約束の利上げ示唆、毎回利上げも排除せず、QTも早期着手へ
更新日:2022年01月27日(木)
3月の利上げスタート示唆が市場コンセンサスと言ってもいい状態となっていた今回の1月FOMC。声明文では「利上げ開始がまもなく適切」に、と具体的な時期こそ明記を避けたものの、実質的に約束の3月利上げを示唆。
また、量的緩和縮小(QE)については「3月の早い時期に購入を終了させることを決定」と具体的な時期を明記したことからも「3月半ば」のFOMCでの利上げを暗示。
さらに、今回注目されたバランスシート縮小(QT)については別リリースで「利上げスタート後に実施」すること「再投資額の調整を通じて」行うことを発表。
パウエルFRB議長会見では、大半のFOMC参加者が「雇用最大化を達成」と判断しているとし、「労働参加率は緩やかに上昇」するとの楽観見通し。求人は失業者数より多く、「歴史的な労働市場逼迫」状態にあるとし、「経済はもはや持続的な高水準の政策支援を必要としない」として利上げフェーズ入りの正当性をアピール。
デユアルマンデートのもう一つ、インフレについては「FRBの目標を大幅に上回る」とここまでの高インフレが想定外だったことを認めながら、(今後の利上げ開始で)「インフレは年内に鈍化を予想」すると楽観的な見方も。
さらに、「利上げのペースなど、まだ、明確な軌道は決定していない」としながらも「毎回のFOMCでの利上げ」も辞さない姿勢も見せてインフレ収束への意気込みを垣間見せた格好にも。
FOMC声明文発表後には下げ渋っていた米株やNY金も、パウエルFRB議長のタカ派的な言動を受けて急落の展開に。
この直後のCMEフェドウォッチでは、3月FOMCでの0.50%利上げ予想が5%付近から12.4%へと急騰。
2022年末FOMCでは、125-150(0.25%×5回)が32.8%へと急騰。4回利上げが27.5%で続き、3番目には6回利上げが19.9%へと急浮上。
3回は11.7%、毎回利上げとなる7回が5.5%、2回は2.2%、1回は1%、据え置きは0%。
かなり、タカ派的に振れた状態にもなり、当面はこれを維持できるかどうかが注目されます。
26日のNY金相場は-22.8ドル、1.23%の大幅安となって3日ぶりの反落。1月18日(1812.4)以来、1週間ぶりの安値水準。今年高値を更新した前日NY引け後に割り込んだ1850ドルラインがこの日の高値となり、時間外からロンドン市場まで1840ドル台後半での小幅揉み合い推移。FOMC前の膠着状態はドル高の流れが強まったNY朝に崩れ始め、短期下値サポート1830ドルをわずかに割り込んでNY引け。現状維持のFOMC声明文では、ある程度想定どおりの利上げ示唆に対しては下げ渋る動きにもなったものの、パウエルFRB議長会見でのタカ派スタンスを受けて米10年債利回りが1.7%台後半から1.8%台後半へと急騰、株安とドル高の流れも強まって1820ドル割れへと急落。安値では1810ドル台半ばまで下げて1820ドル台へと下げ渋る動きにも。目先は1830ドルの節目割れに伴う調整目安1800ドルの大台付近まで、多少の下落余地も残しながらも今年高値1850ドル台までのレンジを下方拡大する形での保ち合い推移の展開にも。
NYプラチナは+20.4ドル、1.99%の大幅続伸で1月20日(1050.8)以来、1週間ぶりの高値水準。時間外は1020ドル台での小幅揉み合い推移から、ロンドン時間には株高の流れに追随する展開となって1040ドル台へと上昇。NY市場では1050ドルの上限を突破して一段高、短期上値目標1070ドル近辺も意識される1060ドル台半ばまで上昇。11月19日(1065.4)以来、2ヵ月ぶり高値をつけて失速するとNY午後には1050ドルを割れていったん落ち着いた状態も、NY引け後のFOMCとパウエル会見を経て株安と金の下落に追随、ただし1030ドル付近では下げ渋り。1020ドルから1050ドル台までの高値保ち合いレンジを形成した状態となり、あらためて上抜けできれば1070ドル近辺再トライへ、下限割れなら1000ドルの大台割れを試しに行く展開へも。
ドル円は82銭のドル高円安、0.72%の反発で1月11日(115.29)以来、2週間ぶりのドル高円安水準に。113円90銭近辺での膠着状態を欧州時間に抜け出し、米10年債利回りの上昇基調とドル高の流れで114円20銭台へと水準を切り上げてNY市場へ。114円30銭台へとさらに水準を切り上げてNY午後、FOMC後には小幅乱高下の反応も、パウエルFRB議長会見を経てタカ派傾斜を確認すると114円60銭台へと急騰。今朝の東京市場では114円70銭台まで上昇、上方向への節目との攻防で上値を押さえられて失速、114円60銭近辺へ。日足レベルでは右肩上がりの90日移動平均線(113.77)に下値を支えられて年初からの下落トレンドはほぼ収束状態となり、FOMCを起点にトレンド転換へと向かい始めたような動きにも。ただし目先は113円60銭から114円70銭までの保ち合いレンジ上限との攻防状態。これを上抜けできれば上昇トレンドスタート、今年高値圏116円10銭台辺りまでを上値目標に堅調な展開へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/26終値とチャート
27日の国内金価格は-51円、0.69%安で3日ぶりの反落。強気相場を示唆するチャート形状からの上方ブレイクで一段高へ、と向かうにはタイミングが悪すぎたことから、ある程度想定された反落の展開、またしても9日移動平均線(7336)割れ。しかし9日線よりも重要な7320円の節目を割り込まない底堅さも。ただし方向感は中立から軟調方向へ、FOMC直後の流れは欧州時間以降に再開される傾向もあり、7320円割れへと向かえばいったん調整局面入り。7300円を割れて7260円程度までが短期下値目安に。想定外の展開で今年高値更新へと抜け出すようなら7460円近辺までが上値目標にも。
プラチナ価格は+53円、1.3%の続伸で今年高値を更新、昨年11月19日(4210)以来、2ヵ月ぶりの高値水準。4110円の節目上抜けに伴う短期上値目標は4160円近辺まで。やや想定以上のタカ派傾斜の可能性を示唆したFOMCにNY金は失速したものの、米株の下げ渋りとパラジウムの高止まりにも追随する格好となっての堅調局面維持。しかし東京朝の時間帯には米株先物の失速とともに時間外のNYプラチナもやや軟化傾向にも。4060円の下値サポート割れの場合には4000円の大台ライン前後までが下値目安。
※参考:
金プラチナ国内価格1/27とチャート
2022年01月27日(木)時点の相場
国内金:7,329 円 1/27(木)
▼51(
0.69%)
国内プラチナ:4,133 円 1/27(木)
▲53(
1.30%)
NY金:1,829.7 ドル 1/26(水)
▼22.8(
1.23%)
NYプラチナ:1,045.9 ドル 1/26(水)
▲20.4(
1.99%)
ドル円:114.67 円 1/26(水)
▲0.82(
0.72%)
1/26(水)のその他主要マーケット指標
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