サービス横ばい、商品デフレ、著しいインフレ上昇には程遠く
更新日:2019年11月01日(金)
米商務省が発表した9月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+1.33%。2月(1.31)以来、7カ月ぶりの低水準となり、過去3年間では2番めの低水準。2018年7月に前年比+2.45%まで上昇したのがピークとなり、11月には2%割れ、2月の1.31%まで急低下し、その後は反発し切れない状態が続きます。2%割れは11カ月連続。
食品とエネルギーを除くコアPCEは前年比+1.67%。8月の+1.77%からは0.1%低下して2カ月ぶり低水準。
FRBの金融政策における最重要指針となるコアPCEは、昨年7月の前年比+2.11%が6年半ぶり高値となってピーク。3カ月後の10月には+1.86%となって2%割れ。今年3月と5月には+1.48%で1年7カ月ぶり低水準。2%割れは12カ月連続。
発表にはタイムラグがある為やむを得ないものの、最後に利上げした昨年12月にはコアPCEには前年比+1.97%とわずかに2%割れ、2%割れは3カ月めとなっていました。この時PCEは+1.78%で2%割れは2カ月め。
セクター別では、サービス価格はほぼ前年比+2%台での横ばい推移となっているのに対し、商品価格は昨年までの1%をはさんだ上下動から今年に入ってからはマイナス圏入りのデフレ状態が続きます。
商品のなかでは耐久財が-2%から-1%前後へと、デフレ状態はゆるやかになりつつあり、耐久財以外は昨年までの2%前後の推移から今年は0%をはさんでの上下動へと急低下。
サービス価格以外はゆるやかに低インフレ基調が加速、もしくはデフレが進行中。利上げに向けて必要となる「著しいインフレ上昇」には程遠い状態が続いています。
31日のNY金相場は+18.1ドル、1.21%の大幅続伸。9月26日(1515.2)以来5週間ぶりの高値水準となり、保ち合い上抜けの兆し。米中貿易協議における第1段階の合意署名に向けて、中国が米国との包括的・長期的な貿易合意が可能かどうかに疑念を抱いているとの報道からリスク回避の流れで株安と金利低下、円高とともに金買いの勢いも強まる展開に。FOMC後の流れで東京時間のうちに1500ドルを回復していたNY金は欧州時間に一段高となり、NY朝には1510ドル超え、米9月PCEデフレーターが予想を下回り、10月シカゴPMIは予想を大幅に下回って節目の50も大きく割りこむ43.2となって3年10カ月ぶり、2009年以降では2番めの低水準となり、一時1510ドル後半まで上昇。三角保ち合い下放れの兆しからFOMCをはさんで巻き戻し、今度は逆に上放れの展開となって上値トライ再開の可能性。目先、雇用統計がポジティブな結果とはならず、1520ドル付近の抵抗水準を超えることができれば当面の上値目標は1550ドル台へ。
月間ベースでは+41.9ドル、2.84%の反発。
NYプラチナは+3.1ドル、0.33%の小幅高で3日続伸。9月26日(936.1)以来、金と同様に5週間ぶり高値水準到達も保ち合い上限を突破し切れず。欧州時間には金の急騰局面に追随し、NY朝には一時940ドル台前半まで上昇。しかしNY時間には株安の流れに追随する形となって930ドル台前半へ、元の水準へと反落。結果的に先週高値とほぼ同水準、1カ月前にも上値を押さえられた水準で反落して長めの上ヒゲを残し、ダブルトップ形成への警戒感も漂う足型にも。これを払拭して一段高へと保ち合いを上抜けできれば950ドル台までが上値目標に。910ドル台のサポートを割れるようだと小さなダブルトップ完成となって流れも逆転、900ドル割れ濃厚にも。
月間では+44.5ドル、5.0%の反発。
ドル円は80銭超のドル安円高となって大幅反落。金とは逆行、膠着状態からFOMCでの上値トライに失敗後、切り返して下値模索の流れがスタートした様子も。東京時間に108円半ばへと水準を切り下げ、欧州時間には米中協議進展への疑念から108円10銭台まで急落。その後はいったん下げ渋る展開にもなったものの、NY時間には低インフレとシカゴPMIの大幅悪化が重石となって108円割れとの攻防状態に。雇用統計とISM製造業景況指数のいずれかが好結果とならなければ下値トライの流れ継続へ、当面の下値目安は10月序盤の安値保ち合い水準、107円台前半まで。
月間では-0.06円、0.06%の小反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/31終値とチャート
1日の国内金価格は+24円、0.42%の続伸。近年最高値となった10月28日(5723)以来4日ぶり、21世紀では2番めの高値。FOMCを終えて一段落、今後は経済指標の結果に一喜一憂しながら今後の金融政策を占い、予想するフェーズへ。早速発表されたPCEインフレとシカゴPMIが悪化したこと、さらには市場のリスク要因となり続ける米中対立の行方にも暗雲が垂れ込めそうな状況からリスク回避の流れとなって金は上値トライ再開の兆しにも。ただし国内価格は高値保ち合い上限でいったんストップした状態。今晩の米国の最重要指標2つと月曜日のユーロ圏PMI、米製造業受注などのいずれかでポジティブ・サプライズがあり、それ以外でネガティブな結果も特になし、といった結果となった場合には巻き戻される可能性もあるものの、そうならなければ上値トライ優勢の状況。高値更新に向かえば次の上値目標は5760円台へ。
週間ベースでは+12円、0.21%高で3週続伸。
プラチナ価格は+3円、0.09%と連日の小幅高で3日続伸。NYプラチナの上げ渋りによって上値が抑制された状態が続き、高値圏での小幅保ち合いも継続。3480円台の下限を割れると3420円台までが下値目安にも、3510円台の高値を更新できれば3560円台が次の短期上値目標にも。
4年越しの下降チャネル脱出をかけた攻防は11月も継続へ。
週間ではわずかに-3円、0.09%の小反落。
※参考:
金プラチナ国内価格11/1とチャート
2019年11月01日(金)時点の相場
国内金:5,720 円 11/1(金)
▲24(
0.42%)
国内プラチナ:3,509 円 11/1(金)
▲3(
0.09%)
NY金:1,514.8 ドル 10/31(木)
▲18.1(
1.21%)
NYプラチナ:933.7 ドル 10/31(木)
▲3.1(
0.33%)
ドル円:108.01 円 10/31(木)
▼0.86(
0.79%)
10/31(木)のその他主要マーケット指標
米10月雇用統計は想定以上、製造業景況感は想定未満 11/02(土)FOMCは「適切に行動」削除、3回の予防的利下げでいったん中立へ 10/31(木)消費者信頼感指数下振れで予防的利下げ正当化、で次回は? 10/30(水)シカゴ連銀全米活動指数は過去平均を下回る低迷状態継続 10/29(火)
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