ジャクソンホール前日に主要タカ派メンバ出動、タカ派工作へ?
更新日:2021年08月27日(金)
毎年8月に世界の主要中央銀行総裁らを招いて開催される経済シンポジウム、通称「ジャクソンホール会議」は今年も急遽オンライン開催に切り替えられて期間も1日に短縮。主要イベントはパウエルFRBの議長の「経済見通し」という講演タイトルで行う、テーパリング着手時期見通しなど金融政策動向に関する言及(の有無を含む発言内容)。
これを主催するカンザスシティー連銀のジョージ総裁(タカ派で来年FOMC投票権)はこの日、「今後の経済成長や雇用増が予想される状況から、早期に(今年中に)テーパリング着手すべき」との従来どおりの自論に言及。また、ダラス連銀のカプラン総裁(タカ派で今年も来年も投票権なし)は、先週には「変異株次第で柔軟に調整も必要」との慎重姿勢も見せていたものの、この日は「9月FOMCでテーパリング計画発表、10月開始すべき」とあらためて従来からの具体的なスケジュールについて発言。
さらに、この日はセントルイス連銀のブラード総裁(現状タカ派で来年FOMC投票権)も早期テーパリング着手要求とともに「来年第1四半期末までに資産購入を終わらせるべき」と期限についても言及。
ジャクソンホール前日になって主要タカ派メンバだけが緊急出動したかのうように早期テーパリングを主張する発言。これが意味するものは・・・と勘ぐりたくなるところです。
この日発表された失業保険申請件数は5週ぶりに増加しましたが、4週移動平均では37万件弱となって前週比-1.15万件。10週平均にしても-3千件。現状ペースで減少し続けた場合、コロナ前の21万件程度まで減少するのにかかる期間は54週、13ヵ月程。来年9月にはコロナ前の水準を回復する可能性があります。
継続受給者数は4週移動平均で290万人まで減少。コロナ前の水準170万人との差は120万。4週移動平均での前週比10週平均は-7万人まで加速中。減少ペースを週5万人で計算した場合、コロナ前の水準回復までの所要期間は6ヵ月。来年2月にはコロナ前の水準を回復する可能性があります。
セントルイス連銀ブラード総裁が主張するテーパリング終了時期までには、失業保険継続受給者数はコロナ前の水準を既に回復している可能性もあります。
26日のNY金相場は+4.2ドル、0.23%の反発。ジャクソンホール前日は米地区連銀総裁のうちの主要タカ派メンバーが相次ぎ自論に言及したことが伝えられ、時間外から軟調推移。1790ドル台前半からロンドン時間には1780ドル台半ばまで、NY序盤には一時1780ドル付近まで下落する場面もあったものの保ち合いレンジ下限付近ではまだ底堅さもあって下げ渋り。その後アフガニスタンの首都カブールの空港周辺での爆発による死傷者発生が伝えられ、爆破テロとの見方から米株急落などリスク回避の流れとなって一時1800ドル近辺まで急反発。テーパリングに関するタカ派傾斜への警戒感と地政学リスクによる安全資産買いとの綱引き状態となり、NY午後にかけては1780ドルから1810ドルまでの保ち合いレンジ半ば、1790ドル台半ば付近に収束。若干のタカ派傾斜を睨んだ金融政策動向に対してアフガン情勢が事態を複雑化。単純に保ち合いレンジを抜け出した方向へは動きやすく、上方向なら1830ドル近辺までが視野に、下方向なら1750ドル近辺までが意識される展開にも。
NYプラチナは-18.0ドル、1.81%の大幅安で3日続落。8月19日(971.2)以来、1週間ぶり安値圏での一段安。時間外は990ドル台から980ドル台までのレンジで保ち合う形となったものの、NY市場での地政学リスクには990ドル台半ばから970ドル台まで急速に売られる展開。終値ベースでの8月安値970ドル近辺では下げ渋る格好にも。ダブルボトム形成トライに失敗後の下落基調でトリプルボトム形成の様相も意識され、今年最安値954ドルから終値ベースの安値970.9ドルまでは重要なサポートに。ただし970ドルを維持し切れなくなれば一段安へ、今年安値を更新して940ドル程度までの下落も想定。切り返して1020ドル超へと抜けだすことができればダブルorトリプルボトム形成トライへ、短期上値目標は1040ドル近辺へ。
ドル円は9銭のドル高円安、0.08%の小幅続伸で8月12日(110.43)以来、2週間ぶりの高値。90日移動平均線(109.77)を挟んでの保ち合い状態から上方向へと抜け出した前日終値水準110円ちょうど付近維持をかけた攻防状態が継続。FOMCタカ派メンバの一連の発言には若干のドル高優勢の展開となって欧州時間には110円20銭台まで上昇。NY時間でのアフガン情勢をめぐるリスク回避報道では円高ドル高の流れでわずかに円高優勢、わずかに軟調推移も110円をはさんでの揉み合い推移で110円ちょうど付近に収束。ドル高方向へとゆっくりと動き出したかにも見えた展開は若干の下方リスクも抱える状況となり、110円20銭近辺の攻防ラインでの上値の重さが増す状態にも。週末にこの水準を突破することができれば次週、110円60銭の節目との攻防へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/26終値とチャート
27日の国内金価格は+10円、0.14%の小幅高で3日ぶりの反発。ゆるやかに上昇する90日移動平均線(6983)との乖離幅は縮まらず、しかし下げ止まった21日移動平均線(6897)を上昇軌道の9日移動平均線(6903)が上抜け、ゆるやかな上昇基調をサポート。ジャクソンホールでは若干のタカ派傾斜に向けた伏線発言も警戒され、下値警戒感のほうが増す可能性も警戒されるものの、アフガン情勢がサポート材料となって予想も困難に。意外と期待はずれで週末と月末を迎え、今後の行方を左右するのは1週間後の雇用統計、という事態にも。6960円超えなら7000円の大台回復が短期上値目標、6860円の下値サポート割れなら6780円台辺りまでが下値目安に。
週間ベースでは+56円、0.81%の続伸。
プラチナ価格は-53円、1.38%安で3日続落。弱気のパーフェクトオーダー完成後の一段安も、8月の底値(かもしれない)保ち合い形成中の下落局面。現状水準で反発できれば逆三尊形成への可能性も、今年安値3749円近辺までで切り返すことができればダブルボトム形成トライへの可能性も。いずれにしても当面の大底を示す形状を残しての斜行三角保ち合い上抜け再トライへと向かい、中期トレンド反転へ、といったシナリオも想定しやすいところ。ただし安値更新なら楽観シナリオは崩れて3700円の大台割れへ、昨年12月の保ち合い水準3670円近辺までが下値目安に。
週間ベースでは+43円、1.15%の反発。
※参考:
金プラチナ国内価格8/27とチャート
2021年08月27日(金)時点の相場
国内金:6,929 円 8/27(金)
▲10(
0.14%)
国内プラチナ:3,792 円 8/27(金)
▼53(
1.38%)
NY金:1,795.2 ドル 8/26(木)
▲4.2(
0.23%)
NYプラチナ:975.5 ドル 8/26(木)
▼18.0(
1.81%)
ドル円:110.08 円 8/26(木)
▲0.09(
0.08%)
8/26(木)のその他主要マーケット指標
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