賃金インフレ中央値は下げ渋り、ゼロ賃金率は20年超ぶり低水準
更新日:2023年04月20日(木)
米3月の雇用統計では、平均時給の賃金上昇率は前年比+4.24%となり、伸び率は2月の+4.62%からも一段と鈍化して1年9ヵ月ぶりの低水準となっていました。
しかし、アトランタ連銀が先週発表した賃金上昇トラッカー、時給中央値の前年比データを3カ月移動平均で示した数値では、3月は+6.4%。3ヵ月連続+6.1%となった2月から急反発で4ヵ月ぶりの高水準。ピークとなった2022年夏場の+6.7%からは低下しているものの、最高値水準付近での高止まり状態。
また、賃金上昇率が+0.5%から-0.5%の範囲内にとどまる「ゼロ賃金」の割合は10.9%。2月の11.2%から急低下となり、2001年9月(10.9)以来、21年半ぶりの低水準。
賃金変動がほとんどない人の割合が近年最低水準まで減少したことから、おそらく一定以上の賃上げがなされた人の割合が近年最高レベルとなっているものと推測される状況に。
雇用統計での平均時給の賃金上昇率は鈍化傾向継続を示し、NY連銀ビジネスリーダー調査でもインフレ鈍化を支援する傾向が目立つ状況となっているのに対し、NY連銀の消費者調査では3月の1年先インフレ期待が急反発、ミシガン大1年インフレ期待も4月速報で急上昇。
インフレ見通し強弱混在の状況で、今回のアタランタ連銀発表指標では3月の賃金インフレ中央値が反発、賃金上昇率がほぼゼロに近い人の割合は近年最低水準に落ち込むほど賃金上昇によるインフレ圧力高騰を示唆。
この状況が、FF金利見通しの変動率を高め、最高値付近でのNY金のボラティリティも高まる要因の一つとなっているようです。
なお、ゼロ賃金の割合のボトムアウトと賃金上昇トラッカーのピークアウトはこれまで、リセッション入りサインとなってきました。
19日のNY金は-12.4ドル、0.61%の反落。前日の反発分を全て巻き戻し、ドル高の流れに押されて2000ドルの大台を割れるとてロンドン市場では1980ドル付近まで急落。4月3日安値(1965.9)以来、2週間ぶりの水準で下げ渋るとドル高の巻き戻しにも連れてNY朝には2000ドルの大台へと急反発。大台割れは一時的となって下ヒゲを残し、20日移動平均線(2003.0)も浮上してきた2000ドルのサポートを維持した格好に。目先、大台維持できなくなれば1970ドル近辺までを下値目安に下値再トライへ。上方向にはこの日の高値2020ドルが当面の抵抗水準、これを上抜けるようだと上値トライ再開となって今年最高値(2063.4)近辺までが短期上値目標に。
NYプラチナは+8.4ドル、0.77%高で3日続伸。終値ベースでは今年高値を更新し、昨年3月9日(1,107.6)以来、1年1ヵ月ぶりの高値。前日の急騰からの巻き戻しとなった時間外には1090ドル台からロンドン市場にかけて1070ドル付近まで下落。しかし前々日までの3日連続高値水準1070ドル近辺でサポートされるとNY朝には金の反発局面にも連れ、1100ドル超へと急反発。高値では1月11日(1117.0=今年最高値)以来、3ヵ月ぶり高値まで上昇し、今年最高値にこそ少し届かなかったものの、今年高値から安値の全戻しをほぼ達成したような状態に。短期的には調整も入りやすい状況も、あらためて今年最高値を更新して1100ドル超を維持するようだと中期的にも新たな展開へ。
ドル円は60銭のドル高円安、0.45%の反発。東京朝に一時134円を割れたのがこの日の安値となり、前日の反落からの押し目買いの様相に。午前のうちに134円30銭台へと反発し、東京市場終了後には英3月CPIが+10.1%と予想外の高止まりとなったことを受けて急騰したポンド円に追随して134円70銭台へ。欧州時間には日銀のYCC(イールドカーブコントロール、長短金利操作)修正先送り観測報道を受けて135円トライ、高値では一時135円10銭台まで上昇し、NY朝には134円30銭近辺まで反落。それでも前日終値付近で下げ渋るとNY午後には134円台後半へ。134円半ばの節目を上抜けたことで前日失敗した上値トライ再開で135円台前半の目標水準到達となった格好も、再トライで135円台へとしっかり水準を切り上げるような展開にも。当面の下値サポートは134円ライン、これを下回るようだと短期的には133円割れへと調整局面入り。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場4/19終値とチャート
20日の国内金価格は-13円、0.14%の反落。過去3番めの高値にとどまり、依然として堅調推移の9日移動平均線(9417)超えを維持しての推移も継続。ただし失速感も増す状況となり、短期トレンドとしては既にいったんピークアウトしたような状態にも。高値保ち合い下限9420円と9日線を割り込む展開となれば調整局面が一段と進行、短期的には9350円近辺が調整目安、若干の行き過ぎ警戒水準としては9300円近辺も。トレンドに逆行する展開となって最高値更新となれば9550円程度までが短期目安に。
プラチナ価格は+60円、1.19%高となって7日続伸。連日の今年高値更新となって一段高、昨年高値も飛び越えて2015年1月28日(5106)以来、8年3ヵ月ぶりの高値。7日続伸は昨年6月以来、10ヵ月ぶり。RSIは80台をキープして短期的には過熱状態からも調整必至の状況に。ただし中期的にはようやく下げ止まってわずかに上昇し始めた兆しの90日移動平均線(4617)を21日移動平均線(4641)がゴールデンクロス。2020年3月安値以降の中長期上昇トレンド再開の可能性も。短期調整目安としては、2月安値からここまでの23.6%戻し(4899)、4900円近辺。
※参考:
金プラチナ国内価格4/20とチャート
2023年04月20日(木)時点の相場
国内金:9,446 円 4/20(木)
▼13(
0.14%)
国内プラチナ:5,087 円 4/20(木)
▲60(
1.19%)
NY金:2,007.3 ドル 4/19(水)
▼12.4(
0.61%)
NYプラチナ:1,105.7 ドル 4/19(水)
▲8.4(
0.77%)
ドル円:134.70 円 4/19(水)
▲0.60(
0.45%)
4/19(水)のその他主要マーケット指標
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