雇用者数は下振れも賃金高止まり、失業率低下も・・・
更新日:2023年07月08日(土)
ADP雇用者数の伸びが極端に上振れ、雇用統計NFPの市場予想も直前になって全般的に引き上げられたことも雇用統計後の乱高下の一因となったかもしれません。
6月雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが市場予想を下回り、過去2ヵ月分も下方修正されたことで今年の平均は前月比+27.8万人。コロナ以前で最高となった2014年平均の+25.0万人に近づきつつあり、ようやく
平年並みに戻りつつある状態にも。
利上げ効果を期待する為には年間平均がもう一段低下する必要も。
インフレ鈍化進行へのキーポイントの一つ、賃金上昇率は平均時給で前年比+4.2%予想に対して+4.35%と若干上ブレ。
3月の+4.30%以来3ヵ月ぶりの低水準で、2021年8月以降の1年11ヵ月間では2番めの低水準。しかし直近では4ヵ月連続+4.3%台。それなりに低下はしてきたけれど足下では下げ渋り、過去平均+2.99%を1.3%余り上回る水準での高止まり状態。
失業率は5月の3.7%から6月は3.6%へと低下も、53年ぶり低水準となった1月と4月の3.4%は下回らず。
ただし、12ヵ月平均は3.56%で横ばい推移となり、失業率は2ヵ月連続で12ヵ月平均を上回る状態。
過去、失業率が12ヵ月平均を上回れば底打ち、反発の流れが加速し始め、リセッション入りのサインとなっており、失業率は1年以上前から3.5%付近での下げ止まり状態が続き、12ヵ月平均もここに来て底打ちの兆しとなり、失業率上昇は時間の問題、という状況のようにも。
U6失業率も6.9%へと上昇し、黒人の失業率も6.0%へと上昇、いずれも10ヵ月ぶりの高水準となって底打ち、反発への可能性も高まる状況となっていることも合わせ、労働市場は徐々に悪化への流れが進行しているようにも見えます。
7日のNY金は3日ぶりの反発で+17.1ドル、0.89%高。6月26日(1933.8)以来、10日ぶりの高値水準。前日安値1908ドルからの反発基調が進行。時間外序盤の1910ドル台半ばがこの日の安値となり、ロンドン市場で1920ドル台、NY市場では強弱混在となった雇用統計の結果を受けて乱高下。1930ドル台後半まで急騰後には1920ドル付近まで急反落、その後はドル安の流れにも連れて1940ドルまで上昇。ただしNY午後には失速、NY引け後には1930ドル付近。ただし1910ドル台から1930ドルまでの安値保ち合いレンジ上抜けの兆しとなり、このまま右肩下がりの20日移動平均線(1943.6)に上値を押さえられ続けることがなければ反発の流れ進行へ。短期上値目標は5月高値(2085.4)から6月安値(1900.6)までの38.2%戻し(1971.2)付近まで。ただし次週CPI鈍化などサポート材料も必要。
週間ベースでは+3.1ドル、0.16%の小幅高で4週ぶりの反発。
NYプラチナは+8.8ドル、0.97%の反発。前日安値899ドルからの反発局面形成へ、アジア時間に906ドルの安値をつけてロンドン市場に910ドル台、NY朝の雇用統計後には920ドル台から910ドル割れへと小幅に乱高下、のち高値では920ドル台半ばまで上昇。NY午後には920ドル割れもNY引け後も910ドル台半ばを維持。保ち合い下限の900ドルを維持しての反発も930ドルの上限には届かず、それでも下押し圧力も後退、徐々に流れは反発方向へも。900ドルの大台近辺での鍋底を維持し、930ドルの鍋蓋を突破することができれば底打ち、反発局面形成へ。そうなれば4月高値(1148.9)と6月安値(894.2)の23.6%戻し(954.3)近辺までが短期上値目標。
週間ベースでは+5.3ドル、0.58%高で4週ぶりの反発。
ドル円は196銭のドル安円高、1.36%の大幅続落で6月21日(141.88)以来、半月ぶりの安値。下げ幅としては今年の絶対値平均68銭の2.8倍超、今年2番めの急落。前日NY市場での144円30銭の節目割れに伴う軟調局面が進行。東京朝の144円10銭台がこの日の高値となり、欧州時間には143円台前半から143円割れトライ、NY朝の雇用統計には143円20銭台から142円50銭台へと急落で反応。一度は143円40銭台まで反発も徐々にドル売り優勢の流れとなり、142円20銭台へと水準を切り下げるとNY午後には142円10銭近辺へと収束。短期下値目安143円前後に到達してオーバーラン、右肩上がりの20日移動平均線(142.77)も下抜けて6月安値(138.38)から6月高値(145.07)の38.2%戻し(142.51)も達成し、一定の調整局面をこなした格好にも。多少の自律反発も、次週CPIの結果次第であらためて下落トレンド形成か、反発を含む高止まりとなるか。さらなる下値警戒水準としては半値戻し(141.73)、61.8%戻し(140.94)など。
週間ベースでは-2.20円、1.52%安となって4週ぶりの反落。下げ幅としては3月以来4ヵ月ぶり、今年3番めの大幅安。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/7終値とチャート
2023年07月08日(土)時点の相場
国内金:9,655 円 7/7(金)
▼60(
0.62%)
国内プラチナ:4,512 円 7/7(金)
▼97(
2.10%)
NY金:1,932.5 ドル 7/7(金)
▲17.1(
0.89%)
NYプラチナ:918.5 ドル 7/7(金)
▲8.8(
0.97%)
ドル円:142.10 円 7/7(金)
▼1.96(
1.36%)
7/7(金)のその他主要マーケット指標
ダブルトップ形成の国内金、調整継続なら9500円も 07/10(月)6月ADP雇用は急増、5月求人件数は低調 07/07(金)世界的にはインフレ鈍化進行、G20・OECDは1年半ぶり低水準 07/06(木)ドイツ貿易黒字は今年最小、黒字幅は9ヵ月ぶりの急減 07/05(水)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン