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4年8ヵ月ぶりのドル高円安、実質実効為替は6年3ヵ月ぶり円安
更新日:2021年11月20日(土)
実質実効為替レート・月間平均 2021年10月ドル円は今週一時115円付近まで上昇し、2017年3月以来、4年8ヵ月ぶりのドル高円安水準に達しました。
一方、国際決済銀行(BIS)が今週発表した実質実効為替レート(世界主要60カ国を対象に主要貿易相手国との為替レートを貿易額に応じて加重平均、物価調整を含めて2010年平均を100として指数化したレート)では、日本円の10月月間平均は68.71。9月までの90ポイント台から急低下し、2015年7月(68.33)以来、6年3ヵ月ぶりの低水準、円安水準となっています。
これに対して米ドルは118.19。2020年8月(118.68)以来、1年2ヵ月ぶりの高水準。

なお米ドルは、ほぼ水平状態の20年移動平均線からは+8.09%の上方乖離。2020年7月(+9.36)以来、1年3ヵ月ぶりの水準まで急拡大。
これに対して日本円は、低下基調が続く20年移動平均線からは-22.16%の下方乖離。2018年5月(-22.28)以来、3年5ヵ月ぶりの水準まで拡大。
2018年春には、米財務省が半期に一度発表する為替報告書で「日本円の実質実効為替レートが過去20年平均を25%近くも下回る、行き過ぎた円安水準」にあると指摘していました。
2017-18年は20年移動平均乖離率が-20%台で推移していた時期で、2018年1月には-23.71%まで拡大していました。

なお、黒田シーリングと言われた2015年夏、ドル円が125円まで上昇して黒田日銀総裁が「実質実効為替レートではこれ以上の円安はない」と発言した時の日本円の実質実効為替レートの20年移動平均乖離率は-32%。
下方乖離率は現在の1.5倍も、20年移動平均の水準に大きな開きがあり、実質実効為替レート自体はほぼ同水準。

金融政策正常化に向けてインフレと闘うFRB、債務上限問題を警戒するイエレン財務長官、支持率低下に苦しむバイデン政権に今のところ余裕はなさそうですが、少し落ち着きを取り戻せば、円安牽制発言がすぐにでも飛び出しそうな状況にもなっています。

また、週明け早々にも発表される模様の次期FRB議長人事においては、最ハト派とも言われるブレイナード理事が昇格となればドル安圧力が強まる可能性、逆にパウエル議長続投ならドル高方向へのサポートにも。
行き過ぎたドル高円安のさらなる進行、急反落リスクなどが混在する状況は、もう少し続きそうです。

NY金・日足チャート 2021/10/18 - 11/1919日のNY金相場は-9.8ドル、0.53%の続落で11月10日(1848.3)以来、9日ぶりの安値。時間外は1860ドル付近から1860ドル台半ばまで小幅上昇して戻り売り、欧州でのコロナ感染再拡大なども材料視されてのユーロ安ドル高の流れにも追随してロンドン時間には1850ドル台前半まで下落。その後は1.6%を回復した米10年債利回りが1.55%付近まで急反落となった流れを受けて1860ドル台半ばまで急反発。NY市場にかけては1860ドル台での小幅保ち合いの展開、NY午後にはウォーラーFRB理事の緩和縮小加速と早期利上げ準備を支持する発言、クラリダFRB副議長の12月FOMCでのテーパリング加速討議示唆発言などを受けてドル高急進、1860ドル割れのNY金は一時1844ドルまで急落。NY引けにかけて1850ドルまで自律反発もNY引け後には再び1840ドル台半ばへと軟調推移。高値保ち合いレンジ1850-70ドルを下抜けつつあり、週明けにもレンジ内回復できなければ保ち合い崩れとなって調整局面入りへ、短期下値目安は9月高値圏1830ドル近辺まで。
週間ベースでは-16.9ドル、0.9%安となって3週ぶりの反落。

NYプラチナ・日足チャート 2021/10/18 - 11/19NYプラチナは-20.4ドル、1.93%安で4日続落。11月5日(1035.8)以来、2週間ぶり安値圏で一段安。時間外は1050ドル台半ばから1060ドル台半ばへと小幅反発して戻り売り、ロンドン時間には1050ドル台で下げ渋るもNY朝には1040ドル割れへと一段安。自律反発では1050ドルに届かず、NY午後には金に急落に追随する形で1030ドル台半ばへと再反落。20日移動平均線(1053.5)にもサポートされての下げ止まりとの予想に反し、前日安値圏1050ドル近辺から20日線がレジスタンスに切り替わってしまった可能性も。この日の安値では1033ドルまで下げ、9月安値(892.6)から11月高値(1113.1)までの38.2%戻し(1028.9)にも急接近。ここでサポートされない場合には50%戻し(1002.9)、10月末安値1005.2ドルなど、大台ラインまでが意識されることにも。
週間ベースでは-53.2ドル、4.88%安で3週ぶりの反落。下げ幅は2ヵ月ぶり、今年5番めの急落。2週連続で52週移動平均線(1097.6)に上値を押さえられた格好にも。

ドル円・日足チャート 2021/10/18 - 11/19ドル円は22銭のドル安円高、0.19%の反落。東京時間は114円20銭台が安値となり、前日高値付近114円40銭近辺まで上昇する場面も。ユーロ安ドル高の流れに連れて欧州朝には114円50銭台まで上昇も、米10年債利回り急低下に連れて114円割れへと急反落。NY時間にはリスク回避の株安・円高・ドル安基調となって113円50銭台まで下落。ただしNY午後にはFRB高官のタカ派発言を受けてドル高へと巻き戻す展開となり、NY終盤にかけてなんとか114円を回復した格好に。早期利上げ観測も台頭するなか、新興国通貨の暴落や欧州でのコロナ感染拡大を受けてのユーロ安を受けてドルインデックスは1年4ヵ月ぶり高水準へとドル高基調が進行。しかしリスク回避的な円高も同時進行となってドル円の方向感はこの日の足型に象徴されるように上下両方向睨みの状態にも。目先114円近辺から20日移動平均線(113.88)までがサポート水準となりつつある様子も、これを割り込むようだと113円割れを試しに行くような展開にも。
週間ベースでは+10銭、0.09%の小幅続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/19終値とチャート

2021年11月20日(土)時点の相場
国内金:7,458 円 11/19(金) ▼25(0.33%)
国内プラチナ:4,210 円 11/19(金) ▼6(0.14%)
NY金:1,851.6 ドル 11/19(金) ▼9.8(0.53%)
NYプラチナ:1,036.0 ドル 11/19(金) ▼20.4(1.93%)
ドル円:114.02 円 11/19(金) ▼0.22(0.19%)
→11/19(金)のその他主要マーケット指標

←国内金価格61.8%戻しの法則 11/22(月)
→フィリー指数も予想外に好調、インフレ指標も高止まり 11/19(金)
→米住宅着工件数は予想下振れ、2ヵ月連続減で半年ぶり低水準 11/18(木)
→小売売上高も想定外の好調維持、8ヵ月連続前年比2桁の伸び 11/17(水)

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