世界のプラチナ需給-2021年第1四半期
更新日:2021年05月18日(火)
WPIC(World Platinum Investment Council)が発表したプラチナ需給レポートによれば、2021年第1四半期のプラチナ総需要は61.2トン。前期比ではわずかに+0.4%、前年同期比では+25.9%。
総供給量は60.7トンで前期比+6.5%、前年同期比+10.6%で5四半期ぶりの高水準。
需給バランスは、わずかに0.6トンの供給不足。供給不足は4四半期連続も4四半期では最小。
2021年の通年見通しとしては、総供給245.2トン、総需要250.1トンとなって4.9トンの供給不足。供給不足は2013年以降では最大となった2020年の26.8トンからは大幅縮小見込みも2019年の3.2トンを上回り、3年連続となる見込み。
<供給>
■鉱山産出量:43.9トン 前期比+8.7%、前年比+13.6%、2四半期ぶり高水準。うち南アフリカは30.2トン(前期比+11.2%、前年比+15.2%)で2四半期ぶり高水準、ロシアは5.7トン(前期比+1.1%、前年比+22.7%)。2カ国合計シェアは81.8%となって前期の81.2%から小幅増で2四半期ぶり高水準。
■リサイクル:17.4トン 前期比-2.7%、前年比+17.9%で2四半期ぶり低水準。
<需要>
■自動車触媒:21.4トン 前期比-3.0%、前年比+7.8%、2四半期ぶり低水準。15四半期連続の前年割れ後に2四半期連続で前年比プラス。
■宝飾品:14.9トン 前期比-9.7%、前年比+21.8%、3四半期ぶり低水準。14四半期連続前年割れ後に2四半期連続で前年比プラス。
■産業用:20.6トン 前期比+12.4%、前年比+43.4%。2四半期ぶり高水準。少なくとも2015年以降では最大。
ガラス関連は8.7トン、前期比+89.2%、前年比520%で5四半期連続増で2015年以降では最大。
■投資:4.4トン 前期比+5.3%、前年比+96.9%。2四半期ぶり高水準。
地金・コイン等の現物投資需要は0.5トンで前期比-71.7%、前年比-94.4%。ETF関連は+2.8トンで買い越しは4四半期連続、2四半期ぶり高水準。
★需要全体における自動車触媒需要の占める割合は35.0%。2015年以降でシェア最低となった2020年第2-3四半期の24%台から急回復した2020年第4四半期の36.2%からはわずかに低下も2四半期連続の最大シェア。2番めは産業用が33.6%となって2015年以降では最大。宝飾需要はシェア24.3%、投資需要は7.1%。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は15.4トン。前期比-16%、前年比-29%で2015年以降では最低。
NYプラチナ平均価格は1165.1ドルとなり、2020年第4四半期の944.2ドルから急騰、6年ぶり高水準に。ETF関連の在庫増減量は前期の+2.3トンから+2.8トンへと増加、4四半期連続の買い越し。
プラチナ消費需要の低迷が続くなかでも、世界的な経済回復に伴う自動車販売増により、ガソリン車の排ガス触媒としての需要増によるパラジウム価格の高値更新にも連れ高となり、将来の水素電池需要なども意識されてプラチナ価格の高騰も続き、ETF需要増との相乗効果という状態にも。
2021年第1四半期は、プラチナ価格においては売られ過ぎの低迷期から脱却した、重要な分岐点となる可能性もありそうです。
17日のNY金相場は+29.5ドル、1.6%高となって3日続伸。今年の平均騰落値幅13.7ドルの倍以上、今年7番めのの急騰で1月7日(1913.6)以来、4ヵ月ぶりの高値。強めの抵抗水準となりつつあった1840ドル台の攻防からスタートした週明け時間外、これを突破して1850ドル台へと浮上も維持できずいったんは反落。米10年債利回りが1.61%台で反発に転じ、ドル高の流れとなったロンドン時間には軟調推移もNY市場では流れが反転。米株も軟調推移となった流れを受けて押し目買いとなったNY金は抵抗感払拭済の1840ドル台をなんなく突破すると一段高、3ヵ月半ぶりに200日移動平均線(1853.6)を上抜けて1860ドル台後半へ、NY午後から引けにかけてもこの水準を維持して高止まり。中東の地政学リスクに加え、この日もクラリダFRB議長が「テーパリング協議を始める時期ではない」と発言したことなどもサポート材料となった可能性も。1840ドル台の抵抗水準突破に伴う短期上値目標1860ドル近辺をクリアし、一服感からの調整も、200日線などがサポート候補に。
