CPI低迷、中古車価格高止まりも自動車保険などはデフレ再加速
更新日:2020年11月13日(金)
米労働省が発表した10月の消費者物価指数は前年比+1.18%。市場予想の+1.3%を下回り、5ヵ月ぶりの低下となって9月の+1.37%からも急減速。食品とエネルギー関連を除くコアCPIも市場予想の前年比+1.7%に対して+1.61%と低調。+1.74%まで上昇した8月から、9月の+1.71%とで続落。原油価格が月間平均で8月の42ドル台から9-10月には39ドル台へと反落、軟調推移となっていることが大きく影響した様子。
カテゴリー別でも、エネルギー関連が5月の前年比-18.9%から9月には-7.7%まで回復していたものの、10月には-9.2%へと再失速。食品とエネルギーを除く商品価格は4ヵ月連続上昇で3ヵ月連続プラス圏となって+1.2%まで上昇したのに対し、エネルギー関連を除くサービス価格は3ヵ月続落となって前年比+1.7%。コロナ前の+3%前後からの下方乖離状態は続き、コロナ後最低水準。
詳細項目別でも、ウェイト2.84%を占めるガソリン価格が前年比-18.0%。1月の+12.8%から5月の-33.8%まで急低下後、9月には-15.4%まで回復後の反落で9ヵ月連続の前年割れ。低迷が続く航空運賃も3月から10月まで8ヵ月連続の前年割れで-20.0%、5月の-28.8%からは回復傾向。
ウェイト2.79%を占める中古車価格は主要品目のなかでは数少ない高インフレ維持。10月には前年比+11.5%となり、6月の-2.8%から8月にプラス圏を回復し、+10.3%へと急騰した9月からさらに加速。これに対してウェイト1.59%を占める自動車保険は前年比-7.1%。続落となって4ヵ月ぶりの低水準、5月の-14.3%からの回復基調は腰折れ、デフレ再加速となって7ヵ月連続の前年割れ。
インフレの牽引役でもあり、ウェイト7.34%を占める医療サービス価格は前年比+3.7%となって6月の+6.0%からは4ヵ月続落となって昨年7月(+3.3%)以来1年3ヵ月ぶりの低水準。ウェイト1.6%の医療用品も前年比-0.8%となって1年1ヵ月ぶりの前年割れとなって1年4ヵ月ぶり低水準。ウェイト1.25%の健康保険も8ヵ月続落で前年比+10.2%、1年7ヵ月ぶりの低水準。
パンデミックの再拡大が懸念される状況下で、米国の物価は抑制された状態が続き、主要品目のなかでは10月になってインフレ急失速、デフレ再加速なども目立ちます。
12日のNY金相場は+11.7ドル、0.63%の反発。1860.7ドルの安値でスタートした時間外は1870ドルを上限に小幅揉み合い推移、NY市場では米10月CPIが予想を下回ったこともきっかけとなって1870ドル台へ、米10年債利回りが0.9%台半ばから0.9%割れへと急低下した流れにもサポートされ、一時的には1880ドル超へも。また、パウエルFRB議長の「感染が拡大する中で米経済は向こう数ヵ月、厳しい状況に直面する可能性」発言、ラガルドECB総裁やベイリーBOE総裁などのワクチン期待への過剰な楽観視に自重を促す発言なども過熱気味の株価の調整を促した様子。ワクチン相場で急落したNY金は、その後の戻りが限定的となった状態でくじら幕相場を形成。流れは下方向優勢の状態ながら、ドル安継続や高値警戒感も強まる株価の急反落などが反発をサポートするような展開となる可能性も。目先、1860ドルに切り上げた下限を割り込めば下値目安1830ドルまでの一段安へ、1880ドルの上限突破となれば1900ドルの大台回復トライへ。
NYプラチナは+15.9ドル、1.83%の反発。この日は値動きに加えて値幅も金に追随、時間外は860ドル半ばから870ドル台半ばまで小幅に水準を切り上げるとNY市場では880ドル台へと上昇。日足では上値を徐々に切り下げる形でのくじら幕を形成。下値はわずかに下降を続ける200日移動平均線(865.0)に支えられ、これを割れるようだと下値トライへの流れが加速、9月安値820ドル前後までが下値目安に。上方向には900ドルの節目を突破できれば上値目標940ドルを目指す流れへ。
ドル円は30銭のドル安円高、0.28%の反落。東京朝の105円50銭付近の高値からNY終盤には105円00銭台まで軟調な展開に。米10年債利回り低下の流れ、欧米でのコロナ感染拡大と行動規制などへの警戒感と欧米主要中銀総裁らの楽観引き締め発言などもあり、株安の流れにも連れて円高基調。米CPIの下振れなども下押し材料となり、今朝の東京市場では105円ラインとの攻防へ。週明けの急騰後は90日移動平均線(105.66)や一目均衡表の雲の上・下限など複数のテクニカルな節目に上値を押さえられる状態が継続。強めの抵抗帯となりつつある105円台半ばを突破できればあらためて106円近辺までの上昇余地も。軟調な流れが続いて105円割れとなれば20日移動平均線(104.76)がサポート候補。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/12終値とチャート
13日の国内金価格は+21円、0.3%の反発。10月安値6856円をボトムに9月安値と前日の6902円で逆三尊を形成する可能性を残しての反発も、急落した10日の水準6925円にもわずかに届かず、急落後の安値揉み合い状態。ちなみに9月安値で6902円まで下げた翌日も6929円まで反発後、6909円へと再反落となって小さな揉み合い形成後に10月高値7140円台に向けた流れへ。はたして今回は。重要水準6902円を割り込んでしまった場合には、逆三尊崩れとなって10月安値6850円台までが下値目安に。仮にその近辺で下げ止まって反発へと向えば、今度はダブルボトム形成への可能性にも。
週間ベースでは-125円、1.77%の反落。
プラチナ価格は+24円、0.75%の反発。小幅保ち合いからの上方ブレイクに続いて下方ブレイクもダマシに終わり、レンジ拡大に向けた上下動の一環だったことに。保ち合いレンジを3200円から3250円までに拡大し、ほぼその中間付近に位置してまたしても両睨みの構え。短期的な流れとしては反発方向優勢の状態にもあり、3250円超へと上方ブレイクとなれば、3400円の大台トライも視野に上昇トレンド形成へと向かう可能性。当然ながらNYプラチナの保ち合い上方ブレイクが必須条件。3200円の下限割れの場合には3150円前後までが下値目安。
週間ベースでは+3円、0.09%の小幅続伸。
※参考:
金プラチナ国内価格11/13とチャート
2020年11月13日(金)時点の相場
国内金:6,923 円 11/13(金)
▲21(
0.30%)
国内プラチナ:3,229 円 11/13(金)
▲24(
0.75%)
NY金:1,873.3 ドル 11/12(木)
▲11.7(
0.63%)
NYプラチナ:884.0 ドル 11/12(木)
▲15.9(
1.83%)
ドル円:105.14 円 11/12(木)
▼0.30(
0.28%)
11/12(木)のその他主要マーケット指標
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