インフレヘッジで急騰のNY金、主要レンジも上方シフト?
更新日:2021年11月12日(金)
本来ならインフレヘッジとして買われやすい金。しかしインフレ高止まりによる早期利上げ観測が売り材料としても作用するNY金の場合、これまではインフレ上昇なら下落へ、となりやすい展開が続いてきました。
ところがここに来て過度のインフレ上昇懸念によるヘッジ買いによる金買い圧力が、ある程度織り込みつつある早期利上げ観測による売り圧力を上回り始めた兆しも。
この流れが今後も続くかどうかはともかく、NY金は一段高となってこれまでの主要レンジを上方シフトしようか、という動きにもなってきました。
NY金の現状水準としては、今年6月高値(1919.2)から今年8月安値(1677.9)までの76.4%戻し(1862.3)を達成した状態。
主要レンジを上方シフトする為には、この夏以降の上限水準となってきた1830ドル台を下回らないことが絶対条件。
今後、上方向で意識されそうな水準としては、
・過去最高値(2089.2)から今年3月安値(1673.3)の半値戻し(1881.3)・・・1880ドル近辺。
・心理的節目1900円の大台ライン。
・6月高値(1919.2)・・・1920ドル近辺。
・過去最高値から今年3月安値の61.8%戻し(1930.3)・・・1930ドル近辺。
など。
11日のNY金相場は+15.6ドル、0.84%高となって6日続伸。6日続伸は5月以来、半年ぶりで今年2度め。水準としては6月14日(1865.9)以来、5ヵ月ぶりの高値。先週末に1800ドルの節目を突破すると、これに伴う浅めの上値目標1820ドルに即到達、その3日後には第2目標1850ドルも達成、勢い余ってそのまま1870ドルまで急騰もNY終わりには1850ドル割れへと急反落。慌ただしい展開で20ドル超の上ヒゲを残した前日までの状況からは、そのまま反落となればピークアウト感も強まる形となっていたものの、この日はその上ヒゲ分を埋めに行く展開。時間外序盤に1745ドルまで小幅調整後は堅調推移となり、ロンドン時間には1860ドル台まで上昇。債券市場が休場となったNY市場では前日高値にはわずかに届かなかったものの1870ドル手前まで上昇し、下値は1860ドル割れも限定的となり、1860ドル台半ばへと収束。短期的には切り上げつつある水準を維持できるかどうかが目先の課題、1860ドルが目前のサポート候補となり、その下は1830ドル台後半が中期的に重要なサポート候補。
NYプラチナも+17.5ドル、1.62%高で6日続伸。6日続伸以上は2月以来、9ヵ月ぶりで今年2度め。水準としては7月16日(1108.5)以来、4ヵ月ぶりの高値。この日もNY金に追随し、20ドル超の前日上ヒゲ分を埋めに行く展開に。時間外序盤の浅めの押し目は1070ドルまで、前日急騰後の急反落で下げ渋った水準、かつ直近保ち合い高値圏となっていた重要な節目水準でサポートされて堅調推移へ。この水準は今後の重要なサポート候補に。ロンドン市場で1090ドル台まで水準を切り上げると、NY朝には1080ドル付近までの押し目をはさんで一時1100ドル寸前まで上昇。前日高値をわずかに上回りながらも短期上値目標1110ドル近辺には少し届かず、その手前の1100ドルが抵抗線となるかどうか、という状況にも。
ドル円は16銭のドル高円安、0.14%の続伸で114円台を回復。10月26日(114.14)以来、半月ぶりの高値。前日急騰の余韻を残す形で東京朝には113円80銭台から114円10銭台まで上昇し、この日のレンジをほぼカバー。欧州・NY時間にかけては114円をはさんでの小幅保ち合い推移の展開となり、この日の変動値幅は35銭程、今年の平均56銭の6割程の小動きに。10月以降の高値保ち合い上限となってきた114円20銭の節目付近ではまだ上値も重く、何度も跳ね返される状態。しかし、今朝の東京市場では日経平均の堅調推移にも連れて114円20銭台へと節目上抜けをかけた攻防へ。上抜け成功なら一段高の展開へ、当面の上値目標は116円台トライ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/11終値とチャート
12日の国内金価格は+49円、0.66%高となって6日続伸。6日続伸は5月以来、半年ぶりで今年2度め。水準としては昨年8月11日(7560)以来、1年3ヵ月ぶりの高値。NY金の第2目標を超えての一段高とドル高円安基調のダブルサポートで想定以上の上昇局面を形成。過去最高値(7676)から今年安値(6413)の76.4%戻し(7378)を既に超えており、今後意識されうる上方向への目安水準としては心理的節目となる7500円、7600円など。下値サポート候補としては9月安値からここまでの上げ幅の23.6%戻し(7287)から7300円近辺。
週間ベースでは+300円、4.2%の急反発。最高値をつけた昨年8月3日からの週(+480円、6.67%)以来、1年3ヵ月ぶりの大幅高。
プラチナ価格は+72円、1.69%高で5日続伸。5日続伸は6月末以来、4ヵ月半ぶりで今年4度め。水準としては7月16日(4385)以来、4ヵ月ぶりの高値。90日移動平均線(3987)もようやく下げ止まってゆるやかに反発の兆しとなり、中期地合い回復に向けて短期トレンドも好転。4210円台の節目上抜けに伴う短期上値目標4350円近辺を目指す流れが進行。下値サポート候補は4200円の大台ライン付近。
週間では+234円、5.73%の大幅続伸。今年5番めの急騰。
※参考:
金プラチナ国内価格11/12とチャート
2021年11月12日(金)時点の相場
国内金:7,449 円 11/12(金)
▲49(
0.66%)
国内プラチナ:4,320 円 11/12(金)
▲72(
1.69%)
NY金:1,863.9 ドル 11/11(木)
▲15.6(
0.84%)
NYプラチナ:1,094.5 ドル 11/11(木)
▲17.5(
1.62%)
ドル円:114.06 円 11/11(木)
▲0.16(
0.14%)
11/11(木)のその他主要マーケット指標
ミシガン大消費者信頼感10年ぶり低水準でNY金は7日続伸 11/13(土)米CPIは想定外のインフレ加速、31年ぶり高水準に警戒感も 11/11(木)米PPIは上昇一服、高インフレ鎮静化の兆しへ 11/10(水)FOMC後に急失速、2022年利上げ見通しは2-3回から2-1回へ 11/09(火)
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