雇用統計確認で大幅利上げ継続へ、ただし賃金上昇率は今年最低
更新日:2022年07月09日(土)
雇用最大化と物価安定のデュアル・マンデートを担うFRBの背中を押した6月雇用統計。好結果を受けて高騰状態が続くインフレ抑制策としての大幅利上げ継続へのハードルは一段下がった状態にも。
雇用者数の伸びは前月比+26.5万人の市場予想を大幅に上回る+37.2万人。4ヵ月連続で前月比+30万人台後半を維持する安定推移となり、雇用者総数も過去最高となった2020年2月の1億5250万人まであと52.4万人、秋までには過去最高を更新する勢いに。
失業率は4ヵ月連速3.6%での横ばい推移となり、2020年2月(3.5)以来の低水準ながら、ボトムアウトしてもおかしくはない水準。
広義の失業率を示すU6失業率は6.7%となって5月の7.1%から急低下。1994年以降のデータでは、これまで過去最低となっていた2000年10月と2019年12月の6.8%を下回って2年半ぶりに過去最低を更新。
黒人の失業率も5.8%となり、5月の6.2%からは急低下、2019年11月(5.6)以来、2年7ヵ月ぶりの低水準。
長期失業者の割合も22.6%となり、2020年9月(19.0)以来1年9ヵ月ぶりの低水準。
そして、これまでインフレ圧力の一翼を担ってきた平均時給は前年比+5.11%。市場予想の5.0%を上回ったことで直接インフレ鈍化への安心感とはならなかったものの、5月の前年比+5.34%からは低下し、コロナ後の実質ピークとなった今年3月の+5.62%からは3ヵ月連続の鈍化。昨年12月(+4.88)以来、半年ぶりの低水準となり、今年最低の伸び率。ピークアウトの可能性は残した状態にも。
なお、労働参加率は62.2%に留まり、5月からも0.1%低下し直近ピークとなった3月の62.4%から停滞。コロナ前の2020年2月の63.4%からは大きく水準を切り下げたまま。
また、人口当たりの雇用率も5月の60.1%から6月は59.9%へと低下。4ヵ月ぶりの低水準となり、コロナ前の2020年2月の61.2%手前で失速。
雇用最大化の基準は、切り下がっているのかもしれません。
8日のNY金相場は+2.6ドル、0.15%の小幅続伸。1740ドル近辺での小康状態からNY市場では雇用統計後に乱高下。市場予想を上回る雇用者数の伸び、賃金上昇率などの結果を受けて小幅に急落すると、昨年9月30日安値(1721.8)以来9ヵ月ぶりとなる1726.0ドルまで下落して切り返し。小幅に急騰した米10年債利回りが伸び悩み、ドル高急進も巻き戻された流れに連れると元の水準を回復するだけでなく、さらに行き過ぎて一時1750ドル台まで急騰。しかしこれも続かず、NY午後には1740ドル付近に戻して何事もなかったかのように小康状態で週末に。日足レベルでは十字線を形成して1730ドル付近でいったん底打ちの可能性も残して次週CPI待ちへ。CPI後にも反発基調となれば1800ドルの大台回復も視野に、それまでは5日移動平均線(1756.8)程度までが目先の戻り目安に。あらためて1730ドル割れへと向かえば、昨年9月安値圏1720ドル前後までが短期下値目安に。
週間ベースでは-59.2ドル、3.29%安となって4週続落。下げ幅としては5月9日からの週(-74.6ドル、3.96%)以来8週ぶりで今年2番めの急落。4週続落もその週以来2ヵ月ぶりで今年2度め、過去3年でも2度め。
NYプラチナは+17.0ドル、1.96%の大幅続伸で6月30日(895.3)以来、1週間ぶりの高値。時間外序盤の860ドル台からロンドン市場では850ドル台半ばまで下押し後、NY市場にかけて反発基調再開。NY朝に860ドル台を回復すると雇用統計通過後も一段高、昼前には一時890ドル台まで上昇し、NY引けにかけても880ドル台を維持。反発基調継続に向けては昨年秋以降の下値サポート900ドル近辺がレジスタンスに切り替わらないことが重要。910ドルまでの抵抗帯を突破できれば930ドル台辺りまでを目安に一段高の展開へも。下方向へは840ドルの節目を割れると下値トライ再開、2020年9月安値圏820ドル近辺までが短期下値目安に。
週間ベースでは+11.5ドル、1.32%高となって5週ぶりの反発。
ドル円は12銭のドル高円安、0.09%高で5日続伸。6月29日(136.59)以来、1週間ぶり高値圏でのジリ高推移。東京市場では136円近辺での小幅揉み合い推移から、安倍元首相銃撃の報道を受けて135円30銭台まで急落。欧州時間には135円台後半へと持ち直し、NY朝の雇用統計では好結果を受けて135円70銭台から136円50銭台まで、80銭程の急騰。しかし、3%台回復後の米10年債利回りが伸び悩み、ドル高の流れも巻き戻されて一時135円80銭台まで反落、NY午後には136円10銭近辺に収束。日足レベルではゆるやかに上昇する20日移動平均線(135.39)に下値を支えられ続け、十字線に近い足型が続いて方向感も見い出し難い状況、わずかに上値を切り上げながらも上方向への節目136円60銭でしっかり蓋をされた状態にも。CPI結果を踏まえてインフレ鈍化が進まず、大幅利上げ継続への確認が取れれば上値トライへと向かう可能性も。
週間ベースでは+84銭、0.62%高で6週続伸。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/8終値とチャート
2022年07月09日(土)時点の相場
国内金:8,323 円 7/8(金)
▲9(
0.11%)
国内プラチナ:4,205 円 7/8(金)
▲109(
2.66%)
NY金:1,742.3 ドル 7/8(金)
▲2.6(
0.15%)
NYプラチナ:882.8 ドル 7/8(金)
▲17.0(
1.96%)
ドル円:136.11 円 7/8(金)
▲0.12(
0.09%)
7/8(金)のその他主要マーケット指標
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