実質実効為替レートでは15年ぶり円安で下げ渋り
更新日:2022年07月20日(水)
BIS(国際決済銀行)が公表している実質実効為替レートで、1996年以降の日次ベースでは先週時点で米ドルが130.82、ユーロは102.12、日本円は72.97。
米ドルの130.82は、2020年5月15日(130.99)以来、2年2ヵ月ぶりの高値水準。コロナショック直後のドル高局面以来のドル高が進行中。なお、過去最高値となったのはその2020年3月23日の132.55。コロナショックの真っ只中でのドル独歩高局面、ドル以外の他通貨や株など全てのリスク資産、金などの安全資産も売られた、ドル以外全部売り状態となった時期。
巻戻しの流れで2021年前半には117ポイント付近まで低下した後、今年3月以降のドル高局面で過去最高値水準を目指す勢いが継続中。
日本円は6月29日に72.45まで下落し、2007年7月23日(72.31)以来ほぼ15年ぶり円安水準となった後は下げ渋り。リーマンショック前の円安ピーク水準付近までの円安進行で一服状態。
日本円の過去最安値は1998年8月11日の67.62。バブル崩壊後の国内金融機関破綻が相次ぎ、円売りが急速に進行した時期。為替でも1998年8月につけたドル高円安ピーク水準、1ドル=147円60銭台をつけた時期にも相当。
ユーロは2020年2月27日(102.04)以来、2年4ヵ月ぶりの低水準。コロナショック直前の時期以来のユーロ安が進行中。ユーロの過去最高値は2008年12月18日の111.20、最安値は2000年10月26日の74.75。ユーロスタート直後の最安値から、ユーロは長期的には上昇傾向にあり、2020年11月にも最高値付近となる110ポイント近辺まで上昇し、その後現在に到るまでは低下傾向。
2022年に限れば、3月以降に円安が急速に進行し、4月からはドル高が急速に進行。ユーロは4月からゆるやかな下落、6月後半からは一段安となって相対的なドル高にも寄与。下げ渋る円の代わりを担った格好にも。
実質実効為替レートでは過去最高値まであと1.73ポイントに迫る米ドルは、大幅利上げ局面進行に伴い、為替では再びドル独歩高状態に入りつつあり、過去最高値更新も辞さない勢いでドル高の流れがもう少し続きそうな状況のようにも見えます。
一方、過去最安値まであと5.35ポイントの日本円は、状況は違えど貿易赤字や金融政策の相違などから円安が進行しやすい状況は1998年の時にも近く、これも日銀総裁人事が話題となる年明け頃までは続きそうな状況のようにも。
さらに、過去最安値までは27.37ポイント(過去最高値までは9.08)のユーロは、ウクライナ戦争と対ロ制裁などの影響が大きく、ドイツでのリセッション懸念などもありユーロ安傾向もそう簡単には収束できない状況かもしれません。
パリティ割れへの抵抗感を払拭した可能性もあるユーロドルの一段安への可能性とともに、ドル円の一段高への可能性は、まだしばらくは続きそうな状況かもしれません。
19日のNY金相場は+0.5ドル、0.03%の小幅続伸。時間外序盤には前日安値をわずかに下回りながらも1700ドルの大台を維持して切り返し、ノルドストリーム1の再開見通し報道やECBの0.5%利上げ観測などからユーロ買いドル売りが進行した流れにも連れてロンドン時間に1710ドル台半ばまで小幅に急騰。しかしNY市場ではドルの下げ渋りと米10年債利回りの3%台回復、さらには米株の大幅高なども重石となって反落。1710ドルをはさんでの保合いからNY引け後には1710ドル割れへ。この日の変動値幅は13.9ドルにとどまり、今年の平均28.7ドルの半分弱、今年8番めの小動き。今年安値圏で動意縮小しつつ大台ライン付近での足場固めも進行中。反発方向への攻防ポイントは1740ドル、FOMCまで大台を維持してタカ派傾斜が現状以上に進行しなければ上抜けのチャンスも。上抜けできれば底打ち、反発へ1760ドル近辺までが短期上値目安に。逆に大台割れなら一段安の目安は1680ドル前後まで。
