FRBのタカ派シフトでイールドカーブはフラット化へ
更新日:2021年06月22日(火)
米10年債利回りは今週1.5%付近まで回復していますが、先週のFOMC直後には1.6%付近まで急騰後に急反落となって1.5%割れ、週末には一時1.4%割れまで低下しました。1週間前には1.5%台、1ヵ月前には1.6%台だった10年債利回りは足下で低下しています。少し長めに見れば10年債利回りは今年、3月末に1.74%台まで上昇してピークアウトしています。
30年債の利回りも1ヵ月前の2.3%台から1週間前には2.2%、18日には1.9%台へと低下。長期債利回りは低下傾向となっています。
これに対して5年債の利回りは0.8%前後での推移が続き、2年債は1ヵ月前の0.1%台から0.2%台へと上昇し、3ヵ月債は1ヵ月前の0.01%から0.05%へ、1ヵ月債利回りは1ヵ月前の0.0%から0.06%へと上昇。短期債利回りは上昇傾向となっています。
短期債と長期債の金利差が拡大する「スティープ化」の流れも今年、ピークアウトし、短期債と長期債の金利差が縮小する「フラット化」がスタートしているのかもしれません。
FOMCでは予想中央値で2023年までに2回の利上げが示されるタカ派シフトとなり、テーパリングへの議論も開始するとのパウエルFRB議長発言に加え、週末にはセントルイス連銀のブラード総裁がテーパリングについては「今回の会合で議論を開始した」との発言。そして自身の2022年後半の利上げ開始予想にも言及。
FRBによる債券購入規模の順次縮小が意識されて長期債利回りが低下しやすくなり、早ければ1年後にも利上げ開始が意識される可能性も浮上してきたことから短期金利は上昇傾向へ。
FRBのタカ派シフトがイールドカーブのフラット化を促進し始めたようです。
21日のNY金相場は+13.9ドル、0.79%高で3日ぶりの反発。先週末の1760ドル台前半から週明け時間外に1770ドル台へと反発基調、ドル全面高の流れがゆるやかに巻き戻される展開となり、ロンドン市場にかけて1780ドル台を回復。一時1.4%を割り込んでいた米10年債利回りが1.4%台後半へと上昇基調を強めたNY市場では1770ドル台前半まで下押しも、NY午後には1780ドル台へと戻しての推移。急落局面一服となり、90日移動平均線(1791.2)が抵抗線とならなければ1800ドルの大台回復をかけた攻防へも。この水準は4月後半から5月上旬の急騰前までの保ち合い上限となって上値を押さえられ続けた水準。下方向には3月安値から6月高値の61.8%戻し(1767.2)近辺、1760ドル台がサポート。これを割り込むようだと1750ドル前後までが短期下値目安に。
NYプラチナは+9.6ドル、0.92%高で5日ぶりの反発。週明け時間外は株安の流れに連れる形となって軟調推移、1040ドル台から1020ドル付近まで下げて今年最安値となった1月11日(1011.0)以来5ヵ月ぶりの安値をつけて反発。ロンドン市場にかけては株高・金高の流れにも追随、1040ドル台を回復するとNY午後までに1050ドル台へ。下ヒゲを残して底打ちの可能性を示唆、目先は1040ドルが下値サポートとなって回復方向には200日移動平均線(1078.1)辺りがもう一段の戻りの目安に。下方向jへ再度1040ドルを割れると1020ドル近辺再トライへ。
ドル円は6銭程度のドル高円安、0.05%の小幅高。東京午前には株安の流れに連れて円高圧力が強まり、110円20銭台から110円を割れると一時1週間ぶり安値となる109円70銭付近まで下落。東京午後から欧州時間にかけては株価反発の流れに連れての円安基調へ、欧州時間に110円10銭台を回復すると高値では一時110円30銭台まで上昇し、NY時間には110円20銭台を中心に小幅保ち合いの展開に。結果的に下へ行って来いとなり、下値を20日移動平均線(109.75)にサポートされて下ヒゲ陽線となって反発方向への可能性も示唆。この日はセントルイス連銀のブラード総裁に続いてダラス連銀のカプラン総裁もタカ派発言で「緩和縮小プロセスの早期開始」を支持。その一方でNY連銀のウイリアムズ総裁は「インフレは一時的」とFRB執行部サイドの見方を念押し発言。これもドル高の重石となった様子も。引き続き110円台前半を主要レンジに保ち合いの様相に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/21終値とチャート
22日の国内金価格は+49円、0.71%高となって7日ぶりの反発。3月5日の今年安値6413円を起点とする右肩上がりのサポートラインに支えられ、90日移動平均線(6827)割れを回避、1ヵ月半ぶりの200日移動平均線(6884)割れも1日だけにとどめて再び上抜け。反発方向に向けては今年高値となった6月3日の7335円から前日までの下げ幅の23.36%戻し(6974)以上を回復できるかどうかが当面の課題。6860円を下回るようなら6810円近辺までが短期下値目安に。
プラチナ価格は+75円、1.86%高で5日ぶりの反発。前日までの4日続落合計440円のうちの17%だけ戻した状態。38.2%戻すことができれば4200円に到達し、水準的には5月高値(4750)から前日までの下げ幅の23.6%戻し(4203)にも相当し、底打ち確認と反発方向への期待感も。4030円割れへと6月安値更新の場合には一段安の展開へ、3980円辺りまでが次の下値目安に。※参考:
金プラチナ国内価格6/22とチャート
2021年06月22日(火)時点の相場
国内金:6,911 円 6/22(火)
▲49(
0.71%)
国内プラチナ:4,109 円 6/22(火)
▲75(
1.86%)
NY金:1,782.9 ドル 6/21(月)
▲13.9(
0.79%)
NYプラチナ:1,050.6 ドル 6/21(月)
▲9.6(
0.92%)
ドル円:110.27 円 6/21(月)
▲0.06(
0.05%)
6/21(月)のその他主要マーケット指標
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