パウエルFRB議長は12月利上げ減速示唆、ドル安株高、金高へ
更新日:2022年12月01日(木)
パウエルFRB議長はこの日、利上げ幅を12月FOMCで縮小する可能性を示唆。その一方で来年のFF金利見通しについては9月時点の予想(中央値4.625%)を若干上回る見通しについても言及。
また、労働市場の供給不足についてば、コロナ禍での過剰な退職者が要因となっているとの見解、これに伴う賃金上昇が高インフレをもたらす状況に懸念も示しました。
この状況が解消されるのに要する時間やその動向への不透明感、高インフレ長期化への懸念を示しているようにも見えます。
ともあれ、12月FOMCでの0.5%利上げは既に市場コンセンサスとはなっていましたが、改めてパウエルFRB議長の発言により確信に変わり始めた格好となり、ドル安とともに米株急騰、NY金も急騰局面となりました。
米労働省がこの日発表した10月の求人件数は1033.4万件。市場予想の1025.0万件を上回り、9月の1068.7万件は下回って2ヵ月ぶりの低水準。
ただし10月の失業者数は605.9万人で2月以来、8ヵ月ぶりの高水準となっていたことから、失業者1人当りの求人件数は1.706件。3月の1.992件をピークに減少傾向は続き、昨年11月以来、11ヵ月ぶりの低水準。
依然として労働需給ひっ迫状態は続き、インフレ要因解消に向けての長い道のりは続きそうな状況です。
30日のNY金相場は-3.8ドル、0.22%の反落。1760ドルの節目超えを維持しての小幅揉み合いから徐々に堅調推移、ロンドン市場では1770ドル台へと上昇。NY市場ではADP雇用の下振れを受けて1780ドル付近まで上昇も、米7-9月期GDP改定値が2.9%と予想を上回る上方改定となったことを受けて米10年債利回りが3.7%台後半へと上昇し、ドル高の流れが強まったことで1760ドル台へと急反落。しかしNY引け後のパウエルFRB議長発言を受けて米10年債利回りが3.6%近辺へと急反落、ドル高の巻き戻しも急速に進行したことで1780ドル台半ばまで急反発、11月16日高値(1788.2)以来、2週間ぶりの水準に到達。堅調を維持して1790ドル近辺へと水準を切り上げ、1760ドルの節目超えに伴う短期上値目標、11月高値圏1790ドル近辺にも到達。短期的には一服感も、雇用統計の結果次第では1800ドルの大台回復トライも、8月高値圏1820ドル台が次の上値目標にも。下方向へは1740ドルが当面のサポート。
月間ベースでは+119.2ドル、7.27%高で8ヵ月ぶりの反発。2021年5月(+137.6ドル、7.78%)以来、1年半ぶりの大幅高。
NYプラチナは+30.7ドル、3.04%の大幅高となって3日続伸。11月10日(1055.0)以来20日ぶりの高値。時間外は1010ドルの安値から堅調推移、ロンドン序盤には1000ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標1020ドル台に到達、一服感もそこそこにNY市場では1030ドル台から1040ドルの攻防へ。NY引け後には米株とNY金の急騰にも連れて1050ドル台へ、不安定な展開は上方向へと一方的な流れに。1000ドルの大台ラインが当面の下値サポート候補となり、株高・金高の流れが続くようなら堅調維持も。1060ドル超へと抜け出すようなら短中期的には1100ドルの大台トライへと向かう展開にも。
月間では+109.2ドル、11.74%高で3ヵ月続伸。2020年11月(+117.5ドル、13.85%)以来、2年ぶりの大幅高。
ドル円は58銭のドル安円高、0.42%安で3日続落。8月26日(137.51)以来、3ヵ月ぶりの安値。138円台半ばでの保ち合い推移から、NY市場では139円90銭近辺まで上昇。米GDPの上方改定などを受けて最近の高値圏139円台半ばを突破して1週間ぶり高値も140円手前で失速。NY午後にはパウエルFRB議長発言を受けて米長期金利低下とともに急落。139円を割れるとNY終盤には一時138円割れ、安値では137円60銭台まで下落。138円台回復後も上値は重く、今朝の東京市場では一時136円50銭近辺まで下げる場面も。139円台前半の節目割れに伴う短期下値目安136円台前半にもほぼ到達したような状態にも。ただし週末にかけての米指標悪化などを受けてもう一段安の可能性とともに、いったん底打ちとなる可能性も。
月間ベースでは-10.64円、7.15%安となって4ヵ月ぶりの反落。2008年10月(-7.57円、7.13%)を超えて少なくとも2005円以降では最大のドル安円高。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/30終値とチャート
1日の国内金価格は+42円、0.49%の続伸。ゆるやかに上昇する90日移動平均線(8493)にもサポートされての反発基調が続き、下落基調が続く9日移動平均線(8585)と8580円の節目も目前に。これらをしっかり上抜けることができれば水平状態の21日移動平均線(8616)上抜けトライ、8630円近辺までが短期上値目標にも。下方向には90日線から8480円が比較的強めの、重要なサポート水準に。これを割れると短期的には8400円前後までが下値目安、そして短中期下落トレンドスタートの様相にも。
プラチナ価格は+118円、2.44%高で3日続伸。11月15日(4963)以来、半月ぶりの高値。水平状態からわずかに上昇の兆しの21日移動平均線(4881)を上抜けて4890円の節目も突破。これに伴う短期上値目標4950円近辺に到達。短期的には一服感もタイミング的には勢いが余る可能性も、金価格が一段高へと向かえば追随、5000円の大台再トライにも。
※参考:
金プラチナ国内価格12/1とチャート
2022年12月01日(木)時点の相場
国内金:8,566 円 12/1(木)
▲42(
0.49%)
国内プラチナ:4,949 円 12/1(木)
▲118(
2.44%)
NY金:1,759.9 ドル 11/30(水)
▼3.8(
0.22%)
NYプラチナ:1,039.3 ドル 11/30(水)
▲30.7(
3.04%)
ドル円:138.10 円 11/30(水)
▼0.58(
0.42%)
11/30(水)のその他主要マーケット指標
インフレ鈍化もPCEは10ヵ月連続6%台、コアPCEは13ヵ月連続4%超 12/02(金)底打ちのユーロ圏景況感、スペイン、フランスは反発できず 11/30(水)ドル円1日当りの変動値幅はコロナ超、リーマンショック以来 11/29(火)揺れ動くターミナルレート見通し、国内金は高値保ち合い継続へ 11/28(月)
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