5330円近辺まで。
週間ベースでは+151円、2.84%の大幅続伸。週間上昇率としては、ミサイル連発で北朝鮮リスクが高まった2017年8月28日からの週(+154円、3.18%)以来、ほぼ2年ぶりの大幅上昇。
プラチナ価格は+4円、0.13%の小幅高で4日続伸。長期的には上値を切り下げ続け、中期的には6月以降下値を切り上げる形で三角保ち合い傾向となり、価格ラインから90日移動平均線(3178)までが20円弱の間に収束。収束から拡散へと向かうタイミングが近づきつつあり、そうなれば大幅変動局面を形成する可能性も。ただし、下値は3090円が当面のサポート水準、上値は3290円が当面の抵抗水準。夏休み中のレンジブレイクはやや難しい状況か。
週間ベースでは-5円、0.16%で小幅に続落。
※参考:
金プラチナ国内価格8/9とチャート
2019年08月09日(金)時点の相場
国内金:5,469 円 8/9(金)
▼18(
0.33%)
国内プラチナ:3,159 円 8/9(金)
▲4(
0.13%)
NY金:1,509.5 ドル 8/8(木)
▼10.1(
0.66%)
NYプラチナ:867.5 ドル 8/8(木)
▼3.5(
0.40%)
ドル円:105.83 円 8/8(木)
▼0.27(
0.25%)
8/8(木)のその他主要マーケット指標
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