米8月CPIは予想ほど鈍化せず、コアCPI再加速でドル円急加速
更新日:2022年09月14日(水)
CPIショックは今年、何度も繰り返され、最重要指標としての今年のトレンドは雇用統計を上回る注目度となっている米CPI。インフレ・ピークアウトを確認し、インフレ収束への道筋が次の主要テーマとなるはずだった今回の8月CPI。
またしても市場の期待を裏切る結果となって米株は急落、米長期金利急騰でドル高も急進、調整局面の兆しもあったドル円は急騰。下げ渋っていたNY金も急反落。
米労働省が発表した8月の消費者物価指数、CPIは前年比+8.26%。40年7ヵ月ぶり高水準となった6月の+9.06%からは2ヵ月連続の低下で4ヵ月ぶりの低水準も、市場予想の+8.1%程度を上回り、伸び率は期待したほど鈍化せず。
食品とエネルギー関連を除いたコアCPIは前年比+6.32%。市場予想の+6.1%を上回り、7月の+5.91%からも上昇し、39年7ヵ月ぶり高水準となった3月(6.47)以来、5ヵ月ぶりの高水準。伸び率の鈍化傾向は続かず、再加速の兆しにも。
セクタ別ではエネルギー価格が6月の前年比+41.6%から2ヵ月連続低下で8月は+23.8%まで鈍化し、1年1ヵ月ぶりの低水準。ただし食品価格は前年比+11.4%で15ヵ月連続の上昇。
食品とエネルギーを除く商品価格も前年比+7.1%で7月からは0.1%上昇。3月までの2桁台からは鈍化傾向も、依然高止まり。エネルギー関連を除くサービス価格も+6.1%で7月の+5.5%から上昇。1年前の+2.7%から上昇基調が継続。
主要項目でも、ガソリン価格が前年比+25.6%となって7月の+44.0%、6月の+59.9%から急減速、1年5ヵ月ぶりの低水準ながらも依然高水準。賃貸住宅は前年比+6.7%となって15ヵ月連続の上昇。医療サービスも+5.6%で6ヵ月連続上昇で2年1ヵ月ぶりの高水準。
エネルギー、ガソリン価格の鈍化を除けば高止まり、もしくは加速状態が継続。
なお、クリーブランド連銀発表のメディアンCPI(価格変動分布の中央、50%台の品目のインフレ率)は前年比+6.70%となり、6ヵ月連続で過去最高を更新中。
価格変動分布の上下8%づつ(合計16%)をカットした品目で算出する、16%トリム平均CPIは前年比+7.22%。こちらは8ヵ月連続で過去最高を更新。
これらの指標ではインフレ鈍化の兆しすら、まだ見られません。
13日のNY金相場は3日ぶりの反落で-23.2ドル、1.33%安で9月6日(1712.9)以来、1週間ぶり安値水準へと急反落。1730ドル台での小幅保ち合いとなった時間外、ロンドン市場では1740ドル台へと小幅に上昇。右肩下がりの20日移動平均線(1744.2)にしっかり上値を押さえられつつ、米8月CPI鈍化予想が裏切られたNY朝には1740ドル台前半から1705ドル付近まで、40ドル弱の急落。米10年債利回りが3ヵ月ぶり高水準となる3.4%台へと急騰し、ドル高急進、米株は急落、NYダウは1200ドル超、3.8%超と今年最大の急落など、予想外の結果で今年何度めかのCPIショックとなり、NY金の自律反発も限定的となってNY引け後にも1710ドル近辺。1720ドルの節目割れに伴い、目先はもう一段の下値トライも。短期下値目安は1700ドル割れへ、少し勢いづけば今年安値、7月安値(1678.4)近辺も。
NYプラチナは-20.5ドル、2.27%安で7日ぶりの反落。時間外は890ドル台半ばまでの浅めの押し目をつけて切り返し、NY朝にかけて反発すると910ドル台半ばまで上昇。880ドルの節目突破に伴う短期上値目標910ドル近辺到達後の一服感は、米CPI下振れに伴うドル高ユーロ安、米株安に金安に追髄する流れで増幅され、890ドル割れへと急反落後には900ドルの大台ラインの抵抗感を確認しての一段安。NY引け後には880ドル割れ、870ドル台半ばで一服状態に。900ドル台が目先の上限となり、20日移動平均線(866.7)近辺が目先の下値サポート候補、上限突破へと切り返すことができれば反発局面再開、まずは920ドル台へと上値を伸ばす展開にも。
ドル円は171銭のドル高円安、1.2%の大幅続伸。NY終値では1998年8月21日(144.64)以来、24年1ヵ月ぶりのドル高円安水準。東京朝の142円70銭台から米10年債利回り低下とともにジリジリと軟調推移、インフレ・ピークアウトを織り込む格好で欧州時間には142円近辺へ。NY朝には予想外の結果を受けて141円60銭台から144円60銭台まで、3円の急騰。143円80銭近辺までの反落後にもジリ高推移となって144円台半ばでの推移。今朝の東京市場では144円90銭台まで上昇後に当局からの円安牽制発言もあり、144円ちょうど付近まで下落も下げ渋り、再び144円台後半へ。短期的には144円10銭の節目を上抜けたことから、もう一段の上値トライへ。144円90銭台の今年最高値付近でいったん上値を押さえられた形にもなってはいるものの、これを突破できれば145円台へと急騰の展開にも、146円付近までが短期上値目標に。下方向へは142円60銭が当面の下値サポート、これを割れると140円ちょうど近辺までの調整も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/13終値とチャート
14日の国内金価格は-11円、0.13%の反落。NY金の1.3%超の下げをドル円の1.2%高で相殺、結果的には高値圏での小動きも、予想外のインフレ動向を受けてのボラティリティ拡大局面となり、少しタイミングがズレると国内金価格にも大幅変動リスク。短期的には上昇トレンドを維持しての反発局面も、8600円から8700円までの小幅保ち合いレンジ内での下半分でさらに下限寄りへとジリ安推移。下限割れなら短期下値目安は8500円台半ば、少し勢い余れば8500円割れも。8700円超へと抜け出すことになれば8700円台半ばまでが短期上値目標、勢い余れば8800円の大台付近も視野に。
プラチナ価格は-73円、1.63%の反落。6月高値(4682)と9月安値(4052)の半値戻し(4367)達成後の一段高で半値戻しは全値戻しへの勢いは急失速。短期上昇局面は維持しながらも、今年2月以降の中期主要レンジ、4100円近辺から4500円付近までを抜け出すには何かが足りない様子。当面の上限となりうる4490円の節目を上抜けできれば短期的には4500円台前半へと一段高も、加速度がつけば4500円台後半までを試しに行くような展開にも。
※参考:
金プラチナ国内価格9/14とチャート
2022年09月14日(水)時点の相場
国内金:8,630 円 9/14(水)
▼11(
0.13%)
国内プラチナ:4,414 円 9/14(水)
▼73(
1.63%)
NY金:1,717.4 ドル 9/13(火)
▼23.2(
1.33%)
NYプラチナ:883.7 ドル 9/13(火)
▼20.5(
2.27%)
ドル円:144.54 円 9/13(火)
▲1.71(
1.20%)
9/13(火)のその他主要マーケット指標
PPIは鈍化傾向、ドル高止まりも円安牽制に円安は鈍化 09/15(木)NY連銀消費者調査でインフレ期待は2ヵ月連続急低下も 09/13(火)半値戻しは全値戻し、国内金・プラチナ価格の攻防 09/12(月)1日に2円も3円も動いてドル円は一時142円割れ 09/10(土)
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