ECBの0.75%利上げも想定内、FRBは3会合連続0.75%利上げへ
更新日:2022年09月09日(金)
ECBは6年半ぶりにゼロ金利を解除した7月の0.50%利上げに続いて2会合連続の利上げを決定。利上げ幅はECB発足後最大となる0.75%。世界の主要中銀のなかでは最近のトレンドとなりつつある0.75%の利上げは事前予想どおり、「成長リスクは下振れ、インフレ・リスクは上振れ」としたラガルドECB総裁は次回以降の利上げ継続も示唆。ただし0.75%とは限らないとの発言も。事前にパリティを回復していたユーロドルも想定どおりの結果を確認すると再びパリティ割れへ。これに連れる形で1740ドル手前まで上昇していたNY金も失速。
ラガルドECB総裁会見に続いてパウエルFRB議長の討論会での発言も伝わり始めると徐々に市場の注目もこちらにシフト。
最近のFRBメンバの論調と同様に、高金利継続と早期緩和を否定、インフレ抑制に強くコミットする発言などからドル高の流れが強まったこともユーロと金の売り材料に。
9月8日時点でのCMEフェドウォッチによる利上げ見通しとしては、9月FOMCでは0.75%利上げへの織り込みが87%まで上昇。前日までの70%台からは一段と上昇し、FF金利を3.00-3.25%へと引き上げ、3会合連続での0.75%利上げが市場コンセンサス。次週の8月CPIが多少鈍化した場合でもほぼ確実か、という状況にも。
その先は、11月FOMCでは0.50%利上げで3.50-3.75%へ、12月FOMCでは0.25%利上げで3.75-4.00%へ。現時点で80%超の織り込みで最有力。
2022年末のFF金利中央値は、6月FOMCでのメンバ予想中央値3.375%(3.25-3.50%)から、3.875%へ、ドットチャートは0.50%上方シフトへ。
FF金利は、6月FOMCでのメンバ予想中央値の、2023年末の3.75-4.00%までの引き上げを2022年末へと前倒し。
そして、いったん打ち止めか、というところがメインシナリオに。
これで当面落ち着くようなら、ドル高の勢いも一服へ、となるかもしれません。
8日のNY金相場は-7.6ドル、0.44%の反落。1730ドルがほぼ上限となり、1720ドル台後半での小幅保ち合い推移からロンドン・NY朝にかけてはECBの利上げ期待からのユーロドル上昇基調に連れて1730ドル台へ、高値では1740ドル付近で失速するとNY市場ではパウエルFRB議長発言を受けてFRBのタカ派政策再確認、1710ドル台前半まで急反落。下げ渋ってNY引けにかけては1720ドル付近。1720ドル台の節目上抜けに伴う短期上値目標1750ドル付近に対しては1740ドル付近まで、上値トライ失敗後の反落局面では1710ドルの下値サポートにしっかり支えられた格好にも。3歩進んで2歩下がるパターンで鯨幕相場を形成し、上下のヒゲが方向感喪失気味の状態を示唆。1710ドルから1730ドルまでが目先の主要レンジとなって安値圏での保ち合いを形成、あらためて上抜けできれば1750ドル近辺再トライへ、下限を割れると7月安値(1678.4)近辺までを目安に下値トライ再開。
NYプラチナは+19.2ドル、2.27%高で4日続伸。8月25日(873.9)以来、2週間ぶりの高値となり、8月高値(974.6)から9月安値(796.8)までの38.2%戻し(864.7)を達成。アジア時間の840ドル台後半が安値となってこの日も堅調推移、ロンドン時間に860ドルを回復するとNY市場でつけた高値は870ドル台半ばまで。右肩下がりの20日移動平均線(876.1)にも上値を押さえられ、880ドルの抵抗水準付近での上値の重さを確認した格好にも。この重要水準を上抜けることができれば反発局面本格化となって一段高の展開へも、8月高値から9月安値の61.8%戻し(906.7)近辺までが短期上値目標に。
ドル円は32銭のドル高円安、0.22%高となって10日続伸。1998年8月26日(144.14)以来、24年ぶりドル高円安水準での一段高が継続。10日続伸は4月以来、5ヵ月ぶりで今年2度め。それ以前は2014年7月まで、8年以上前。東京朝に143円70銭台から144円50銭台まで上昇したのがこの日の高値、午後にかけては米10年債利回り低下とともに軟調推移となって143円40銭台まで下落。財務省・日銀・金融庁の3者会合への若干の警戒感も。欧州時間には144円台へと反発も、NY朝にかけてはユーロドル上昇にも連れて一時143円30銭台まで下落してこの日の安値。その後はパウエルFRB議長発言を受けて144円40銭台まで急反発も、やや上値も重くNY終盤には144円付近に収束。今朝の東京市場ではユーロドル再上昇に連れたドル安の流れで143円60銭台へと軟調推移。上値トライに一服感もあり、次週CPI発表までは小康状態か、もしくは調整局面で勢いづけば8月安値から9月高値の23.6%戻し(141.54)辺りまでが下値目安にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/8終値とチャート
9日の国内金価格は-56円、0.64%安で5日ぶりの反落。ドル円の大幅調整を警戒していたらNY金の調整に連れての反落に。それでもボラティリティが拡大するドル円は今朝の東京市場では反落の兆しにもなり、乱高下要注意状態にも。高値圏での中期三角保合い上抜け後の一段高となり、過去最高値圏が再び意識される水準に到達しての一服状態にも。目先、調整局面が続けば8月安値(8168)から9月高値(8698)の38.2%戻し(8496)、8500円近辺までは想定範囲。8700円超へと切り返す展開となった場合には6月末高値圏8740円台から8750円程度までが短期上値目標に。
週間ベースでは+294円、3.52%の反発。上げ幅としては5ヵ月ぶりで今年3番めの大幅高。
プラチナ価格は+42円、0.97%高で5日続伸。8月15日(4462)以来、4週間ぶりの高値。5日続伸は6月と8月に続いて今年3度め。ほぼ水平状態の90日移動平均線(4286)を上抜けての一段高となり、6月高値と8月高値を結ぶ上値抵抗線付近に到達。ここから4400円近辺までは強めの抵抗水準となる可能性もあり、だからこそ上抜けできれば中期トレンドも好転へ、中期主要レンジ上方シフトを試しに行くような展開にも。引き続き90日線がサポート候補にも。
週間ベースでは+335円、8.27%高となって4週ぶりの反発。3週間の下げ幅合計の9割を回復、3ヵ月ぶりで今年2番めの大幅高。
※参考:
金プラチナ国内価格9/9とチャート
2022年09月09日(金)時点の相場
国内金:8,642 円 9/9(金)
▼56(
0.64%)
国内プラチナ:4,387 円 9/9(金)
▲42(
0.97%)
NY金:1,720.2 ドル 9/8(木)
▼7.6(
0.44%)
NYプラチナ:866.4 ドル 9/8(木)
▲19.2(
2.27%)
ドル円:144.08 円 9/8(木)
▲0.32(
0.22%)
9/8(木)のその他主要マーケット指標
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