米9月インフレ指標第1弾、生産者物価指数PPIは予想外の低迷
更新日:2019年10月09日(水)
米労働省が発表した9月の生産者物価指数(PPI)は前年比+1.37%。市場予想の+1.8%を大きく下回り、4カ月連続の2%割れで2016年11月(1.28)以来、2年10カ月ぶりの低水準。
食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+1.99%。これも市場予想の+2.3%を大幅に下回り、8月の+2.34%からも0.3%超の急低下となり、2017年7月(1.90)以来、2年2カ月ぶりの低水準で2%割れ。
食品とエネルギーと貿易サービスを除いたコアPPI2は前年比+1.65%。3カ月連続の2%割れで2016年10月(1.47)以来、2年11カ月ぶりの低水準。
PPIの傾向としては、8月時点ではインフレ鈍化傾向に歯止めがかかり、反発への可能性も示す状態にもなっていましたが、9月の結果を見る限り、そうではない可能性が高まりつつありそうです。2018年後半にピークアウトしてインフレ鈍化傾向がスタートし、1年近く経過。PPIの下落トレンドは継続中です。
製造業の低迷を反映して卸売物価が低迷したとの見方もあるようで、米中貿易戦争激化の悪影響はリスク回避の側面と、インフレという側面でも利下げ圧力として作用することになりそうです。
FRBの金融政策の基準インフレ指標となるPCEとの関係性はそれほど強くはないものの、それでも傾向としてはPPIもCPIやPCEに近い推移となりやすいのも事実。明日発表される米9月インフレ指標第2弾の消費者物価指数、CPIでもインフレ鈍化傾向が見られるようなら、PCEの発表がFOMC後になるため、10月FOMCでの追加利下げの確度はアップします。
パウエルFRB議長はこの日、講演で米経済については「明らかに若干の減速が見られる」と指摘しましたが、1990年代の景気下振れの際には、数回の利下げで勢いを取り戻したことにも言及。そして今回もインフレ2%の目標回帰などに向けて「適切に行動」することも明言。
月末までの指標のほとんどが好結果とならない限りは「適切に行動」する可能性は高まり、「数回め」の利下げ決定に至る確率は高そうです。
8日のNY金相場は-0.5ドル、0.03%の小幅安で3日続落。前日NY引け後に1500ドルを割れて一時1490ドル台前半まで急低下した後、東京時間に再度1492ドルまで下げたのが超短期的には底値となった形にもなり、欧州時間からのドル安と長期金利低下、リスクオフの株安の流れに伴う反発で1500ドルを回復し、NY引け後には一時1515ドルまで上昇。新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する人権侵害の疑いで米国が中国企業8社をブラックリストに掲載すると表明したことを受け、中国側がこの日、対抗措置を講じることを示唆したことで米中対立激化が懸念されたことがリスクオフの背景に。今回もまた、10日から予定される閣僚級貿易協議直前になってプレッシャー合戦となって今後の波乱も予感させる状況に。また、先日否定していた米国から中国への資本流入制限についても実はトランプ政権が協議しているとの報道もあり、米中対立の火種は尽きない様子。時間外に1510ドル台半ばへと堅調推移となっているNY金はちょうど短期的な上値抵抗水準にぶつかる状態にもなり、何も材料がなければ上値を押さえられやすいところ。突破できれば1550ドル台を目標に上値トライ再開へ。
NYプラチナは+1.8ドル、0.2%の小幅続伸。時間外の880ドル台前半からロンドン・NYにかけては小幅ながらも方向感は金に追随する形で890ドルを回復。しかし、900ドルの大台ラインに抵抗感も芽生えつつあり、890ドルをはさんでの小幅保ち合い状態は6日め。金が上値トライ再開となれば900ドル突破の可能性も高まり、そうなれば短期上値目標は920ドル付近まで。保ち合い下方ブレイクとなれば90日移動平均線(868.4)までが目先の下値目安に。
ドル円は10銭余りのドル安円高で3日ぶりの反落。米10年債利回りが一時1.58%台まで上昇した流れにもサポートされ、東京午後には107円40銭台まで上昇。しかし、前日高値圏でもあり、90日移動平均線(107.45)にも上値を押さえられる形となって上げ渋り。欧州時間には米中対立激化への警戒感から106円80銭台まで下落。NY時間にはパウエルFRB議長が短期金融市場混乱回避を目的としたバランスシート拡大を表明、量的緩和ではないことを強調したものの若干の安心感からか株安の流れも巻き戻され、ドル円も107円20銭台まで反発。しかし、米中対立激化懸念から閣僚級協議への期待感も低下しつつあり、ドル円の重石にも。今朝の東京市場では107円を挟んでの攻防にもなっており、目先106円80銭のサポートを割れると106円ちょうど前後までの一段安も見込まれそう。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/8終値とチャート
9日の国内金価格は+39円、0.7%の反発。前日の下落分を帳消し、高値圏での三角保ち合いを形成してその上限トライをうかがう形に。短期的な流れとしては上昇圧力は弱く、むしろ下押し圧力のほうが依然として優勢の状態ながら、NY金が上値再トライへと向かうようなら押し上げられる展開にも。目先、5650円台の直近高値をしっかりと超えることができれば高値更新へ、5720円台辺りまでが次の上値目標に。下方向には5600円の大台ラインが節目となり、これを下回ると調整局面拡大へ、9月安値5520円前後までが下値目安に。
プラチナ価格は+42円、1.28%の大幅続伸。3240円台辺りまでを下値目安に一段安への流れは巻き戻され、逆に3320円台の節目を上抜け、一段高への可能性を示す状態に。NYプラチナが900ドルの節目で上値を押さえられて反落とならなければ、9月初旬の押し目水準3380円台を目標に上値トライへ。急反落となって3280円台の安値を下回るようだと一段安の展開となり、3210円台辺りまでが次の下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格10/9とチャート
2019年10月09日(水)時点の相場
国内金:5,645 円 10/9(水)
▲39(
0.70%)
国内プラチナ:3,336 円 10/9(水)
▲42(
1.28%)
NY金:1,503.9 ドル 10/8(火)
▼0.5(
0.03%)
NYプラチナ:890.1 ドル 10/8(火)
▲1.8(
0.20%)
ドル円:107.07 円 10/8(火)
▼0.14(
0.13%)
10/8(火)のその他主要マーケット指標
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