IMF世界経済見通し、インドを除いて上方修正
更新日:2020年10月14日(水)
IMF(国際通貨基金)が発表した2020年の世界経済成長見通しは-4.4%。6月の-4.9%からは上方修正。夏場の想定以上の回復基調を反映した形ながら、4月時点の-3.0%には及ばず、コロナ禍とロックダウンの影響は初期段階の想定を超えるレベルにあることも示した格好にも。IMFとしては、多くの国や地域の財政出動や中銀の大規模緩和政策などを評価しています。
米国の2020年見通しは6月時点の-8.0%から-4.3%へと大幅上方修正。これには追加経済対策は考慮されていない模様で、年末までに成立するようなら2021年見通しにプラス影響となる可能性も。
対照的に英国(-9.8%)とユーロ圏(-8.3%)では依然として大幅マイナス成長予想。感染再拡大とブレグジットを巡る英・EU通商交渉が大詰めの段階に来て迷走していることなども影響している様子も。なお、ユーロ圏のなかではドイツを除く主要3ヵ国がいずれも低調予想となっており、フランスが-9.8%、イタリア-10.6%、スペインは6月から変わらずの-12.8%。
今年の見通しとして唯一プラス成長が見込まれる中国は6月時点の+1.0%から+1.9%へと上方修正。4月時点の+1.2%から一貫してプラス成長予想。今年の見通しが上方修正されたほとんどの主要国では、その反動として2021年見通しは下方修正されているのに対して中国だけは2021年見通しも+8.2%成長で6月予想から変わらずの強気見通し。
新興国で対照的なのがインド。今年の見通しとしては6月時点の-4.5%から-10.3%へと大幅下方修正。4月時点では+1.9%と中国を上回るプラス成長予想となっていましたが、その後の感染急拡大で今や世界2位、米国を猛追する感染大国となってしまったことが大きく影響している様子。2021年の+8.8%予想には一抹の不安も。
なお、中国とインドを含む新興国の括りでは、全体で6月の-3.0%から-3.3%へと下方修正。先進国が-8.0%から-5.8%へと上昇修正されたのとは対照的で、新興国リスクが当面の警戒材料にもなりそうです。
IMFでは、2021年末までに世界の総生産は2019年末の水準を超えると予想しているものの、このほとんどが中国によるものとの見通し。その他の国がコロナ前の水準を回復するのは2022年以降、との予想のようです。
13日のNY金相場は-34.3ドル、1.78%の大幅安となって4日ぶりの反落。3日分の上昇幅のほとんどを吐き出して4日ぶりの安値。短期上値目標1950ドル付近に対しては週明け早々につけた高値1939.4ドルまでで折り返し。この日は1930ドルが上限となり、時間外にはサポート候補1920ドル前後で下げ渋る動きも見せたものの、NY市場では力尽きて急落の展開に。米製薬大手イーライリリーの抗体治療薬臨床試験での被験者登録停止が伝えられたことをきっかけにリスク回避の株安ドル高の流れとなり、ユーロドルの急落の流れにも連れてドル買い金売りの流れが強まってNY朝に1900ドル割れへと急落、一時1890ドル割れを試した後は1900ドルの大台ラインが抵抗線となった可能性も示唆して1890ドル台に収束。日足レベルでは右肩上がりの90日移動平均線(1886.8)に下値を支えられて中期上昇トレンドを維持。短期的にはゆるやかに水準を切り上げる上昇チャネルを形成し、目先は1890ドルから1930ドルまでがチャネル範囲内となり、下限割れとなれば中期トレンド崩れの可能性も示唆しての一段安となり、9月安値1850ドル付近までが下値目安に。切り返して上限を突破するような展開となれば9月中旬高値圏1970ドル付近までが上値目標にも。
NYプラチナは-3ドル、0.34%の小幅続落。先週末の9日NY朝に900ドルの大台にワンタッチした時点からの調整局面が継続中。この日も前日安値870ドル付近からの反発で時間外につけた高値885ドルを起点に戻り売り。時間外には870ドル付近で下げ渋り、NY朝に880ドル台へと反発すると戻り売り再開、金の急落にも連れて860ドル台前半まで急反落も880ドル台へと再反発と乱高下状態となって下げ渋りの様子も見せながら870ドル付近に収束。200日移動平均線(877.6)をわずかに割り込む状態となり、このラインを早期回復できなければ下値警戒感が強まることにも。860ドルの節目も割り込むようなら9月安値820ドル近辺を目安に一段安の展開にも。上方向には90日移動平均線(898.4)が当面の抵抗線に。
ドル円は16銭のドル高円安、0.15%高で3日ぶりの反発。東京午前の時間帯につけた安値は105円20銭台、前日安値を下回らず、20日移動平均線(105.38)にもサポートされる形となって徐々に下値を切り上げる展開に。欧州時間にはドイツの10月ZEW景況感指数が予想を大幅に下回ったことなどを受けてユーロドルが軟調気味に推移し、NY時間にはワクチン開発での先行き不透明感なども背景に株安ドル高の流れが強まり、105円50銭近辺から一時105円60銭台まで小幅に急騰する場面も。しかし、ドル高円高の流れでドル円の値動きは限定的、一方的な流れとはなり難い状態は続き、105円台半ばに収束。今朝の東京市場では株安の流れにも連れて円高圧力が強まる展開となり、105円30銭近辺へ。目先、105円30銭から106円までが主要レンジとなり、下限割れとなれば105円割れへ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/13終値とチャート
14日の国内金価格は-92円、1.29%の大幅続落。右肩下がりの21日移動平均線の傾きを変えることができずに9-21日移動平均線(7060-7071)をまとめて下抜け、短期的な反発局面は急失速。ただし、中期上昇トレンドをサポートする右肩上がりの90日移動平均線(6995)割れは回避。9月末以降、ゆるやかに水準を切り上げる上昇チャネルの形を維持できるかどうかも目先のポイントに。これを維持できずに90日線も割り込むようなら中期トレンドに黄色信号、6970円台の節目も割り込むようなら短期トレンドも下方向へ、9月安値6900円の大台割れを試しに行く可能性も高まり、6880円程度までが短期下値目安にも。上方向には21日移動平均線が抵抗線候補に。
プラチナ価格は-5円、0.15%の小幅続落。90-200日移動平均線を挟む9-21日移動平均線(3249-3290)の抵抗帯がじわりと水準を切り下げて上値を押さえ込む形となり、3220円台から3240円台までの小幅保ち合いをわずかに下方ブレイクの兆し。誤差の範囲と見ることも可能ながら、NYプラチナの調整局面が続けば一段安の展開を余儀なくされ、下値目安は3150円近辺まで。
※参考:
金プラチナ国内価格10/14とチャート
2020年10月14日(水)時点の相場
国内金:7,018 円 10/14(水)
▼92(
1.29%)
国内プラチナ:3,221 円 10/14(水)
▼5(
0.15%)
NY金:1,894.6 ドル 10/13(火)
▼34.3(
1.78%)
NYプラチナ:873.3 ドル 10/13(火)
▼3.0(
0.34%)
ドル円:105.47 円 10/13(火)
▲0.16(
0.15%)
10/13(火)のその他主要マーケット指標
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