コロナデフレ懸念?コアPCEは9年ぶり低インフレ
更新日:2020年05月30日(土)
米商務省が発表した4月の個人消費支出は前月比-13.6%。市場予想の-12.6%を超える減少幅となり、3月の-6.9%からも一段と急減。2ヵ月連続で調査開始の1959年以降最大の落ち込みとなりました。
2ヵ月連続での個人消費の極端な落ち込みと、4月20日にはNY原油先物がマイナス価格となる異常事態もあり、エネルギー価格の急落も重なり、4月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)も急低下。
PCEは前年同月比+0.54%となり、2015年12月(+0.37%)以来4年4ヵ月ぶりの低水準。コアPCEは前年比+1.04%となって2011年1月(+1.02%)以来、9年3ヵ月ぶりの定水準となりました。
外出規制や営業停止などによる需要低迷により、商品価格は前年比-1.9%に落ち込み、これまでインフレを牽引してきたサービス価格も3月の+2.4%から4月は+1.7%へと急低下。エネルギーと関連サービス価格は3月の前年比-6.6%から4月は-17.6%と急降下。唯一食品価格だけは3月の+1.1%から4月は+3.9%へと急騰。
経済活動が順次再開し始める5月以降も急激に需要が回復するとも思われず、むしろ景気後退と労働市場悪化などから需要低迷は続き、コロナデフレ懸念が続く可能性もありそうです。
その一方で、今回の行動規制などでサプライチェーンの混乱や寸断なども起こり、供給不足によるインフレ高騰懸念もくすぶります。
この日発表されたミシガン大の5月消費者調査では、1年先インフレ期待値は速報の3.0%から確報では3.2%、4月の2.1%からは急騰で2014年8月(3.2)以来、5年9ヵ月ぶり高水準となっています。5年インフレ期待値も速報の2.6%から2.7%へと上方改定、4年2ヵ月ぶり高水準。
現状の消費者感覚としては、一部商品の値上げを目の当たりにして、インフレ高騰への警戒感を実感しているようです。
少なくとも景気回復が見込めない第2四半期までは、景気減速による需要低迷でコロナデフレ優勢、という状態が続くのかもしれません。
29日のNY金相場は+23.4ドル、1.35%の大幅高で3日続伸、5月20日(1752.1)以来の高値水準に。1730ドル台でスタートした時間外は一時1720ドル台半ばまで下押しも、上昇し始めた20日移動平均線(1723.7)にサポートされて反発。トランプ米大統領の中国に対する新たな政策発表を控え、米中緊張感を警戒してのリスク回避ムードは欧州時間から高まり始め、NY朝には1740ドル台、午後には1750ドル台へと水準を切り上げ、トランプ大統領の会見前までに一時1750ドル台半ばまで上昇。NY引け後の会見では、WHOとの関係を打ち切ることや香港に認めている貿易上の優遇措置を撤回することなどを表明。しかし警戒されていた新たな経済制裁発動などの言及はなく、若干の安心感から会見後には米株の反発とともにNY金は1740ドル台前半へと反落。1740ドルの節目を突破したことに伴う上値目標1760ドルに迫る1750ドル半ばまで上昇し、一定の達成感からも反落となった感もあり、いったんは上値トライ一服となる可能性も。ただし今後、米中間の緊張感が一段と高まるような事態となれば、1800ドル付近まで上値を試すような場面も訪れる可能性も。
週間ベースでは+16.2ドル、0.93%の反発。月間では+57.5ドル、3.39%高で3ヵ月続伸。
NYプラチナは+6.5ドル、0.75%の反発。時間外には下値トライ急進となって860ドル台から一時840ドル台へと水準を切り下げ、下値目安830ドル台まであと少しのところまで下落。しかし、この840ドル台の水準は5月20日以降何度もサポートされて下ヒゲを残した水準でもあり、今回もしっかりサポートされて下値トライには失敗した格好にも。切り返した欧州時間には堅調推移となった金に追随すると、NY朝には一時880ドル台半ばまで急上昇。しかし、抵抗水準でもある880ドル超えを維持することはできず、870ドル台前半へと反落。保ち合い回帰となって目先は860ドル台から880ドルまでが主要レンジとなり、上抜け再トライに成功なら上値目標は3月高値圏920ドル付近。再度下値トライへと向かった場合の下値目安は840ドル台まで。
週間では-11.7ドル、1.32%安で5週ぶりの反落。月間では+61.6ドル、7.58%の続伸。
ドル円は15銭ほどのドル高円安となって0.13%の反発。上値は前日までの高値107円90銭台にもわずかに届かず、しかし終値では107円80銭台にとどまり、4月16日(107.94)以来、1ヵ月半ぶりの高値水準。東京朝には軟調推移となって107円台半ばを割れたことから下値トライへの流れで午後には下値目安107円00銭台に到達。欧州時間にかけてはこの水準で下げ渋り、何度試しても107円を割れず、NY時間には買い戻しの流れへ。月末のロンドンフィックスに向けたドル買いも重なった様子で107円80銭台まで急上昇。NY午後のトランプ会見とその後の反応も限定的となり、高止まり状態で越週。108円台半ばまでの上昇余地に向けて、ようやく動き出した可能性も。ただし108円ラインと下落基調の90日移動平均線(108.18)が抵抗水準にも。
週間では+19銭、0.18%高で小幅に3週続伸。月間では+74銭、0.69%高となって6週ぶりの反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/29終値とチャート
2020年05月30日(土)時点の相場
国内金:6,485 円 5/29(金)
▲26(
0.40%)
国内プラチナ:3,144 円 5/29(金)
▼41(
1.29%)
NY金:1,751.7 ドル 5/29(金)
▲23.4(
1.35%)
NYプラチナ:874.6 ドル 5/29(金)
▲6.5(
0.75%)
ドル円:107.82 円 5/29(金)
▲0.14(
0.13%)
5/29(金)のその他主要マーケット指標
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