輸入物価指数も2年3ヵ月ぶり急低下、前年比ではPPI以下
更新日:2022年08月13日(土)
今週発表された米7月インフレ指標、CPI、PPI、輸入物価指数はいずれも前年比伸び率が鈍化。高騰が続いたインフレも加速基調はピークアウト。今後は減速ペースが注目されることに。
米労働省が発表した7月の輸入物価指数は、前月比では-1.4%。前月比マイナスは今年初で12月以来、7ヵ月ぶり。伸び率としては4ヵ月連続の低下で、コロナショックの2020年4月(-2.56%)以来、2年3ヵ月ぶりの急低下。
前年比では+8.84%。6月の前年比+10.73%からは急減速。10年9ヵ月ぶり高水準となった3月(+13.01)をピークに4ヵ月連続の低下、昨年3月(+7.09)以来1年4ヵ月ぶりの低水準。
輸入物価の前年比伸び率はPPIの伸び率を2ヵ月連続で下回り、その差(輸入物価-PPI)は-0.92%、1年7ヵ月ぶりの低水準(マイナス幅)。
過去の推移からも、輸入物価指数の伸び率がPPIやCPIを上回ればPPIやCPIも上昇傾向となるインフレ加速傾向へ、輸入物価指数の伸び率がPPIやCPIを下回ればPPIやCPIも低下傾向となるインフレ鈍化傾向へ。
これまでの推移との違いは、輸入物価指数の伸び率急上昇にPPIもCPIも同水準まで追随してきたこと。これまでにない高水準での伸び率逆転となり、輸入物価高騰に起因するPPIやCPIのインフレ分についてはそれなりの剥落が予想されるものの、今後の減速ペースを予想することは非常に難しそうです。
なお、この日発表されたミシガン大の1年インフレ期待は、8月速報値で5.0%。市場予想の5.1%を下回り、7月の5.2%からも低下。40年ぶり高水準となった3-4月の5.4%からは低下傾向を維持し、2月(4.9)以来半年ぶりの低水準。これも目先のインフレ鈍化局面入りへのサポート材料に。
ただし、FRBが重視するミシガン大の5期待インフレは3.0%。市場予想の2.8%を上回り、7月の2.9%からも上昇。10年超ぶりとなった1月と6月の3.1%こそ下回るものの、下げ渋りの様相にも。
今後のインフレ収束見通しについては、先行き不透明感も残ります。
一部楽観ムードも見られる市場を牽制するように、この日リッチモンド連銀バーキン総裁は「インフレが目標値2%で推移することが明確になるまでは景気に弱さが見られたとしても利上げを継続する必要」があることをあらためて明言。
12日のNY金相場は+8.3ドル、0.46%の反発で6月29日(1817.5)以来、1ヵ月半ぶりの高値。小幅十字線となった前日の流れを受けて時間外は方向感が定まらず、1805ドル付近からロンドン序盤にかけて1810ドル付近、NY朝にかけては1800ドルの大台をわずかに割れて切り返し。輸入物価指数もインフレ鈍化の兆しとなり、米10年債利回りも低下基調となった流れを受けて1810ドル台半ばへと反発後、ミシガン大消費者信頼感指数の8月速報の改善を受けての小幅急反落をはさみながらもNY引けにかけては1810ドル台後半、1820ドル付近まで実質高値引け。前日上値を押さえられた1810ドル台半ばの節目を上抜けたことに伴い、3月高値(2078.8)から7月安値(1678.4)までの38.2%戻し(1831.4)と90日移動平均線(1832.9)近辺まで上値余地拡大。下値サポートも1800ドルへと切り上げ、これを割れると1780ドル前後までが調整目安に。
週間ベースでは+24.3ドル、1.36%高で4週続伸。4週続伸は今年最長、昨年末以来7ヵ月半ぶり。
NYプラチナは前日から変わらず、6月10日(971.0)以来2ヵ月ぶり高値圏での横ばい推移。940ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標、3月高値と7月安値の38.2%戻し(955.8)近辺到達後の一服状態で値動きも縮小。950ドル台を中心に小幅保ち合い推移となり、NY朝にかけての安値では一時940ドル台半ばまで、その後は反発局面が続いてMY午後にかけて960ドル台へ。やや過熱感も高まる状態となり、多少の調整も。下げ止まりつつある90日移動平均線(928.6)から930ドル近辺が目先の下値サポートとなり、これを維持できればいずれ上値再トライのチャンスをうかがう展開となって、1000ドルの大台が意識されることにも。短期サポートを割れると900ドルの大台までが調整目安に。
週間ベースでは+34.7ドル、3.75%高で4週続伸。4週続伸は2020年7月以来、2年1ヵ月ぶり。
ドル円は51銭のドル高円安、0.38%の続伸。東京朝に132円90銭をわずかに割れたのがこの日の安値となり、日経平均の大幅高に連れるように反発すると前日高値を超えて133円50銭付近まで上昇。東京午後から欧州序盤にかけては133円台前半での小幅揉み合い推移、NY朝にかけては133円90銭付近まで上昇して頭打ち。米10年債利回りの低下基調にも連れてNY午後には133円50銭近辺に収束。
インフレ鈍化傾向を示す指標も続いたことで大幅利上げ観測もやや後退したものの、日足レベルでは133円割れで下げ渋る状態が続いて下押し圧力も緩和。130円近辺までの調整リスクはいったん後退、132円80銭が目先の下値サポートとなり、135円20銭までのレンジで保ち合い形成へ。あらためて下値サポート割れなら130円近辺再トライへ、上限突破なら137円近辺回復トライへも。
週間ベースでは-1.52円、1.19%の反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/12終値とチャート
2022年08月13日(土)時点の相場
国内金:8,375 円 8/12(金)
▼146(
1.71%)
国内プラチナ:4,427 円 8/12(金)
▲50(
1.14%)
NY金:1,815.5 ドル 8/12(金)
▲8.3(
0.46%)
NYプラチナ:959.4 ドル 8/12(金) +-0.0(0.00%)
ドル円:133.49 円 8/12(金)
▲0.51(
0.38%)
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