NYプラチナは+2.9ドル、0.34%高で3日続伸。7月11日(860.7)以来1週間ぶり高値圏での小康状態にも。時間外序盤には840ドル付近まで下げ、直近の節目がサポートに切り替わる形でて押し目買い、ロンドン時間のユーロドル急上昇にも追随、高値では一時870ドル台まで上昇。右肩下がりの20日移動平均線(874.3)に上値を押さえられての反落も860ドル近辺では下げ渋り、840ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標860ドル台にしっかり到達した状態をキープ。短期的には底打ちの可能性は高まる状態も、反発局面継続に向けては20日線の上抜けとFOMC無事通過が待たれる状況にも。
ドル円は5銭のドル高円安、0.04%の小幅高で3日ぶりの反発。東京朝に138円近辺から138円40銭付近まで上昇も、前日高値に少し届かず反落。午後に入って138円を割れると軟調推移、21日のECBの理事会での0.5%利上げ期待が高まるに連れてユーロドルが急騰した流れにも連れる形で欧州時間には137円30銭台まで下落。しかし14日安値(137.31)付近で下げ渋るとNY市場では米10年債利回り上昇にも連れて買い戻し。NY午後には138円台を回復し、NY終盤には138円20銭台まで上昇。結果、ほぼ下に行って来いとなって小さな下ヒゲ陽線を形成。3日連続で上値も下値も切り下げながら、その前日14日の大陽線の実体部に収まる上げ三法に近い構成となり、上値再トライへの可能性を示唆するような形にも。ただし、ECB理事会を経てユーロドルの反発局面がもう一段強まるようだとドル円の調整圧力にも、そうならなければ高値保合い継続へ。上値再トライへはFOMC通過後か。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/19終値とチャート
20日の国内金価格は+30円、0.36%高で3営業日ぶりの反発。8280円から8370円までの小幅保合いレンジ下限で切り返す底堅さも、急降下する9日移動平均線(8327)に上値を押さえられてレンジ上限再トライには及ばず。流れとして軟調局面からは脱却し切れず、なんとか耐える状態。保合いを維持してFOMCをやり過ごすことができれば、短期トレンド転換と相応の反発局面形成トライへと向かう可能性も。9日線を上抜けて8370円のレンジ上限も突破できれば90日移動平均線(8453)との攻防が次の上値目標に。8280円の下限割れなら8200円近辺までの一段安と中期ダブルトップのネックライン8180円近辺との攻防も意識される状況にも。
プラチナ価格は+57円、1.37%の続伸で7月11日(4249)以来、10日ぶりの高値。弱気のパーフェクトオーダー脱却の勢いのまま、4130円の節目上抜けに伴う短期上値目標4220円近辺にも到達。下降基調の21日移動平均線(4255)との攻防が次の分岐点、これも突破できれば4300円超へと一段高となり、90日移動平均線(4308)もまとめて上抜けへと勢いが増す可能性も。突破できなければ今年2月以降の安値圏での保合い継続へ。
※参考:
金プラチナ国内価格7/20とチャート
2022年07月20日(水)時点の相場
国内金:8,318 円 7/20(水)
▲30(
0.36%)
国内プラチナ:4,219 円 7/20(水)
▲57(
1.37%)
NY金:1,710.7 ドル 7/19(火)
▲0.5(
0.03%)
NYプラチナ:858.9 ドル 7/19(火)
▲2.9(
0.34%)
ドル円:138.18 円 7/19(火)
▲0.05(
0.04%)
7/19(火)のその他主要マーケット指標
ユーロ圏消費者信頼感指数、7月は過去最低に 07/21(木)平均時給では伸び率鈍化も中央値では過去最高更新 07/19(火)ミシガン大インフレ期待急低下、1%利上げ観測後退も 07/16(土)PPIも高止まり、食品とエネルギーを除けばピークアウト 07/15(金)
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