相関から逆相関へ、調整一服のドル、反発一服の金
更新日:2022年05月26日(木)
地政学リスクが急速に高まったロシアのウクライナ侵攻直後には、リスク回避の流れで米ドルも金も買われる状態となり、短期的な相関関係は急速に強まりました。ドルインデックスとNY金の30日相関係数は3月中旬には0.87台まで上昇してピークアウト。
その後は徐々に相関関係は弱まり、ドル円がNY終値ベースで今年高値130円80銭台をつけた4月28日の前日、27日にはドルインデックスとNY金の30日相関係数はマイナス転換。
FRBの大幅利上げへの警戒感が急速に強まり、ドル高の流れとNY金の調整局面が続いた5月半ばにかけてはドル買い・金売り、比較的多くの時間に見られるオーソドックスな関係性も強まりました。
ドルインデックスが105ポイント付近まで上昇し、NY金が一時1800ドルを割り込み、1810ドル近辺で鍋底を形成した直後の5月19日には、ドルインデックスとNY金の30日相関係数は-0.90台まで低下。
その後も-0.8台を維持して強めの逆相関関係を維持しながらも、ドルインデックスは反落、NY金は反発局面を形成。そして25日にはドルインデックスの反落局面一服、NY金の反発局面も一服。
FOMC議事要旨で今後2会合での0.5%利上げがほぼ確定状態にもなったことを好感する格好にもなって調整局面一服となったドルインデックスに対し、やや悲観的に捉えて上昇一服となった可能性もあるNY金。
ドルインデックスの場合は今年1月安値圏、95ポイント近辺から5月の105ポイント近辺までの上昇幅の38.2%戻しとなる101ポイント台で調整一服。
NY金は3月高値水準2040ドル近辺から5月安値水準1810ドル近辺までの下落幅の23.6%戻しとなる1864ドル付近で反発一服。
逆相関関係を取り戻した米ドルとNY金は、ともにキリの良い水準で一服状態となり、今後は調整再開と反発継続か、上昇基調再開と下落基調再開か、重要な分岐点に差し掛かってきた可能性も。
25日のNY金相場は-19.1ドル、1.02%安となって前日の上げ幅を帳消し、5日ぶりの反落。時間外序盤に1860ドル台後半で上げ渋り、前日高値手前で失速すると米ドルの反発基調に押される形でロンドン市場までに1850ドル台、NY市場では1840ドル台へと軟調推移。一時的には1840ドル割れを試す場面もありながら、この近辺では底堅くNY午後には自律反発。NY引け後のFOMC議事議事要旨では今後2回の会合での0.5%利上げ濃厚が確認されるも想定の範囲内、さらなるタカ派傾斜回避に安心感も、1850ドル台を回復。短期上値目標1880ドル近辺に対しては前日高値1869.1ドルまでに留まっての巻き戻し。下値はゆるやかに上昇する200日移動平均線(1838.8)に支えられ、下落基調が続く20日移動平均線(1852.1)維持をかけた攻防状態にも。これを維持して目先の上限1870ドルを上抜けることができれば反発基調再開、1900ドルの大台トライへ。
NYプラチナは-13.6ドル、1.44%の続落で5月18日(924.4)以来、1週間ぶりの安値。時間外序盤の940ドル台半ばが高値となり、レンジ上限950ドル台を試すことなく軟調推移。20日移動平均線(945.0)も抵抗線となり、保ち合い下限940ドルを早々に割れるとロンドン市場で930ドル付近、NY朝には一時920ドル台前半まで下落。保ち合い下限940ドル割れに伴う短期下値目安910ドル台には少し届かずに切り返すと今度は940ドルがレジスタンスに切り替わる形となってNY引け後には930ドル台半ばへと収束。目先、下値目安910ドル台再トライ余地を残しながら940ドルの抵抗線候補との攻防にも、950ドル台の節目を上抜けることができれば上値再トライへ、980ドル近辺までが上値目標にも。
ドル円は41銭のドル高円安、0.32%高で3日ぶりの反発。東京朝に126円60銭台の安値をつけた後、東京午後から欧州時間にかけては127円を挟んでの保ち合い推移。NY市場では4月耐久財受注が予想を下回ったことを受けての下押しも126円80銭近辺まで、その後は米10年債利回りが2.7%台前半から後半へと底堅く推移した流れに追随、NY午後には127円50銭付近まで上昇。想定の範囲内となったFOMC議事要旨後には小幅乱高下を経ての軟調推移も127円20銭台まで。今朝の東京市場では127円10銭台まで下押し後には127円50銭台再トライの場面も。短期下値目安127円割れにしっかり到達した一服感もあり、調整局面をいったん終えてそれなりの戻り局面形成への可能性も。そのためには短期抵抗線となっている5日移動平均線(127.55)超えが必須条件。下方向へは126円80銭が当面のサポート、これを維持できなくなるようだと調整再開、126円割れを試しに行くような展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/25終値とチャート
26日の国内金価格は-26円、0.31%の続落で5月20日(8277)以来、1週間ぶりの安値。8300円の節目上抜けに伴う短期上値目標8350円程度に向けたトライは失敗。想定外の巻き戻しとなったNY金の下げ幅をドル円の反発分では補い切れず。目先、9日移動平均線(8273)にサポートされて8310円の節目上抜けとなれば上値トライ再開へ、下落基調が続く21日移動平均線(8426)も視野に8400円の大台回復トライへ。
国内プラチナ価格は-14円、0.33%安で3日続落。9-21日移動平均線(4252-4255)の下押し圧力がじわり、90日移動平均線(4227)下抜けも意識されそうな状況となり、そうなれば一段安へと追いやられる価格水準は4170円台の節目割れも、その場合には2月以降、3ヵ月連続安値となった4100円前後の水準までが短期下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格5/26とチャート
2022年05月26日(木)時点の相場
国内金:8,282 円 5/26(木)
▼26(
0.31%)
国内プラチナ:4,207 円 5/26(木)
▼14(
0.33%)
NY金:1,846.3 ドル 5/25(水)
▼19.1(
1.02%)
NYプラチナ:929.3 ドル 5/25(水)
▼13.6(
1.44%)
ドル円:127.27 円 5/25(水)
▲0.41(
0.32%)
5/25(水)のその他主要マーケット指標
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