コロナショック後ピークアウトしていない雇用指標
更新日:2021年02月06日(土)
米雇用統計で失業率は4月に14.8%へと急激に悪化した後、改善傾向が続いて1月は6.3%。やや停滞した11-12月の6.7%からは大幅改善、3月(4.4%)以来10ヵ月ぶりの低水準。
望まないパートタイムなども含む、広義の失業率を示すU6失業率も4月に過去最大となる22.9%へと急騰した後、9ヵ月連続の低下となって1月は11.1%。3月(8.8%)以来10ヵ月ぶりの低水準へと改善傾向が続きます。
非農業部門雇用者数は3月に前月比-168.3万人、4月には-2067.9万人と大幅に減少した後は回復傾向が続きましたが、12月には想定外の前月比-22.7万人。プラス圏回復が予想された1月は前月比+4.9万人とやや低調。一応回復傾向は続いている、という状態に。
総雇用者数で見ると、2月の1億5252万人が3月に1億5084万人、4月には1億3016万人へと激減。その後は増加し続けて11月には1億4280万人まで回復。ところが12月には1億4258万人へと減少。1月は1億4263万人となりましたが、まだ11月の水準にも及びません。
雇用者数の回復基調においては足下で若干のつまづきもあるものの、雇用統計の主要指数としては急激に悪化した状態からピークアウトして改善傾向が続く状態にあります。
そんななかで、唯一(ではない可能性もありますが)コロナショック後の悪化状態がピークアウトしていない指標があります。
失業期間が27週を超える、つまり半年以上の失業者の割合を示す、長期失業者の割合です。
指標の特性上、コロナショック直後には短期失業者の激増により、相対的に長期失業者の割合は激減。その後9月に19%まで上昇し、2月(19.3)以来の水準となり、10月には32.1%へと急騰。6年3ヵ月ぶり高水準へと跳ね上がって急速に悪化。新規失業者が増加した12月には37.1%で11月からはわずかに0.3%増と停滞しましたが、1月は39.5%へと再び急増。4月の大底から9ヵ月続伸となって2012年11月(40.2)以来、8年2ヵ月ぶりの高水準。
悪化状態は現在進行形、過去最悪となった2010年4月の45.5%に対してどこまで接近するのか、いつピークアウトするのか、今後の動向が注目されます。
おそらくこの指標がピークアウトした時が、米労働市場の回復基調が本格的に加速するタイミングになるものと思われます。
5日のNY金相場は+21.8ドル、1.22%の反発。前日の急落で短期下値目安1780ドル台までしっかり下げた後の自律反発は、1890ドル台で上げ渋る状態からロンドン市場で加速。ユーロドルの2ヵ月ぶり安値圏からの急反発とともに1800ドルの大台を回復すると1810ドルにもワンタッチ。ただしこの水準では上値も重く、米雇用統計への警戒感もあって1800ドル前後まで反落。しかし、雇用統計の低調な結果に流れは反転、ドル全面安の流れにサポートされてNY午後にかけて1810ドル台を回復。2ヵ月連続の期待はずれにバイデン政権の経済対策の必要性も再認識されることにもなり、今後のサポート材料にも。1790ドルが当面の下値サポートとなり、割り込むようだと11月安値1770ドル前後までが下値目安に。上方向には20日移動平均線(1843.7)が地合い回復に向けての最初のハードル。
週間ベースでは-37.3ドル、2.02%の続落。52週移動平均線(1808.3)にはサポートされた状態。
NYプラチナは+30ドル、2.72%の大幅反発。金の急落に引っ張られる形で水準を切り下げた前日の下落幅の3倍弱の上昇となり、終値ベースでは2月1日(1138.8)に次いで今年2番めの高値。時間外には金に先行する形で堅調推移となって1100ドル台から1110ドル台へ、ロンドン市場では1120ドル台、米雇用統計後には1130ドル台へと水準を切り上げるとNY午後にかけては下値も徐々に切り上げて1130ドル台後半へ。1110ドル台の節目を超えての一段高で流れは好転方向へ、今年これまで何度も上値を押さえられてきた1140ドルの抵抗感を払拭できるかどうかが目先の課題。これをクリアできれば一段高の展開となって今年最高値更新へ、2016年最高値圏1190ドル台までが上値目標。下方向には20日移動平均線も推移する1100ドルが当面のサポート。これを割り込むようだと大幅調整へ、12月半ばの保ち合い水準1020ドル台までが下値目安に。
金との価格差は680.0ドルとなり、昨年2月21日(672.7)以来ほぼ1年ぶりの水準で一段と縮小。
週間ベースでは+53.8ドル、4.99%の大幅反発。11月30日からの週(+108.0ドル、11.19%)以来、9週ぶりの急騰。
ドル円は12銭のドル安円高、0.11%の小幅安となって8日ぶりの反落。東京時間は200日移動平均線(105.60)が抵抗線となって小康状態、欧州時間にはユーロ高ドル安の流れに押されて105円30銭台まで下押し。NY朝にかけては雇用統計への期待感と米上院が今会計年度予算の大枠となる予算決議案を可決したことも好感され、株高・円安の流れが強まって105円70銭台まで反発。10月9日(106.03)以来、4ヵ月ぶり高値をつけた後は雇用統計の低調な結果を受けて105円30銭台へと逆戻り。結果的に下げ止まった200日移動平均線の上抜けには失敗も、これが適度な調整となって円買いの巻き戻しの流れがもう一段進行することになれば、短期的には106円程度までの上昇余地も。
週間では+73銭、0.7%の続伸。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場2/5終値とチャート
2021年02月06日(土)時点の相場
国内金:6,666 円 2/5(金)
▼102(
1.51%)
国内プラチナ:4,035 円 2/5(金)
▲12(
0.30%)
NY金:1,813.0 ドル 2/5(金)
▲21.8(
1.22%)
NYプラチナ:1,133.0 ドル 2/5(金)
▲30.0(
2.72%)
ドル円:105.42 円 2/5(金)
▼0.12(
0.11%)
2/5(金)のその他主要マーケット指標
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