NYプラチナは+21.7ドル、1.77%の続伸。1230ドル台を中心に小幅保ち合い推移となり、金が急騰したNY午前には追随する形で下値を切り上げ、NY午後には1240ドル台へ。この日の変動値幅は金を4ドル弱下回る24.4ドルにとどまり、今年の平均41.7ドルの半分強、今年8番めの小動き。ゆるやかに上昇する20日移動平均線(1228.6)を上抜けて地合い回復方向へ。抵抗水準となる可能性もあった1230ドルをしっかり超えたことから、いずれ1260ドル台の上限トライのチャンスをうかがう展開にも。1270ドル超へと抜け出すことになれば、1300ドルの大台トライとなって1310ドル近辺までが上値目標にも。
ドル円は17銭程のドル安円高、0.16%安となって小幅に3日続落。東京朝に109円50銭近辺まで上昇したのがこの日の高値となり、戻り売り優勢の展開へ。欧州時間に109円10銭を割り込んだのが安値となり、NY時間にかけては下げ渋り。5月のNY連銀製造業景況指数は4月からは低下したものの、市場予想を上回る24.3となって好調を維持し、仕入・販売価格指数がいずれも過去最高となるなどインフレ警戒指標にも109円30銭を超えられず。日足レベルでは3日続落でも下落値幅の合計は1円超の大陽線となった12日の上げ幅の半分にも満たず、底堅さを維持。上方向へは109円70銭の節目を上抜けることができれば110円台前半へと一段高の展開にも。しかし5日移動平均線(109.26)を下回る状態が続けば徐々に軟調な展開にも、109円のサポートを割れると108円半ばの節目までが意識される展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/17終値とチャート
18日の国内金価格は+78円、1.1%高で3日続伸。上げ幅は今年の平均43円の1.8倍強、今年6番めの急騰。水準としては昨年9月18日(7186)以来、8ヵ月ぶり高値。逆三尊完成と同時に一段高となり、早くも昨年8月7日の最高値7676円から今年3月安値までの61.8%戻し(7194)も視野に。しかし短期的な行き過ぎ状態も進行、過熱感を示すRSIは85.4となり、最高値となった昨年8月7日(89.5)以来、9ヵ月ぶりの高水準。今のところはNY金の高止まり状態が続いてはいるものの、テーパリング観測再燃などのきっかけがあれば急反落の展開も余儀なくされることにも。
プラチナ価格は+67円、1.43%の続伸。2013年高値(5445)から2020年安値(2422)までの76.4%戻し(4732)を上抜け。中長期的な節目水準を上回ったことから、短期的には反落警戒感も。ただし、4750円の節目を上抜けることになればさらに上値を伸ばす展開も想定され、短期上値目標は今年高値を更新し、4820円台辺りまで。下方向には4630円が当面のサポート、これを割れると一段安の展開となって下値目安は4540円近辺まで。
※参考:
金プラチナ国内価格5/18とチャート
2021年05月18日(火)時点の相場
国内金:7,145 円 5/18(火)
▲78(
1.10%)
国内プラチナ:4,744 円 5/18(火)
▲67(
1.43%)
NY金:1,867.6 ドル 5/17(月)
▲29.5(
1.60%)
NYプラチナ:1,244.5 ドル 5/17(月)
▲21.7(
1.77%)
ドル円:109.20 円 5/17(月)
▼0.17(
0.16%)
5/17(月)のその他主要マーケット指標
実質金利下げ渋りでNY金も上げ渋り 05/19(水)国内金価格、今年高値更新で逆三尊完成 05/17(月)ノイズの多い4月指標、消費も生産も予想外に低調 05/15(土)生産者物価も一時的上振れ、コアPPIも全て前年比過去最高 05/14(金)
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