IMF世界経済見通し-4.9%に下方修正、プラス成長は中国のみ
更新日:2020年06月25日(木)
IMF(国際通貨基金)が発表した2020年の世界経済成長見通しは-4.9%。ある程度予想されたことながら、4月時点の-3.0%からは1.9%の大幅引き下げ。
COVID-19パンデミックへの対策として、主要各国が数ヵ月に渡って経済活動をほぼ停止状態としたことによる代償は、予想以上に大きくなりそう、という状況を示す数値となったようです。
世界経済は今年、リーマンショック後の世界金融危機となった2009年の-0.1%をはるかに超える落ち込みとなり、1930年代の世界大恐慌に次ぐ規模の景気後退に陥ることになります。
回復局面となる(はずの)2021年の世界の成長率は+5.4%。4月時点の見通し+5.8%からは0.4%の引き下げ。2020年の落ち込みが予想以上に大きくなりそうな上に、2021年の回復基調も予想以上にスローペースとなりそう、という状況です。
主要国のなかで4月時点でのプラス成長見通しから今回6月にマイナス成長へと大幅下方修正されたのはインド。最近の感染者数急増が影響しているようです。
その結果、今年プラス成長見通しを維持した唯一の国は感染源となった中国のみ。
この2ヵ月で今年の成長見通しが引き上げられた国は一つもなく、引き下げ幅の最大はインドの-6.4%。英国が-3.7%、ユーロ圏も-2.7%の引き下げとなって今年の成長見通しはいずれも-10.2%。そのなかでドイツは0.8%の引き下げにとどまって今年の見通しも-7.8%と欧州では抜けています。
ただし、今年の見通しが大幅引き下げとなった分、2021年見通しではユーロ圏(ドイツも)と英国のみ大幅に引き上げられていいます。
ただし、これらの見通しも感染第2波の動向、その対応状況によって大きく変動するリスクも伴います。
24日のNY金相場は-6.9ドル、0.39%安で4日ぶりの反落。欧州時間につけた高値1796.1ドルは2012年10月5日(1798.1)以来、7年8ヵ月半ぶりの高値。欧米株の大幅調整でもドル高の流れにも押される形となり、利益確定売り。時間外には1790ドル付近での高止まり、ユーロ高ドル安の流れとなった場面で小幅に急騰する形となったものの、1800ドルの大台ラインが意識されると時期尚早と見る向きが多かった様子で調整局面入り。NY朝にかけては1770ドル台へと急反落、もみ合いながら上値を切り下げてNY引け後には1770ドル付近。米国ではこの日、フロリダ、カリフォルニア、テキサスの3州で新規感染者数が過去最多となり、再生産数が26州で「1」を超えたとの報道などもあり、感染再拡大への懸念も強まり、IMFの成長見通し引き下げなどもリスク資産の下押し材料に。NY金は一定の調整後には再び上値トライの展開にも。1750ドル台が当面のサポート候補となり、上方向には1780ドル台が抵抗水準。これを超えると1800ドルの大台トライへ。
NYプラチナは-41.8ドル、4.94%の大幅安となって4日ぶりの反落。下落率としては5月21日(-68ドル、7.28%)以来1ヵ月ぶりで今年5番目の急落。水準としても5月14日(775.0)以来、1ヵ月ぶりの安値。欧米株の大幅安に金も調整、さらにはパラジウムも100ドル程の急落となった日に買う向きはなく、欧州時間からNY朝にかけて840ドル台から800ドル付近まで、40ドルの急落。保ち合い上方ブレイクの兆しからの逆流となり、保ち合いレンジを拡大する逆ペナント型となって今度は下方ブレイク。乱高下の状態ながら目先は下値トライ優勢、5月前半の保ち合い水準770ドル近辺までが下値目安に。切り返して850ドルの上限を超えることになれば900ドルの大台トライへの可能性も。
ドル円は50銭超、0.5%のドル高円安となって反発。東京朝の106円30銭台がこの日の安値となり、欧州時間までは106円半ばでの小幅もみ合い推移の展開、NY時間にかけてはIMFの世界経済見通し大幅引き下げや米国内での感染再拡大への警戒感などからリスク回避優勢の展開となって株安・ドル高・円高の流れ。米10年債利回りも0.72%台から0.68%台へと急低下となったにもかかわらず、ドル高の勢いが勝ってNY午後には107円台を回復。前日に下値目安105円90銭台にあとあわずかとなる106円ちょうど付近まで下げたことによる達成感もあったようで自律反発となった格好にも。目先は107円半ばと106円半ばが上下の節目となり、保ち合い再開へ。あらためて106円台前半へとレンジ下抜けの場合には一段安の展開となって3月の戻り形成水準105円近辺までが下値目安に。107円後半へと上抜けなら108円半ばまでが上値目安にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/24終値とチャート
25日の国内金価格は+5円、0.08%の小幅高で4日続伸。2日連続で過去最高値を更新。NY金の調整にようやく、と思いきや今度はドル高に伴う相対的な円安にサポートされての高止まり。予想外の展開が続きながらも失速感も否めず。ただ、NY金の調整も限定的にとどまる可能性も警戒され、早期押し目買いの展開となれば国内価格に押し目買いのチャンスはなく、調整レスでのジリ高推移の展開にも。5月高値(6603)から5月末安値(6428)までの161.8%戻し(6711)近辺の上値目標への可能性もジリ高推移。
プラチナ価格は-70円、2.27%の大幅続落。5月15日(2909)以来、1ヵ月半ぶりの安値となって直近安値を下抜け。上値も下値も切り下げる流れ継続を余儀なくされ、NYプラチナの下値トライに連れて一段安への可能性。当面の下値目安は2950円程度まで。3090円超へと切り返す展開となれば3180円近辺を目安に反発局面形成へも。金との価格差は3602円となり、過去最大となった5月15日の3606円に次ぐ水準。この3600円前後の水準は4月半ば以降5回めとなり、価格差の高値抵抗水準を形成。価格差反落でプラチナ価格は反発、という展開を予想することも可能だが。
※参考:
金プラチナ国内価格6/25とチャート
2020年06月25日(木)時点の相場
国内金:6,620 円 6/25(木)
▲5(
0.08%)
国内プラチナ:3,018 円 6/25(木)
▼70(
2.27%)
NY金:1,775.1 ドル 6/24(水)
▼6.9(
0.39%)
NYプラチナ:804.6 ドル 6/24(水)
▼41.8(
4.94%)
ドル円:107.07 円 6/24(水)
▲0.53(
0.50%)
6/24(水)のその他主要マーケット指標
四半期平均で過去最高値更新へ、NY金の6月末の攻防 06/26(金)ユーロ圏総合PMI、景気縮小4ヵ月も5-6月は大幅緩和 06/24(水)ユーロ圏消費者信頼感指数は5-6月に過去最大の急騰でV字回復 06/23(火)富裕層が買い支え、国内金価格は90日移動平均でも6300円超え 06/22(月)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン